ニュース
» 2012年10月19日 更新

ビジョニストは世界の進化を見るか? リニューアルしたソーシャル教育サービスschoo(スクー)に聞く (第2回)

教育系ソーシャルサービスとして2012年を駆け抜けてきたschoo(スクー) WEB-campusは他ではなかなかお目にかかれない講師陣を揃え、オンラインで無料の授業を配信。その魅力的なコンテンツと双方向性を重視したサービスで今年1月の開始から10月までの間にユーザー数は25,000人近くに! 現在注目を集めている教育系WEBサービスです。

 今回、スクー創設者の森健志郎さん(代表取締役)と中西孝之さん(取締役)にインタビューを行い、スクーのこれまでとこれから、リニューアルにかける思い、そしてマーケティングについてまでうかがいます。

インタビュー第2回めは「スクーが目指すもの」について

take01.gif

『WEB上の学校での学びが面白い』日本に

※筆者が持参した雑誌『Wired』のテーマが教育系だったこともあり、海外と日本の教育サービスの話題からスタート。なお、発売中の『Wired』vol.5のテーマは「未来の学校」で、こちらも併せてオススメです。)

竹下 なぜ"単なるe-learning的なもの"との違いを強調するんですか?

 「日本国内と比較して、国外の学びや教育は状況が異なると感じます。経済状況や発展度合い、キャリア感によって、良しとされる教育が変わってくるのではないでしょうか。
_DSC11882_590.gif

 一方で日本に目を向けると、あくまで英語圏と比較してですが、ほぼ全ての人に義務教育を中心とした学ぶ機会が与えられていて、都心では、社会人向けのセミナーが溢れています。そのような恵まれた状況下において、国内の教育系サービスが着眼すべきものは、"フリーで学べる"ということよりも、"学びに対して食指が動く=楽しく学べるか"どうかが重要であると考えています。
 
 現在、英語圏で教育系サービスが注目されている(※1)からといって、類似モデルを日本用にローカライズ(※2)したとしても上手くいかないと考えています。そもそも英語圏という括り自体が広いのですが、教育を受けたいけれども、地理的な要因や、貧富の差などの「機会の問題」で受けることが出来ないという問題が大きいと思うんです。だからこそ英語圏では「フリーの教育サービス」の価値が大きいし、教育機会を平等にするという時点で、ビジネスとしての可能性も社会的意義もあると思うんですよ。

 だからスクーは、今の日本における学びの課題感をしっかり見つめた上で、サービスを設計しています。もちろん、動画音声の自動翻訳・自動字幕等、言語障壁はいずれ簡単に越えられる世の中になるので、長期的に海外教育サービスと戦えるグローバル展開が可能なサービス、そして戦略を作っていくことは大前提です。ですが、今、私たちがすべきこととして、まず、日本人がいかに『WEB上の学校で提供される学びを面白いと思うか』という点に注力しています。


これを聴いて私は「schoo WEB-campusこそジャパニーズメイドなジャパニーズベストなサービスになっていくのでは?」と感じました。皆さんはどんな感想を持たれましたか?


問題解決の速度を上げ、世の中をより良くしたい

2012-10-19_1342_schooコンセプト_590.gif

竹下 改めてコンセプト、そして今後の将来的なビジョンを聞かせてください。

 「"学び続けるひとを増やす"ということに尽きると思います。これは、何故schoo WEB-campusをやろうと思ったか、そして「WEB上に誕生した学校の新しいカタチ」をどう作りたいか、ということにつながってきます。

 "学びたいという気持ちがあっても、何から手をつければよいかわからない"、あるいは"学べていないのではないか?"といった漠然とした不安を持っている人がいるんです。僕はそんな不安・不満を感じる社会人の食指が動く、学び続けることが出来るようなプラットフォームを作りたい。それが社会的にもインパクトを与えることが出来るのではないかと思っています。

 (社会的インパクトを説明する前に前提として)僕は"世の中に大きな影響を与える仕事をしたい"と思っています。そして、学びや教育という分野は人の根幹、つまり根っこの部分を構成するものであり、人を形作るものと考えています。だから少し大きな話ですが、特に社会人の学びや教育を進歩させることが、戦争とか政治とかも含めた様々な問題の、解決に至るまでのスピードを高める、それも加速度的に高めていく、って思っているんです。

 だからこそ、私たちがこのサービスを通じて実現していきたいことは、人の根っこである学びの環境を変えて、全ての問題解決の速度を上げて、世の中もっと良くしていくことなんです。僕たちはそれが一番やりがいのあることだと思ってるんですよ。」

