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» 2014年2月13日 更新

元・百貨店マーケッターが見た【住宅業界】の明日 これからの企業と消費者の関係は"両想い" 

■ JR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」で起きたこと

2013年10月15日に運行を開始したJR九州のクルーズトレイン
「ななつ星in九州」。

その一番列車で起きたこと。
記事を見つけて、私は思わずウルウルしてしまいました。

当日は何と10万人もの人たちが、沿線各地や
駅で手を振って一番列車を出迎えたのです。
2011年3月12日に開業した九州新幹線のCMを記憶に留めている方々も
いらっしゃるかもしれませんが、開業前にお披露目運転をする新幹線に
向かって沿線の人々が手を振る姿を車窓から撮影し、ドキュメンタリー風の
CMに仕立てておりました。

東日本大震災の影響でCMは早々に打ち切られてしまいましたが、JR九州
自らYoutubeにアップ。
震災後の人と人とのつながりを大切にする世の中の気持ちと同調したことも
あり隠れた大ヒットCMとなりました。


    祝!九州 九州新幹線全線開CM180秒
    http://www.youtube.com/watch?v=UNbJzCFgjnU


この企画から派生した沿線スマイルプロジェクトも、泣けるCMです。
私が東日本大震災で自宅が大規模半壊した被災者である、ということも
ありますが、長年見慣れた風景を疾走するSLに手を振る方々の心情に、
思わず感情移入してしまいました。

    JR東日本 沿線スマイルプロジェクト 本編パート1
    http://www.youtube.com/watch?v=1YKv1K9lrPE


確かに、このような現象をみても、CM上の演出と捉えてしまえば
それで終わりです。

でも、私は列車に手を振る人々の表情をよく観てみると、Jリーグの
サポーターを連想してしまうのです。
『ななつ星』『九州新幹線』『SL』を地域の誇りに思い、沿道で手を振るなど
コミットすることを楽しんでいる方々の心境とは、実はサポーターと同じように
ピッチにはいないけどタダの観客ではない。
気持ちのうえではチームと同じ方向を向いている仲間、と感じているのでは
ないか、と思うのです。


■ 現在のお客様は、企業にとって、ともに価値を創造してくれるパートナー

ここで、これらの事象を企業と消費者の関係に置き換えてみましょう。

モノづくりが優勢で、そのモノの使い方を提案しなくても売れていた頃は、企業が
製品やサービスを提供、お客様はそれを選択するという"片想い"。
お客様が比較検討する内容は、商品のスペックであり、価格という"数値"比較が主。

売り手である企業の立場では『性能競争』と『価格競争』といった数値化できる指標
を磨くために、「顧客志向」の掛け声の下で多大な努力を払ってきました。
これは、現在の住宅業界に広く受け入れられている売り方ですが、そこには
"その家で暮らす"という価値観を見いだすことはできません。

これらの指標は「お客様は神様です」という意識のもと至れり尽くせりの
サービスではありますが、あくまで受動的な製品・サービスでしかありません。

でも、婚活や二輪、クルマといったゲームと違ってリセットひとつで自分の思い通りに
ならないことから遠ざかっていたと想定される、ゆとり世代が一次取得層になっていく
これから。

企業や製品に共感し、『自分らしさ』という旗印のもと、何らかの形でコミットする
ことで能動的に楽しめるほうが好きだ、という消費者は確実に増えています。
たとえば『家づくり』などの"プロジェクト"に参加することもお客様の権利になった、
ともいえるでしょう。

これらのお客様は、企業にとって、ともに価値を創造してくれるパートナー。
前回記事の【アンバサダー(大使)マーケティング】と同じように、このような消費者
の出現は、特に地域に根ざす活動を図る工務店などの企業にとっては願っても
ないことです。


■ 自社の価値観を伝える機能をもつ【オウンドメディア】を

 住宅業界で展開していく可能性

この、『ともに価値を創造していく』という旗印のもと、見込客に自社の価値観を
伝える機能をもつオウンドメディアとは、つまり「企業の価値観をコンテンツの形
でお客様に伝えていく」ことであることは、この記事の読者のみなさまであれば
容易に理解できることかと思います。

ただ、IT業界の方々だからこそ、勘違いしていただきたくないことがあります。
ユーザー企業の立場でいろいろなプロジェクトにかかわり、現在でも、いろいろな
IT企業の方々にお会いすると、『住宅業界はブルーオーシャン』という話が必ず
といっていいほど出てきますが、住宅業界のステークホルダーほどITに縁遠く、
いままでの提案方法では一筋縄でいかないほど保守的なのが住宅業界なのです。

私見ですが、【オウンドメディア】という機能を果たせるのであれば、紙媒体だろうが、
Webだろうが、SNS(ソーシャルメディア)であろうが、はたまた電話や対面であろうが、
想いを伝えたいお客様に単なる売り手と買い手を超えた"想い"を伝えることができれば
いいのであって、どちらかというとITはフロントエンドというよりバックオフィスでこそ
欠かせないものです。

読者のみなさまもご存じの通り、スマホに代表される"24時間365日"メディアの発展に
よって、テレビや新聞に代表される"片思い"=マス媒体だけではなく、マスメディアを
通じて『なんとなく気になる』ことをスマホなどの"手のひら"メディアや、近い将来
当たり前になるであろう【ウェアラブル="めがね"メディア】で理解を深め、"両想い"が
できる売り手として受け入れられてはじめて、直接来店して確かめてみるような消費が
当たり前になっていくのかな、という感覚を抱いています。

その動機は、家電量販店で商品を見てAmazonや楽天、ヤフオクで最安値商品を
買うような【ショールーミング】とはちょっと違います。

存在そのものがメディア化した企業に「エンゲージメント」という"両想い"を
果たすこと。
単なる売り手と買い手を超えた関係を構築できた方々だけたどり着ける高みに
残った企業、そして、その高みを維持し続けることができた売り手だけが生き
残るのではないかな、と考えています。

その仕組みを支えるのが、ITという仕組みであり、住宅業界のフレームワーク化だと
考えているのです。

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プロフィール

早坂 淳一

早坂 淳一

中立の立場で住宅全般に関する対応を承るネクスト・アイズ(株)にて【ブチョ~】と呼ばれる立場で《ハウスネットギャラリー》という注文住宅リフォームポータルサイトを運営しながら、《ハウスネットギャラリー》でわかったお客さまの興味/関心と、あちこちから直接、間接的に聞いてくる市場/行政/政治の動きを掛け合わせて、主に新しいことを立ち上げるような仕事をしてます。

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