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» 2014年9月30日 更新

一つ上のWebコンサルティング ユーザの要望を鵜呑みにすべきでない2つの理由

コンサルティングで、クライアントにこれまでの改善内容をお伺いすると、ユーザから届いた「お客様の声」や「アンケート結果」をリスト化し、その「要望の数」によって優先度をつけて改善しているようなケースがよくあります。

自分たちの思い込みだけで突っ走るよりは遥かに健全だと思いますが、「ユーザの要望」をそのまま聞いても失敗するケースもままあります。

その理由は、

  • ユーザは、自分の適切に言語化できない
  • ユーザは、課題は分かっても、的確な改善方法を知っているわけではない

からです。

前者は既に様々なブログで指摘されているので、本記事では特に後者に焦点をあてていきます。

ユーザの要望をそのまま聞いても失敗するのはなぜか

たとえばあるWebサイトに対して、以下のような要望があるとします。

  • もっと商品画像を増やしてほしい
  • 画面が長いので、短くしてほしい
  • カテゴリ検索機能をつけてほしい

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これらの要望をそのまま聞くと、「画像を増やそう」「コンテンツを減らそう」「機能を追加しよう」ということになりますが、果たしてこれらを行うことで、ユーザの「要望」は本当に満たすことになるのでしょうか。

「課題」と「要望」は違う

まず、「課題」と「要望」を異なることを理解する必要があります。
先ほどの例では、課題と要望を以下のようになります。

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「要望」は「サイトをこうしてほしい」というサイトの話をしているのに対し、「課題」では「~したいのにできない」というユーザの話をしています。
当然ながら、我々運営サイドが実現すべきは「ユーザの課題を解決する」ことです。


「課題」を的確に捉えないと、的外れな打ち手になってしまう

要望をそのまま聞くと、本当の課題に対応できないことがあります。
例えば「もっと商品画像が欲しい」という要望に対する課題についても、以下のように様々な可能性が考えられます。

  • 商品の使い方がわからない
  • 細部の仕様がわからない
  • 着用イメージが想像しづらい

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ユーザが「細部の仕様が知りたい」と思っているのに、細部が見えない商品着用画像を用意しても意味がないことは想像に難くないでしょう。

「課題」に対して、「改善方法」は無数にある

課題が分かると、それに対する改善アイデアを他にも考えることができます。
ユーザの要望は、課題に対する改善アイデアの1つに過ぎません。
1つの課題に対し、改善方法は無数にあるのです。

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ユーザは専門家ではないので「最適な改善方法」は分からない

ユーザにとって何らかの課題がある場合、たいていは「こうすればいいのに」という要望を思いつき、「~してほしい」という形式で要望を伝えてくれます。
しかしその要望は、「なぜ~してほしいか」という課題が明確でないことも多く、また「その要望(改善方法)が的確か」という保証もありません。

要望に対して、課題を捉、様々な改善方法の中から最適な改善方法を見出すのは、サービス提供者の責任です。
しかし、実際のビジネスの現場では「ユーザが~が欲しいと言っているから作ろう」となってしまっているケースが散見されます。
これでは「要望の裏にある課題を捉える」「課題に対する最適な改善方法を考える」という、問題解決者としての責務を果たせていないのではないでしょうか。

まとめ

ユーザの要望を鵜呑みにすべきでないのは、

  • 「要望」と「課題」を異なる
  • 「1つの要望」にも「複数の課題」がある。課題を捉えないと的はずれな改善になってしまう
  • 「1つの課題」には「無数の改善方法」がある。「要望」は数ある改善案の1つ
  • ユーザは専門家ではないので「最適な改善方法」は分からない

ということでした。

そして、ユーザから「要望」をもらった場合は、

  • まずは要望の裏にある課題を捉え、
  • 課題・原因の改善方法を考え、
  • 改善方法のうち最適なものを選ぶ

というプロセスを行うことが肝要です。

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課題を知るためには「なぜ」と問おう

ステップ1の「課題を捉える」ためには、「なぜ~が欲しいか?」を問うことが重要です。
「なぜ」を問うことで、ユーザ自身が明確にしていなかった「課題」にたどり着くことができます。

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「なぜ」を問うために、ユーザと接することが大事

このような発想を持つと、「アンケート」や「お客様の声」にだけ頼ることの危うさがよく分かります。
店舗でのアンケートや、ネット問合せデータをご覧になった方ならわかると思いますが、これらの回答データはほとんどが「要望」になっており、その裏にある課題・理由は推察しかできません。そして「なぜ」と問うこともできないのです。

なぜを問うためには、ユーザと直で接することが不可欠です。
そのための手法の1つが<a href="http://popinsight.jp/blog/?p=1105" target="_blank">ユーザテスト(ユーザビリティテスト)</a>ですが、手法によらず、このような「姿勢」を持つことがコンサルタントとして重要です。

また、改善案の検証にあたっては、<a href="http://popinsight.jp/blog/?p=75" target="_blank">プロトタイピングという手法が非常に有効</a>ですので、ぜひこういった方法も知っておきましょう。

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プロフィール

池田朋弘

池田朋弘

2013年1月、ポップインサイトを創業し、代表取締役CEOに就任。立ち上げ2年弱で、1000件を超えるリモート・ユーザテストを提供。講演やセミナー等の実績多数。

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