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» 2017年2月15日 更新

コミュニケーションとマーケティングとオレとオマエと男と女と酒 『君の名は。』の大ヒットで、プロダクトプレイスメントは日本にも浸透するか

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マーケティングの分野において「広告」の歴史は古く、今後も永続的に続くことに疑いの余地はありません。

しかし広告の形態自体は時代とともに移り変わっています。インターネットの登場以降だけをみても、テキスト、バナー、アフィリエイト、動画など、その形態は進化し続けています。

そして、現在する広告の中で近年注目を浴びているのが、プロダクトプレイスメントでしょう。これは、作品中にブランドや商品を見える形で登場させる手法で、現在の民放テレビのように本編の間にCMが挟み込まれるのではなく、本編自体に広告が入り込む形態をとっており、考え方としてはネイティブアドに近いものがあります。

この形態の変化には、デバイスの進化とネット動画の広がりが関係していることは間違いありません。現代では多くの人がテレビ番組を録画で視聴するようになり、CMはスキップされることが多くなっています。

また、従来型のテレビ以外にも、YouTube、ニコニコ動画、それにNetflixやHuluに代表されるSVOD(Subscription Video On Demand)などの登場により、従来テレビや新聞に充てられていた広告予算は分散し始めています。

そのような状況の中、広告主たちは、スキップされる可能性が高いテレビCMに予算を捻出するのは憚られ、「次の媒体」を探す状況となりました。そこで注目されているのが、プロダクトプレイスメントというわけです。

プロダクトプレイスメントの代表的な事例としては、人気映画『007』シリーズが挙げられます。主人公のジェームズ・ボンドが身につける時計や服には大きなブランド価値が付与されるといわれ、毎回多くの企業で争奪戦が繰り広げられます

また最近では、記録的な大ヒットとなった邦画『君の名は。』の劇中にも、サントリーなど実名の企業が登場しています。

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画像出典:サントリー

従来、このような日常用品は架空のブランド名にすることが常識でした。しかしその場合、特にリアリティを重んじる作品などでは、雰囲気が壊れ、興ざめしてしまう場合も多々あります。

その点現実世界にある商品を応用できれば、作品にリアリティを与えることはもちろん、企業にとっても宣伝効果となり、両者にとってWin-Winの関係が成り立ちます。

しかし、プロダクトプレイスメントには弱点もあります。わかりやすい例で言えば、悪役が使うものとして登場したり、あまりに露骨に商品が登場した場合、かえって印象が悪くなるなどです。

また、『君の名は。』のようなヒット映画なら良いですが、作品が不振に終わってしまった場合も、商品のイメージが毀損される可能性は捨てきれません。

しかし情勢を見てみると、米国でのプロダクトプレイスメントの市場規模は、2014年時点で60億ドル(約6,823億円)、2019年にはその倍近い114.4億ドル(約1兆3,000億円)に達すると予測されるなど、普及の流れは加速の一途を辿っています。

特に日本人は、芸術作品などに商業的なニュアンスが結びつくことを嫌う傾向があるように思えますが、『君の名は。』でそのような声がほとんど聞かれなかったこともあり、今後うまくすれば日本でもプロダクトプレイスメントが根付く可能性もありそうです。


トップ画像出典:『君の名は。』公式サイト
参照:シネマトゥデイ , Media Life Magazine
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筆者:株式会社Version7 代表取締役 渡邊徹則 | Twitter / Facebook

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プロフィール

渡邊徹則

渡邊徹則

株式会社Version7代表取締役。Web・コンテンツ制作、分析、マーケティングなどを手掛ける。 執筆業では、主にソーシャル、EC、海外サービス、メディアなどが専門。Twitter / Facebook @brigate7

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