ニュース
» 2013年8月17日 更新

ビジョニストは世界の進化を見るか? リニューアルしたソーシャル教育サービスschoo(スクー)に聞く (最終回)

教育系ソーシャルサービスとして2012年を駆け抜けてきたschoo(スクー) WEB-campusは他ではなかなかお目にかかれない講師陣を揃え、オンラインで無料の授業を配信。その魅力的なコンテンツと双方向性を重視したサービスで2012年1月の開始から10月までの間にユーザー数は35,000人近くに! 現在注目を集めている教育系WEBサービスです。


 今回、スクー創設者の森健志郎さん(代表取締役)と中西孝之さん(取締役)にインタビューを行い、スクーのこれまでとこれから、リニューアルにかける思い、そしてマーケティングについてまでうかがいます。(本内容は2012年10月頃のインタビューです)

インタビュー第3回(最終回)は「マーケティング戦略とこれから起業する人へのメッセージ」

take01.gif


ユーザーが答えを持っていた

竹下 :マーケティングにまつわるお話をきかせてください。


mori3_200.gif :実はスクーでは「〇〇なユーザー層を獲得しよう」といったことを優先して、サービスや核となるコンテンツを設計していったわけではありません。サービスをスタートさせた当初は、基本的にプロダクト・アウト(※)的な手法で作りました。(※プロダクト・アウトとは?:企業が商品開発や生産を行う上で、作り手の理論を優先させる方法のこと)  

 当初は"メンバーで一緒に雑誌を作っていたイメージ"で(森氏・中西氏は共に前職がIT系企業ではなくメディア系企業の出身)、それがスタート直後に初期のユーザーになって下さった方々さんに受け入れて頂いたということですね。
 リニューアル前までのコンテンツの作り方は、指標化するツールがなかったり、作り手のセンスに全て左右される、属人的なものだったと言えます。そのままでは実はどれだけ受入れられるか? 「この属人的なプロダクト・アウト的な方法が本当にスケールアウトするのか」というスケール感を感じられなかったこと、そして、「WEBサービスとしてこれで良いのかな?」という疑問はずっと持ち続けていました。

 そういった疑問もあって、今回のリニューアルではプロダクト・アウトからマーケット・イン(※)的な設計に変更しました。チームとしてのマインドもリセットして、より"ユーザーのみなさんと一緒に作っていく学校"ということを感じていただき、そして満足していただけるもらえるように方向転換しています。(※マーケット・インとは?:ニーズを優先し、顧客視点で商品の企画・開発を行い、提供していくこと) 

 少し詳しく言うと、一年経った現在、スクーのユーザー数は約3.5万人。その属性を見ると26歳~32歳のビジネスマンが中心です。これが最初に予想したユーザー層とは結構異なっていたんです。当初はもっと20代前半の層が多くなることを想定していました。このことが「より学ぶことをリアルに感じている」世代について深く知る気付きになったんですが、今回のリニューアルではそういった方のニーズに応えるものになるようにもしています。

 今後は更にそれを押し進めて、「ユーザーの皆さんに出てきてもらおう」と考えています。例えば授業前に先生に質問をしたいことを投稿出来たり、授業中に参加者からの意見を抽出できたりすると。これにより「一緒に学校生活を作っている感覚」は促されそうですね。授業中だけの参加ではなくて、授業前や授業後にもユーザーの皆さんにずっと楽しんでもらう、学校生活は「授業時間」だけで構成されているわけではありませんからね。


このようなやり取りの中でメディアからプラットフォームへの流れが生まれてくるのかもしれません。つまりコンテンツをスクーから配信するだけでなく、ユーザが作ったコンテンツを配信できたり・・・、といったようなことを目指したいと思っています。

 余談ですが、 立ち上げ時期はやらなければいけないことが全然出来てなかったんです。メンバー1人で創業して、非エンジニア2人(森氏と中西氏)でスタート。そこにボランティアのエンジニアとデザイナープログラマーが加わってサービスを運営していました。12年の8月以降は、エンジニアとデザイナーが正式に加入してサービスの開発速度が一気に上がりました。12年10月以降は、授業入稿のシステムや、データ分析の段階的実施など、リニューアル以後、やっと足がかりを作れたと思います。


