ニュース
» 2012年12月30日 更新

元・百貨店マーケッターが見た【住宅業界】の明日 新内閣組閣にあたり、気がかりな経済指標のいくつか

金融緩和の拡大による影響

26日に組閣された安倍政権では日銀との政策協定(アコード)で「物価目標」と
して消費者物価の前年比上昇率2%を目指す方針を日銀と共有。
日銀が市場で国債などを買って世の中に出回るお金を増やす金融緩和を拡大
させる考えを持っています。

 並行して、あまり報じられていない方針のひとつとして新政権では財務省外し
が進むと見られておりますが、財務省局長級以上には年末年始休暇を返上。
『体制』をとるようにとの指示が出ています。
2012年度補正予算や本予算編成もありますが、休暇返上とは、かなり異例の
対応となっています。
この体制で財務省主要職員は全員出勤となりますので、霞が関は財務省と
内閣府が総出の体制となります。
 今年の年末年始の金融機関休業は例年に比べて長いこと、ならびに財務省が
緊急体制を取ることは、しかるべき対応を考えるべきタイミングともいえます。


最悪のシナリオとは?

 この、霞ヶ関がしかるべき対応として想定しているかもしれない最悪のシナリオ
は以下の通りです。

 それは、年始にかけて新興国のディフォルトなど、何らかの金融不安を引き金に
リーマンショックの影響を上回る円高・株安・金利上昇が考えられること。

 この場合、リーマンショックでご承知おきの通り、大企業社員を中心とする
【注文住宅を建てる潜在的見込み客】住宅購入マインドが一気に冷え込む可能性
が高くなり、あわせて中小企業社員の住宅購入マインドも一気に冷え込みます。
 つまり、年末年始に想定される【住宅取得家族会議】は、かなり厳しい結果に
陥る可能性が高まる、ということです。


 その市場自然崩壊がもたらす影響は以下の通りです。
月々の月給が増える見込みがないまま住宅ローン金利は上がり、官製インフレに
伴う資材価格・職人手間の上昇で建築費が上昇。

 住宅ローン金利上昇は、すでに住宅ローンを利用している方々に対する負担感
はもちろんですが、これから住宅ローンを組む方々に対しても、十分な買い控え
影響をもたらします。

すでに、国債金利上昇をうけ、民間金融機関の10年期間固定住宅ローン金利は
上昇に転じ、フラット35金利も1月実行金利から上昇することが予測される以上、
特にフラット35融資実行のタイムラグ(建物引渡時に融資実行)を考慮すると、
1月から新築を検討した場合、新築引渡時の金利はいままでとは全く異なる
様相になっていることが、容易に予測できます。


 住宅ローン金利上昇と資材価格高騰による買い控えが始まったと仮定した場合
消費税増税が延期になったとしても、予定通りに増税だとしても、増税の世論が
続く限り、金利上昇と建築価格高騰の不安がもたらすローコスト層を中心とする
駆け込み需要は、しばらくの間見込まれるでしょう。
 そして、増税をきっかけに、筋肉質ではない企業は一気に淘汰されてしまう
可能性が高まります。

 企業の体力向上は1日・1ヶ月・半年程度ではそう簡単に済まないだけに、
年末年始を問わず、着々と準備を重ねていくしかないのでしょう。


金融資産と債務残高差額の逆転がはじまる


 12月21日のロイター(東京)電で、気になる報道が流れました。
日銀によると、家計の純金融資産と地方公共団体などを含む一般政府の債務
残高の差額が9月末に22.4兆円と過去最小になり、逆転が視野に入ったとの
ことです。
 預金など家計の金融資産が金融機関を通じて国債投資に向かう構図が
定着している中で、国債発行の増加に歯止めがかからない現状では、
中長期的な国債消化への不透明感を強める一因になり得るのです。

 次期政権を担う自民党は10兆円規模とみられる2012年度補正予算の編成を
打ち出しており、国債の追加発行も視野に入ります。
日銀は19~20日に開いた金融政策決定会合で、資産買入基金による国債
(短期国債含む)の10兆円増額という追加金融緩和を決定しています。

 日銀による累次の追加緩和による大量の国債購入は、市場に一定の安心感を
もたらしている一方、白川総裁が指摘しているように市場が財政ファイナンスと
受けとめれば、長期金利が上昇する危うさがあります。


 主要メディアでは『長期金利上昇で政府・日銀の政策効果が減殺されないよう
新政権には、成長戦略の実行による景気浮揚と財政規律維持の両立めざした
経済・財政政策運営が求められる』と、優等生的なまとめかたをしております。

 ただしヘッジファンドをはじめとする機関投資家は、そう考えない例が大半。

 新しい内閣が打ち出す〈バラ色の景気対策〉の裏で、このような大きな問題が
存在していることに気づいている方々は、金融関係者以外そう多くありません。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

プロフィール

早坂 淳一

早坂 淳一

中立の立場で住宅全般に関する対応を承るネクスト・アイズ(株)にて【ブチョ~】と呼ばれる立場で《ハウスネットギャラリー》という注文住宅リフォームポータルサイトを運営しながら、《ハウスネットギャラリー》でわかったお客さまの興味/関心と、あちこちから直接、間接的に聞いてくる市場/行政/政治の動きを掛け合わせて、主に新しいことを立ち上げるような仕事をしてます。

カテゴリ

  • Webサイト構築
  • キャンペーンノウハウ
  • ソーシャルメディアマーケティング
  • データ分析/効果測定

「マーケター通信」購読一覧