...と、以上のように熱く語っていただいた森さんだが、元々そういった「教育を変えたい」という問題意識からschoo WEB-campusが始まったわけではないという。

「ニコニコ動画の競合として見られるくらいに」

森さんはどちらかと言うと「面白いことを実現したいタイプ」で、面白いものを追求した結果、そこにあったものが「ずっと卒業しない学校」=schoo WEB-campusであったとのこと。

 「だから、社会的な意義を果たすのは勿論ですが、作ったものがプロダクトとして面白いかどうか? そして、『株式会社スクーは面白いものを作れるチームだ』と思われたいと考えています。

『WEBで文化祭とかミスコンとか面白いよな』とか、『Facebookの最終学歴がみんなスクーだったら面白いな』ってチーム全体で終わらない学生生活を妄想しながらサービスを開発していますよ(笑)」

PH_schoo_member_590.gif

そしてこんな想いも語ってくれた。

目指すのは「WEB×学びのサービスでの上場

 「隅々まで調べたわけではないのですが、e-learningのサービスは10年~20年前に注目されました。でもその中で株式上場に近い成長を実現した会社は、潜在的な市場と比較して少ないと感じています。
 だからだと思うんですが、投資家の方を始めとして、(スクーの)プレゼンテーションを聞いていただいた方々からは、『教育はお金になりにくい』と言われることが多かった。実際、同世代のITベンチャーで教育系をやりたいと思っていたけど、事業計画書の段階で別分野のサービスに方向転換した人も多いと聞きます。良い人材が教育を変えるためになにかやってやろうと思ったんだけど、そういった過去の事例が、良い人材が教育に入ってくるのをある意味止めている部分があるんです。

 教育系にはボランティアやNPOが多いんですけど、これからはユニクロやSoftBankのような企業が教育系の分野に出てこなければいけないなと思っているんです。そうならなければ、教育や学びが本質的に変化して、世の中が変わっていくスピードを上げていくことは難しいと思うんです。教育って非常に大きい市場ですし、学ぶことってあらゆることと密接に結びついている。非常にダイナミックで、社会的意義としてもビジネスとしてもやりがいのある分野だと考えています。
 だから、ここでスクーがしっかり成功モデルを構築して、この状況を変えていきたいという想いもあります。(上場を目指す!)
 
1年のサービス運用を通じて、ニーズを強く感じています。あとはどれだけ掘り下げて突き詰められるか? そこに尽きると思っています」


思わず応援したくなる森さんの人となり

自己資本で創業したこともあり、当初は苦しい時期が続いた(次回詳細)という森さん。そんな苦しい時でも色々な方に助けてもらえたからやってこれたという。それは「"面白そう"、という思いを共有して応援してもらえるサービスだったからでは?」と森さん。
 
 一方で私が感じたのは、「応援してもらえるサービスだったから」だけでなく、その面白いものをとことん追求していく姿勢や、結果的に見出した社会的意義も大事にする、そんな森さんの"人となり"を応援をしたくなった方が多かったのでは?ということです。皆さんはどう感じられましたか?


さて!次回は開始から1年たってのリニューアルの理由、マーケティングについてなどをお伝えします。是非、10月16日から始まった魅力的な講師陣の授業を楽しみながらお待ちください。質問や感想などもお待ちしてます。


・10月以降受講可能な講師陣はこちらhttp://schoo.jp/class?f=live)

take04.gif
=====

※1 ネット上でアメリカ有数の授業を無料で受けられるサービスが増えている。「MOOC(massive open online course、ムーク)」と呼ばれ、「カーンアカデミー」などが有名。
 参考記事
「公開オンライン講座本格普及で米トップ大学の講義もコモディティー化する」 -Newsweek日本版-

※2 ローカライズとは「ある特定の国を対象に作られたものを、別の国でも利用できるようにすること。主に、コンピューター関連で、英語版のソフトウェアを日本語化することなどを指す。単にメニューなどを現地語で表示するだけでなく、日本語入力システムのような機能を追加する場合もある。」
("デジタル用語辞典"より)

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

プロフィール

Tetsu Takeshita

Tetsu Takeshita

ビジョンドリブンな理念経営戦略コンサルタント。経営理念やビジョンを明確にし、それを組織に落とし込む、コーチングをベースにしたコンサルティングを行う。

カテゴリ

  • Webサイト構築
  • キャンペーンノウハウ
  • ソーシャルメディアマーケティング
  • データ分析/効果測定

「マーケター通信」購読一覧