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» 2012年12月 5日 更新

元・百貨店マーケッターが見た【住宅業界】の明日 付加価値は「お客さまを喜ばせる」方向であることが前提

  ITmediaマーケティング読者のみなさま。
はじめまして。ネクスト・アイズ早坂と申します。

 中立の立場で住宅全般に関する対応を承るネクスト・アイズ(株)にて【ブチョ~】と呼ばれる立場で《ハウスネットギャラリー》という注文住宅リフォームポータルサイトを運営しながら、《ハウスネットギャラリー》でわかったお客さまの興味/関心と、あちこちから直接、間接的に聞いてくる市場/行政/政治の動きを掛け合わせて、主に新しいことを立ち上げるような仕事をしてます。

 このコラムでは、よのなかの傾向と自社ポータルサイトの運営・検証、接客を通して、日々気づいたこと、取り組んでいること、発見したことを、徒然とまとめた内容について、弊社会員プライベートメルマガでご案内した内容から厳選して、読者のみなさまにお伝えさせていただきます。

 施工会社のオーバーストア化をはじめ、消費税増税与件・国を挙げた住宅の低炭素化に向けた取り組みなど、住宅業界もIT業界と同じような変化の波にさらされており、あわせて、住宅のスマート化に代表される、住宅(日々の暮らし)とITのシームレスな融合が、いままで以上に進んでいきます。

 いままでは、住宅業界・IT業界とも、まるで『水と油』の関係でしたが、今後は住宅のスマート化に呼応して住宅業界・IT業界の融合が着々と進んでいきます。
両方の立場を経験していることを通じて、読者のみなさまにそのエッセンスだけでもお伝えできれば、と考えております。

 今後とも、よろしくお願いいたします。



 さて、現在、技術論やマーケティング論にあけくれた日々からちょっと離れ、いろいろな方々のお話をお伺いしながら、これからの段取りを練る作業を続けています。

『誰にも真似できないオリジナリティ』とは

 自分の経験は「誰にも真似できないオリジナリティを追求する」と言い切れる方々はたくさんいらっしゃると思いますが、その『誰にも真似できないオリジナリティ』とは、いったい誰が評価してくれると『いわゆる【成功者】とみなされるのか、お考えになったことはありますか?

 例えば、工務店の営業担当者であれば......、『自分が住む地域ならではの工法を独自に編み出した結果、地域で一番になった』というのは【自信の源】ですし、ハウスメーカーで営業に携わっている方々なら、【全社でベスト10】というのも【名誉】です。

 これらの大原則を実践するために、どういったルールを自分に課すべきかをお考えになり実践された結果が、このように華やかな実績を挙げられた原動力かと思っています。

 しかし、その企業の事業計画・販売促進セクションで、事業計画、営業企画、販売促進の経費予算をもち全部自分で仕切っていたり、個人事業主か企業経営者でない限り、流通以外の業務は、最終的にはその組織【だけ】が儲かる仕組みが一般的です。

※私自身、営業企画スタッフと売場経験の双方を経験しているので、上記の考え方は身にしみて理解しています。


戦術(作戦)を構築するために必要な【付加価値】とは

 では、生き残るために必要なことはなんでしょうか? 自分で手を動かしひとりでものづくりを完結できることは最低条件ですし、さらにオリジナリティがあり、お客さまに支持されるだけの成果物を作れる方々が高い評価を得やすいことは間違いありません。

 でも、たとえそのような方々でも、普通の算数(予算計画)は必要であり、その数字を達成するための仕事のやり方、ビジネス論をどの程度まで具体化し、その時々の状況により、どのように対応していくのかという戦術(作戦)が必要です。

 その戦術(作戦)を構築するために必要な【付加価値】とは、一言で言って【お客さまを喜ばせる】こと。

 ビジネスの成功に必要なことは、自分が信じているオリジナリティ磨き。そして、そのオリジナリティを貫くために必要なことは【単純な】計算、論理。

 よって、最も高い優先順位にて考えることは『1人でも多くの人に自分たちの仕事/活動を知っていただく』ことです。

 みなさまご存じの通り『1人でも多くの人に自分たちの活動を知っていただく』ことは、住宅業界でも『ネットのおかげで、お客さま側のリテラシーが向上している』ことや『業界側が、一度成功したパターンを、セールス手法も含めて繰り返している』ことが背景にあり、このような動きは徐々に浸透しています。 周りを見渡すと、この背景は音楽業界をはじめとするエンタテイメント業界などの【コト売り】業界に共通する要素です。

 一方、ネットによるお客さま側のリテラシー向上は、売り手優先と呼ばれていた住宅業界の仕組みの裏側が、潜在的見込み客をはじめとするお客さまに知られてしまう弊害をもたらしました。

 同じように、住宅専門ポータルサイトの掲載や専門雑誌掲載、住宅クチコミの中身にせよ、1人でも多くの見込み客を獲得したい住宅業界側の【売り手の事情】にすぎないことも、お客さまに広く知られています。


【お客さまを喜ばせる】ため、私たちが向かうべき方向とは

 では、このように買い手側に売り手側の裏情報が見えている以上、【お客さまを喜ばせる】ため、私たちが向かうべき方向は何なのでしょう?

