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» 2013年11月 9日 更新

私の記事を読まれるほとんどの読者のみなさまは、戸建注文住宅の請負を
主要商材としてお取り扱いのことと思いますが、今後はネットによる情報の
均等化、ならびに自社の顧客を
しっかり定義したうえで、売り手コンプライアンス
意識の悪化をうけた消費者
(つまり施主)の不信感を払拭する集客・追客手法の
検討が、今後より大切になる
のではないか?という検討をしてみました。。。

どの業界も同じような結果になると思いますが、特に新築戸建注文住宅について
は、その傾向がよりはっきりした傾向であらわれました。


■ 消費税10%になると6割以上の平均所得金額以下の世帯は市場から消失?

ある資料をつくるにあたって、現在の分譲住宅の価格を調べておりました。
全国的な平均価格は3,500万円台、首都圏では4,000万円台でしたが、この価格は
世帯年収が400万円~500万円台の層が住宅ローンを借りられる金額とほぼ一致
しておりました。

次に、世帯年収が500万円台以下の層について、所得金額階級別にみた世帯数
の相対度数を『厚生労働省:平成22年度(2010年度)国民生活基礎調査』で調べて
みたところ、約6割の世帯が該当することがわかりました。

アベノミクスがうまくいったと仮定すると、物価上昇率は2%~3%になりますが、
一般的には物価が上昇すると金利は上昇します。
さらに、円安をうけ輸入品価格が上昇するということは、住宅の材料費が上昇
すると考えるのが自然です。

追い打ちをかけて2015年10月以降消費税が10%に上昇すると、税引前世帯年収
が500万円世帯の場合、2016年の実質可処分所得は2011年比で▲7.57%、
32.89万円も減少してしまいます。

この状態では現在の金利のままだとしても、めいっぱい住宅ローンを借りても
現在より借入可能額が減ってしまいますが、住宅ローン金利が1%上がると年収
500万円世帯で借入可能額が600万円の減少となります。

荒っぽい言い方をすれば、2010年度で約11.1%を占める年収400万円~500万円台
層を中心に、その下で13.1%のシェアを占める年収300万円~400万円台層と、その上
で9.4%を占める年収500万円~600万円台層、つまり全体の33.6%程度を占める年収
300万円~600万円層の年収ランク=借入可能額の層が消失するといっても過言では
ありません。

これが、2015年ショックと予測されている内容であることは、みなさまご理解の
ことかと存じます。


■ 平均所得金額以上の世帯については、消費税増税が追い風に

ただ、年収600万円以上の層(『厚生労働省:平成22年度(2010年度)国民生活基礎
調査』において34.4%のシェア)は、住宅ローン減税の恩恵が大きくなることから
住宅取得における影響はさほど大きくないものと想定されています。
逆に世帯年収が上がれば上がるほど、今度は相続税改正の影響を強く受け、評価
減を狙っての二世帯住宅・賃貸併用住宅に関心が向かっていくことも読者のみな
さまはご理解されていることと存じます。

この傾向に、消費税の逆進性(高所得者よりも低所得者の税負担率が大きくなる
こと)が加わります。ただし、生活必需品における軽減税率の導入は、どの品目を
選ぶのか?
という点について、すべての品目に利害関係者がいることから
政治コストが上昇
していくことならびに税の非効率化をもたらし、消費税増税による
税収増にブレ
ーキをかけてしまいます。


■ 実際のところ、主に持家(戸建注文住宅)を好んで購入する層は?

このような数値を予測するにあたって、割とポビュラーな国土交通省『住宅着工
統計』をはじめ、2015年と2016年着工棟数予測は住宅金融支援機構の統計、
2015年と2016年の持家数はみずほ総研の予測数値を私のほうでもあたってみたところ
2004年度~2014年度の持家着工数シェアは2004年度=30.8%に対し2014年度予測
=36.9%に上昇しているのです。

 新築住宅着工数(全体)=
  2004年度:1,193,038棟/2014年度:869,000棟(2004年度比72.8%)
 新築住宅着工数(持家)=
 2004年度: 367,233棟/2014年度:321,000棟(2004年度比87.4%)

ということから観ても、持家の着工数は景気や金利動向に大きな影響はうけない
ということがわかります。

次に、上記のシェアをそれぞれ比較してみます。
・2010年度の世帯年収600万円以上の層の世帯シェア = 34.4%
・2010年度の新築住宅着工数における持家着工棟数シェア = 37.7%
 上記の算定根拠:
 新築住宅着工数(全体)=819,020棟 新築住宅着工数(持家)=308,517棟

上記の通り、年収別世帯数シェアと持家着工棟数シェアに極端な差はありません。

まとめて観ると、新築住宅着工数に比べ、持家の新築着工戸数は10年間でさほど
大きな変動はなく、世帯年収600万円以上のシェアもそう極端に変化することは
なく、戸建注文住宅は分譲住宅と比較して割高になることが常識だとすると、
戸建注文住宅を購入(建てる)年収層は、主に年収600万円以上の層ではないか?
と想定できます。
たぶん、営業現場におけるみなさまの実感と同じようになるのではないか、と
想定できます。


■ 過去顧客の懐事情を知るだけで、確度の高い客層を絞り込める

自社で最も成約している客層の世帯年収分布を調べてみるだけで、このような
仮説はかんたんに導き出せます。
過去に遡って全部調べなくても、過去1年~数年程度の成約数の母数があれば、
成約客の平均年収分布はそう大きくブレるものではありません。

2015年以降の対策を検討しようにもアイデアに詰まったら、B to C商売であれば
顧客の懐事情を知るだけで確度の高い客層を絞り込めますし、B to B商売であれ
ば、過去に遡って自社お取引先で購入する施主の1棟あたり平均客単価を教えて
もらうだけでも、将来的な傾向予測がつかめます。

いまは目が廻るような忙しさだとしても、ある程度の傾向をつかんでおくだけで
将来に向かって少しは安心できますからね。

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プロフィール

早坂 淳一

早坂 淳一

中立の立場で住宅全般に関する対応を承るネクスト・アイズ(株)にて【ブチョ~】と呼ばれる立場で《ハウスネットギャラリー》という注文住宅リフォームポータルサイトを運営しながら、《ハウスネットギャラリー》でわかったお客さまの興味/関心と、あちこちから直接、間接的に聞いてくる市場/行政/政治の動きを掛け合わせて、主に新しいことを立ち上げるような仕事をしてます。

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