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» 2013年1月31日 更新

元・百貨店マーケッターが見た【住宅業界】の明日 【消費税増税】というキーワードを高額品消費の【動機付け】に使う方法

■ 消費税増税前の【新生活】のほうが、
  増税後に【新生活】を迎えるより得

 読者のみなさまもご存じの通り、消費税率は2014年4月に8%に、2015年10月に
10%に引き上げられます。税率が上がる2014年4月以降に引き渡しされる住宅
にはこの新税率が適用されます。
ただし1997年の消費税増税時と同じように消費増税が確定すれば、あわせて
経過措置が公布される可能性が高いことは、すでにご存じのことかと思います。

 仮に住宅の消費税増税分が現金還付されたとしても、家具・家電などの購入費
や引っ越し代は経過措置の適用外になるので、増税前に入居・購入してしまった
ほうが、【家づくり】=【新生活】にかかる全体のコストは安くなります。
この事実は、売り手以上に消費者の方々のほうが理解しており、今回も駆け込み
需要が発生することが予測されていますが、消費税率が8%に上がる2014年4月
以降も駆け込み需要が続くことが予測されています。


 次に、1997年の消費税増税と大きく異なる与件がいくつかあります。
まず、前回の増税は地価が下落するなかで行われ、駆け込み需要が終わって
からも土地の価格などが下がったことから、ある程度は土地なし客需要を見込む
ことができました。
ただし、現在の地価動向はほぼ横ばいであることから、建築価格などの上昇分を
土地価格の下落で吸収することは、そう容易ではないでしょう。

 あわせて、一次取得層をはじめとする給与所得者所得が頭打ちであることから
今回の駆け込み需要は『増税前に買わないと、もう家を建てること・買うことが
できない』という消費者心理が一層強くなることが予測されます。
 消費税のかからない一般仲介が主流の中古物件をはじめ、市況の影響を受けに
くい各地の郊外については、買い急ぐことがないことから注文住宅を検討してい
る見込み客が中古物件や各地の郊外物件に着目すると、注文住宅を検討する
優先順位が大きく下がってしまう可能性もあります。


■ 駆け込み需要を掘り起こすため、
  心理学的テクニックを使う

 これらの点を踏まえると、今回の駆け込み需要で決められない方々に対し、心
理学に沿ったアプローチ方法をとることにより、より成約の可能性を高めること
ができると考えられるのです。

 それは『AだけどBですね』とお客さまを褒める方法。
自己定義したものに強い愛情をもつ性質を、心理学では『自己定義欲求』と呼び
ます。そして自己定義欲求は女性よりも男性のほうが強いことが知られています。
 たとえば、雑誌に載っているような人気のレストランが好きなのは、主に女性
です。逆に男性は何事にも『オレにしかわからない』と思いがちです。
だから、自分だけが知る『穴場の店』を持ちたがるのです。

 こうした性質を利用すると、消費税増税のような【誰でも知っていること】の
話題についても大きな効果を持ちます。
ポイントは【知られざる一面】を案内すること。
たとえば、経過措置はもちろんのこと、家具・家電などの購入費や引っ越し代は
経過措置の適用外になることや、消費税増税後も土地価格の大幅な下落は
見通せないことなど、アナリストであれば周知の事実でも、一般の方々は
なかなか理解していない可能性があるのです。

 これは心理学の用語で『フォアワー効果(バーナム効果)』と呼ばれています。
アメリカの心理学者バートラム・フォア(en:Bertram Forer)の名をとった効果
ですが、これは、学生に適当な性格テストを実施し、その診断結果をランダムに
帰す実験を行ったところ、9割以上の学生が「分析はあてはまる」と信じた実験
結果によります。
『あなたはこういう性格だ』という断定。特に「あなたは外向的な一方、内向的
な一面もある」という【二面性の断定】をひとは簡単に受け入れてしまうのです。


■ 【ご主人が自ら気づいたような】そぶりを演出

 異性を口説いたり『おねだり』するテクニックとして用いられる場面が多い
『フォアワー効果』。
 【消費税増税】という、だれもが知っていることに対して増税前に【新生活】
を迎えたほうが、増税後に【新生活】を迎えるよりも全体のコストを抑えられる
こと。そして、その事実を【ご主人が自ら気づいたような】そぶりに持ちかける
方法が、より効果を持ちます。
 そこで対面接客で消費税増税をたたみかけるのではなく、ご自宅にお届けする
ニュースレターやハガキDMで商談の根回しを仕掛けていくのです。

 サラリーマンの既婚男性が社長以上に恐れているのは、実は奥さまの存在。
商談中に『ウチは亭主関白だから』という方もいらっしゃいますが、家庭内では
奥さまのほうが上で、表向きは偉そうにしていても、家では奥さまに頭が上がら
ないのが実情です。
そのような家庭内の状況のなか【ご主人が自ら気づいたような】そぶりを演出す
るには、ハガキやニュースレターなど、家族が観ることができるようなツールを
使い、さりげなくご主人が自ら気づいた、という演出をするのが効果的。
【消費税増税】というお金に関することを匂わせることで、増税前に【新生活】
を迎えたほうが、ずっとお得という事実を知った奥さまがご主人にプレッシャー
をかける、という算段です。

 消費税増税というお金に関することは、奥さまにフォーカスを当てたほうが、
商談中のお客さまも焦るため、商談の進捗もスムーズ。
より早めにクロージングをかけることができると想定できるのです。

       ネクスト・アイズ株式会社 早坂     http://www.nexteyes.co.jp/

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プロフィール

早坂 淳一

早坂 淳一

中立の立場で住宅全般に関する対応を承るネクスト・アイズ(株)にて【ブチョ~】と呼ばれる立場で《ハウスネットギャラリー》という注文住宅リフォームポータルサイトを運営しながら、《ハウスネットギャラリー》でわかったお客さまの興味/関心と、あちこちから直接、間接的に聞いてくる市場/行政/政治の動きを掛け合わせて、主に新しいことを立ち上げるような仕事をしてます。

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