 向かうべき方向とは、それらの【手段】を使い、自社がどこに向かおうとしているのか見せていくことなのです。

 つまり、自社はいままでと違うところに、どう向かっていくのか。

 いままで、成功していた切り口のひとつである【創業者サクセスストーリー】についても、たとえば『自社の商品・サービスがいちばんだから、あなたは文句言わずに黙って買ってください』という意図が透けて見えるように、目指す方向性が他社と同じところである限り、オリジナリティがあるとは言えません。 謳うべきポイントは【どんな言い回しをするか】ではなく【自社(自分)はどこに向かおうとしているのか】です。

 みなさまの信念であるかと思いますが、住宅業界の存在そのものは地域社会にとって価値のあるものであり、その価値を守ろうとすることは、すなわち【財産】を守ろうとすることです。

 もちろん、技術については、直接手取り足取り教え込んでいかないと、決して自分のものにはなりません。

 でも、自分のなかからほとばしるように出てきた【考え方】【仕事に対する取り組み方=気構え】については、人に分け与える(シェアする)ことや自分の考えを人に伝えていく行為こそ、みなさまが取り組んでいくべきことなのではないでしょうか。

 エンタテイメント業界のような【流行に売上が大きく左右されるコト売り業界】では大がかりな取り組みが始まっていますが、政策や景気動向に大きく左右される住宅業界においても、そのような活動をやらない会社は衰退していく可能性は高いのではないでしょうか?。

 外部の人とか考え方を巻き込まないで『自分たちだけで囲い込んでやろう』という会社は、残念ながらだんだん衰退していくだろうと考えています。

 逆に【短期間の流行に売上が大きく左右される業界】に長年いた私の感覚ですが、『こういう面白い考え方とノウハウがあるから、みんなでうまく使ってみませんか』と伝えていくほうが、会社も商品も愛される確信があります。


人に分け与えることや自分の考えを人に伝えていく取組み

 同じような見方を、今度は【管理職】マネジメントという立場で観てみます。

 今後は、マネジメントでも仕事に対する【考え方】や仕事に対する取り組み方=【気構え】について、先に述べた人に分け与えることや自分の考えを人に伝えていく取組みが、いっそう重要視されていきます。

 昨年、経団連が経営トップに対して実施したアンケートでも、実は同じような結果が出ているのです。以前は【業務指示】や【情報伝達】が中間管理職の主な役割でしたが、現在は大きく異なっています。

 現在、経営トップが最も重要視している能力とは【新しい事業を自ら企画立案する】こと。
 あわせて【部下のキャリア育成をする】ような【リーダーとしての横顔を示す】ことも求められています。

 つまり、【「こういう面白い考え方とノウハウがあるから、みんなでうまく使ってみませんか」と伝える】ことや、部下の提案を辛抱強く待ちながら部下が悩んでいるときに的確にアドバイスする【リーダーとしての横顔を示す】ことが今後、自分たちが生き残る方法論になっていくのでしょう。

 いまの若手には【上司の背中を見ろ】といっても通用しません。

 仕事の一部を切り出しても、全体像が見えなければモチベーションが上がりません。また、自分の頭でじっくり考える機会を与えないと、成長はありえません。

 仕事では予算と責任がついて廻ります。一方、自分1人で動いても、個人で実現できることには限度があります。

 仕事でも何でも他人とはちょっと違った切り口で【見える化】していかないとその他大勢に埋没。結果よろしくない将来が待っている、ということなのです。

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早坂 淳一

早坂 淳一

中立の立場で住宅全般に関する対応を承るネクスト・アイズ(株)にて【ブチョ~】と呼ばれる立場で《ハウスネットギャラリー》という注文住宅リフォームポータルサイトを運営しながら、《ハウスネットギャラリー》でわかったお客さまの興味/関心と、あちこちから直接、間接的に聞いてくる市場/行政/政治の動きを掛け合わせて、主に新しいことを立ち上げるような仕事をしてます。

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