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» 2013年8月31日 更新

元・百貨店マーケッターが見た【住宅業界】の明日 『住宅の買い時意識』の急激な変化が示す意味

 今回は、『住宅の買い時意識』の急激な変化と古典的なマーケティング理論で
ある【イノベーター理論】から、おおまかな増税後の市場規模を予測してみます。
少なくてもゼロになることはありませんが、情報に敏感な方々からご成約いただ
ける可能性が高まることは間違いありません。


■ 『住宅を買い時』と考える方が減少

 住宅金融支援機構(東京都文京区)では、今年6月に住宅ローン利用予定者を
対象に実態調査を行い、8月30日に調査結果を発表しました。
 この結果によると、「今が住宅の買い時」と感じている人の割合は47.2%と、
2013年2月時点調査の55.5%から8.3ポイントも減少。
2012年度2月時点の調査以来の50%割れとなりました。

「わからない」と回答する人は37.5%と、前回調査と比較して4ポイント増加。
「そう思わない」人は15.4%。前回調査と比較して4.3ポイント増加しています。

 消費税増税に関する論議がここまでメディアで多く取り上げられる前の6月
調査でも迷う生活者の姿が見て取れているなか、お盆明けからの住宅展示場
は契約前の打ち合わせと、重い腰を上げて家づくり検討をはじめた方々で大賑わい。
いままで以上の忙しさになっているそうです。


■ 【イノベーター理論】と組みあわせてみる

 これをマーケティング理論では古典的な【イノベーター理論】と組み合わせて
考えてみます。
 ※イノベーター理論
  1962年に米スタンフォード大で提唱されたイノベーション普及に関する理論


 消費税増税が閣議決定されたときいち早く動いたのがイノベーターと呼ばれる
冒険心にあふれ新しいものを進んで採用する人。(市場全体の2.5%)
次にアーリーアダプター、またはオピニオンリーダーと呼ばれる、流行に敏感で
情報収集を自ら行い判断する人(市場全体の13.5%)。
これらの方々は早々と契約を済ませ、今頃入居しているころかもしれませんね。

 ゴールデンウィーク頃に活発に動いたと想定されるのがアーリーマジョリティ
と呼ばれる比較的慎重な人。平均より早めに新しいものを採り入れる方々です。
(市場全体の34.0%)
つまり消費税増税が閣議決定してからゴールデンウィークまで、ちょうど市場の
半分の方々が実際に商談~契約~着工~入居まで進めていることになります。

 現在迷っているもしくは展示場に行って商談している方々は、レイトマジョリ
ティと称する比較的懐疑的な人(市場全体の34.0%)。

 残り16%の方々は、ラガートと称する最も保守的な人。
流行や世の中の動きに関心が薄いことから、アプローチしてもなかなか動かない
方々です。


■ 消費税増税後に家を建てる層とは?

 ここで、住宅の「買い時」感とイノベーター理論をあわせて考えてみましょう。
現在、迷っている人は、比較的懐疑的な34%を占めるレイトマジョリティと想定
されます。

 イノベーターやアーリーアダプターは、増税よりも住宅ローン金利動向や
すまい給付金の正式スタートのきっかけとなる消費税増税に関心が向きます。
実際にすまい給付金のサイトを使って、自分がどの程度の給付を受けられるか、
木材利用ポイントはどこまで対象になるか。きっと試算していることでしょう。
つまり増税後の初速を取れる方々は、イノベーターとアーリーアダプター。
そしてアーリーマジョリティで、増税前に家を買わなかった層になります。
(市場全体の50%から、昨年~今年春までに契約した方を除く)
昨年~今年春に契約した方を仮に20%とすると、まだ市場全体の40%程度の方々に
は契約の見込があるとも考えられるでしょう。

 また9月末までに契約まで持ち込めなかったレイトマジョリティもある程度の
市場規模はあるでしょうから、消費税増税正式決定の有無で大きな影響をうける
住宅ローン金利動向をはじめ、すまい給付金、木材利用ポイント、住宅ローン減
税や公的な補助金の内容をしっかりご理解いただくことで、増税後でも商談が継
続する可能性が高いとも考えられるのです。
仮に商談が継続する可能性が高い割合をおおよそ半分と仮定すると、市場全体で
約17%の方々が見込客として存在する可能性があります。


 両方あわせると、そのシェアは市場の約57%。


 つまり、増税前の市場を100%とすると、その6割弱はゆるやかな見込客として
商談が継続する可能性があります。


■ 冬の時代に備え準備を重ねた企業が勝ち組

 確かに、住宅の「買い時」感が後退したことは、増税後の市場が約6割に縮小
してしまうこととあわせ、冬の時代にはまちがいなく突入します。
増税前から着実に見込客と顧客対応力を蓄えてきたみなさまであれば、よしんば
成約確率の高い見込客が6割弱になったとしても、着座率の向上に始まる追客の
工夫と成約率を向上させる工夫を凝らすことで、消費税増税が本決まりになった
としても前年に対し極端に大きく落ち込むことは避けられるのではないか、とも
考えられます。


 あくまで古典的なマーケティング理論に基づく楽観的な予測ですが、消費税
増税に向けて地道に力を蓄えてきたみなさまであれば、増税による影響はきっと
大きなものではないのかもしれません。


 参考資料:
     住宅金融支援機構
     2013年度民間住宅ローン利用者の実態調査
     【民間住宅ローン利用予定者編】(第1回)

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プロフィール

早坂 淳一

早坂 淳一

中立の立場で住宅全般に関する対応を承るネクスト・アイズ(株)にて【ブチョ~】と呼ばれる立場で《ハウスネットギャラリー》という注文住宅リフォームポータルサイトを運営しながら、《ハウスネットギャラリー》でわかったお客さまの興味/関心と、あちこちから直接、間接的に聞いてくる市場/行政/政治の動きを掛け合わせて、主に新しいことを立ち上げるような仕事をしてます。

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