ニュース
» 2014年1月 6日 更新

元・百貨店マーケッターが見た【住宅業界】の明日 消費者の情報リテラシーを侮ることなかれ

 みなさま、あけましておめでとうございます。
今年も、サブユーザー・エンドユーザー・ステークホルダー(意志決定者)を問わ
ずいろいろな方々からお聴きしたお話をはじめ、たくさんのWebサイトや書籍を
読みながら気付いたポイントを、自分なりのフィルターを通じてお届けしていき
ます。
あくまで、住宅業界が発想の起点ですが、マーケティングの基本はどの業界でも
共通。私自身、大規模な小売業のマーケティングと店頭販売に20年近く浸かった
経験が長かったのですが、数年ほど行政との市民支援事業や業界支援系の
仕事をしたあと、行政と連携した業界支援スキームでご縁をいただいた住宅業界
で修行(仮設トイレの便所掃除)から入った身なので、この業界ならではの修行を
通じて、異なる価値観をもつ人に対する特有の振る舞い方もある程度は理解して
いるつもりです。

  今年から数年間、増税に伴う2年先までの受注を先食いしてしまったことから
起きてしまった住宅価格の二極化と新築顧客の若年化はどんどん進んでいきます。
ただし、二極化している上層・下層ともに、消費者の情報リテラシーが
まちがいなく向上していることは見落としてはいけません。

 

■ 生活全般について、興味深い価値観の変化が明確に


 これらの層の消費傾向について、住宅に限らず"生活全般"で見渡してみると
興味深い価値観が顕われてきます。


●一次取得層に共通する消費指向(住宅取得予算は低予算になりがち)

  → 【こんなものでいい】=【安くてそこそこのもの】


代表的なカテゴリーは"ファストファッション"や"ファーストフード"。
おもに低所得層の方に刺さるキーワードですが、高額所得層でも売り手が提供
するモノ・コトに期待しないようになると、このような傾向が明確になります。
高額取得層がこのような傾向を示すこととは【売り手のスキルに満足できない】
こと。世帯所得に関係なく売り手に満足できないとこのような傾向を示しますが
高額所得層の見込客で何度かこのような傾向を示した場合、商品の魅力や
担当者のホスピタリティまで、高額所得層を相手に商売するには抜本的な改善
を求められます。


●二次取得層に共通する消費指向(住宅取得予算は低額~高額まで幅広い)

  → 【上質な心地よさ】=【長く使い込む】


この志向をもつ方は【上質な心地よさ】=【長く使い込む】ことを優先します。
上顧客になりうるのは、自分の価値観(審美眼)を理解しており、自分の価値観
に添うプランドを評価して選択する層です。
ブランド・店舗・販売員に対する評価は厳しいですが、価値観が変わらない限り
継続して利用する【上顧客】になります。
このようなお客さまは、たとえば百貨店業界ではもっとも大切なお客様。
このお客様をひと言でまとめると『地に足のついた暮らし』『心地よい生活』が
最も大切。暮らしのプロセスや時間消費の価値観を大切にしていて【使いこなす】
【着こなす】【住みこなす】ことに対して最も高い価値を感じる層です。

ただし、高額所得層で気をつけなければならないのが、見栄的に高質なサービス
や商品を選ぶ層。ほんとうの富裕層はとても質素ないでたちの方々が多いのです
が、逆にインポートプランドで身を固めるような方々は【使いこなす】ことに価
値観を見いだすのではなく、【所有すること】に価値観を見いだします。

 

■ 検索すればするほど迷う

さらに、いまでは多様な情報=多様な評判が複雑に絡み合っていることが当たり
前になりました。
たとえば、価格.comをはじめ、Amazonや楽天でのリコメンド(おすすめ)機能。
リコメンド機能については、以前と比較してだいぶ精度が向上しておりますし、
Google検索も、かなり確度の高い検索結果が表示されるようになりました。


その結果どうなったかというと、見込客は検索すればするほど迷う結果に。
消費者自身が高いと思っている情報リテラシーは、実は偏った価値判断に基づく
底の浅いもので、どの情報が自分にとって信頼に値し、どの情報が信頼できない
か、自分でも分からなくなっていくのです。

衝動買いであきらめがつく程度の金額の商品・サービス、または常にその道の
プロからの助言が得られる環境であれば、商品やサービスの選択にそれほど
悩むことはありませんが、衝動買いであきらめがつかない高額な家電や自動車、
住宅や不動産の場合ではどうでしょうか?


たとえば、弊社は10年前から中立的立場での家づくり・リフォームご相談を続け、
ようやく市場での認知が進んできた手応えを感じておりますが、一般的な売り手
と買い手という立場でこのようなサービスを展開しているのが、ファッションの
対面販売や大手家電量販店でみられる『家電コンシェルジュ』の存在。
残念ながら住宅業界については、1件あたりの金額に対しこのようなサービスの
提供は発展途上であることは否めません。

その彼らに共通している要素は【お・も・て・な・し】(ホスピタリティ)の徹底
的な追求です。
彼らは商品については、きちんと【流行】を把握しておりますが、流行している
からと、安易に押し売りはしません。(正確にはさりげなく売筋を推す)。

わかっている方は、販売員のホンネも理解して購入します。
その上をいく方になると、お客様に尊敬される販売員に。
そうなったらしめたもの。お客様はその販売員に付くので販売員は安定した
売上を確保できますし、お客様は満足してクチコミでその店舗・販売員を推し
ます。

■ 【インバウンドマーケティング】が定着すると、日々の売上予測が楽になる


これが、小売業を中心に売り手が消費者の情報リテラシーをきちんと理解
した上で行っている【インバウンドマーケティング】。
ここまでたどり着くことはほんとうにたいへんですが、この境地に至ると、
ほぼ毎日・毎週・毎月・毎年の売上がしっかり予測できるようになります。

でも、ひとりだけ理解していてもまずいのが【インバウンドマーケティング】の
怖さ。組織をあげてしっかり対応できないと逆効果になってしまいます。
ひとり親方であれば大丈夫なことでも、組織になるとからきしダメになること。
枚挙に暇ありません。


最後になりましたが、私の社内担当業務が変わり、よりお客様・現場に近い
立場で動けるようになりました。
いままで以上にエンドユーザーに添った【ベタ】な内容になるかもしれませんが
今年もご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

プロフィール

早坂 淳一

早坂 淳一

中立の立場で住宅全般に関する対応を承るネクスト・アイズ(株)にて【ブチョ~】と呼ばれる立場で《ハウスネットギャラリー》という注文住宅リフォームポータルサイトを運営しながら、《ハウスネットギャラリー》でわかったお客さまの興味/関心と、あちこちから直接、間接的に聞いてくる市場/行政/政治の動きを掛け合わせて、主に新しいことを立ち上げるような仕事をしてます。

カテゴリ

  • Webサイト構築
  • キャンペーンノウハウ
  • ソーシャルメディアマーケティング
  • データ分析/効果測定

「マーケター通信」購読一覧