お客様との「目線合わせ」が重要

そしてより詳しいマーケティングについては、スクー副社長、初登場の中西さんにお話を伺いました。


中西 :
スクーでは、ここまでにも動画配信のことを「授業放送」と呼んでいたり、ユーザーのことを「学生」としていたりするなど「WEB上の学校」という軸があるのを感じて頂けるのではないかと思います。この「WEBに誕生した学校の新しいカタチ」という「設定」をぶらさないように路線修正していくのが、PR担当者である私の役割です。「どれだけ継続的に、自動的にPRされる仕組みが作れるか」が大事だ
と考えています。

nakanishi_200.gif

「WEB上に登場した学校の新しいカタチ」という設定をSNS上やメディア上、ひいては日々の学生の皆さんとのやりとりの中で以下に伝えていくことが出来るか?これがPRの肝だとかんがえています。だから、スクー学生のみなさんとの「目線合わせ」の方が最重要項目であって、「口コミ」や「シェア」などの技術的な面については「目線合わせ」の次の事項だと思います。自分もよくわかっていないものって、なかなか友達と共有できないですよね。

 現状のスクーは授業をうけていただくことがサービスの主軸だと捉えています。描く授業は60~120分で、比較的長い時間、ユーザーのみなさんに参加していただかなければなりません。そのため、事前に授業内容を擬似的に体験していただくことを意識しています。

 たとえば「授業告知ページ」。授業の内容を告知するためのページですが
、そこには「予習教材」があったり「授業目的」が記載されているなど、授業の内容を類推していただける工夫をしています。そんな中で、「この授業が面白そう!」と思った人が「受けたいボタン」などで受けたい気持ちを拡散していただく仕組みを使って頂ければベストです。

 ここは、WEBサイトの設計とも関連してくるのですが、「面白そう!」と思った感情をスポイルすることなく、twitterやfacebookなどのシェアボタンを押して頂けるようにボタンの位置や色、文言などは日々検証と再設定を繰り返しています。

拡散についての具体例:
 ユーザーが"授業を受ける"時、スクーではfacebookへのウォールの投稿を「この授業に参加する」と投稿します。こうしている理由はユーザー自身が、"参加していることを周りに伝えたい人が多い"という調査結果から(『この授業うけるよ!』と伝えるイメージ)。これは単純にページにいいね!をするのとは違って、口コミが発生しやすい仕組みになっています。

・いかにして「スクー学生」の皆さんと視点を合わせていくか
・満足度が高くなった瞬間を逃さず拡散していただける仕組みづくり
まとめると以上2点が重視するポイントですね。

 現在の schoo WEBcampusは、WEB生中継の授業放送を視聴するというのがサービスの中心です。近い将来、授業本数を本格的に増加させる段階、WEB教室以外の機能を実装していく段階を迎えますが、現状はそれらの段階に入る前のタイミングです。このため、いかに1回の授業でどれだけたくさんの人の目に触れて頂けるかということを意識的に設計しています。


飴玉で3日過ごせるか?

竹下 :最後に森さんからこれから起業する人や、新しいことを始めようとしている方へのメッセージをお願いします。

 :メッセージを渡せるほど自分にも余裕がないので、自分自身へのエールでもあるのですが、いま皆さんがやっていることを、寝食を忘れるくらいに、それだけをやって三日三晩やっていけるかどうか?を感じてみてください。それが起業出来るかどうかの分岐点じゃないかと思っています。

これは美談でもなく、実話として受け止めていただきたいのですが、資金が底をついて「もうダメかもしれない」というときに、1日1食を袋麺だけで過ごしたこともあります。他にも"飴玉だけで3日"というのをやったことがあります。お腹は壊しましたが意外と苦しくなかったです(笑)。そう、それぐらい好きか、あるいは熱中できるか、というところは自分にも毎朝問いかけています。

スキルやとかお金はあるに越したことはないですが、それらは必要条件じゃないです。熱中してやればやれば必要なスキルやお金は大抵ついてきます。飴だけでやれるくらいに楽しくやれていたら、必ず周りから助けて貰えると思いますよ。

-----------

以上、スクー森さん、中西さんへのインタビュー3回シリーズでした。皆様いかがだったでしょうか?

インタビュー当日もリニューアル直前で毎日睡眠不足で臨まれていたそうなのですが、
それでも笑顔で楽しそうに語られているお二人が印象的でした。

 私が感じたのは、やはり諦めない強さ、そしてお金を出してもやりたいことをやっているかどうか?ということ。上手くいくかはタイミングの要素も強いと言われる中、やり続けることが出来る理由をもっている人は強い、そう感じました。

ご質問や感想ありましたらお気軽にコメントなどくださいませ。

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

プロフィール

Tetsu Takeshita

Tetsu Takeshita

ビジョンドリブンな理念経営戦略コンサルタント。経営理念やビジョンを明確にし、それを組織に落とし込む、コーチングをベースにしたコンサルティングを行う。

カテゴリ

  • Webサイト構築
  • キャンペーンノウハウ
  • ソーシャルメディアマーケティング
  • データ分析/効果測定

「マーケター通信」購読一覧