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» 2012年10月10日 更新

シンプルに考えるPR PRパーソンはレモネードを売れ!

 アメリカでは子供のときにレモネード売りを経験するということも多いようです。

 自分で原料の水やレモン、はちみつを仕入れ、自分でレモネードを作り、自分でレモネードを売るというのを子供の時に経験するのだそうです。

 僕のアメリカ人の友人の中にもこれを経験したという人がいるのですが、やはりこの子供時代のレモネード売りからは多くのことを学べるのだそうです。

 たとえば、仕入れの値段を抑えることができれば儲けが大きくなり、儲けが大きくなることでより安く多く原料を仕入れることができる、など。

 アメリカの子供の多くはこういったことをレモネード売りの経験を通じて、感覚的に学ぶのだそうです。

 日本とはずいぶん違いますね。日本ではどちらかと言えば「子供にお金の話はタブー」と考えられがちなような気がします。自分の子供時代を振り返ってみても、教育学部初等教育専攻で学んだことを思い出してみても。

 閑話休題。

 このレモネード売り、PRパーソンもぜひ経験すべきだと思いますね。

 もちろんモノはレモネードでなくてもかまいませんし、もっと言えば直接的な"商売"でなくてもかまいません。たとえばホールを借り切った演奏会みたいなものでもよいかもしれません。

 何か取り組みを行う際にかかるコスト、そのコストを回収するための集金の方法、集金を効率的に行うための仕組み......。これらをリアルに考えるような経験はしておいたほうがよいと思います。

 家の庭でレモネードを売ろうと、1000円で20杯ぶんのレモネードが作れるだけの水とレモンとはちみつ、それに紙コップを買いました。1杯100円という価格設定をすれば、仮に全部売ったとして1000円の儲けが出ますが、10杯しか売れなければ儲けはなく、それ以下であれば損をしてしまいます。

 儲けを出すために何をすればよいのか? 値下げを考えないのであればPRを検討せねばなりません。

 たとえば、売り場に目立つような看板を掲げること。これで買ってくれる人は増えるかもしれませんが、今度は画用紙とフェルトペンを余分に買うためのお金がかかってしまいます。これらを仮に200円で買ったとすれば、儲けを出すために売らねばならないレモネードは3杯ぶん増えてしまいます。

 大通りにいる人に声をかけて庭に連れてくるという作戦も考えられます。でもその間の店番は弟にまかせねばなりません。弟がタダで働いてくれればいいのですが、300円の小遣いくらいは要求されるでしょう。今度は売らねばならないレモネードが4杯ぶん増えてしまいました。

 看板に3杯ぶんの価値があるのか? 大通りの人に声をかけることに4杯ぶんの価値があるのか? 今度はこれを検討しなければなりません。

 こういった経験をすることでPRパーソンはPRにかけてもよいコストという視点を得ることができるでしょう。また、より収益につながるPR活動は何か、ということもより慎重に検討できるようになるかもしれません。

 僕はPR会社で働いていますが、PR会社への不満としてよく聞かれるものに「どんなケースでもPRイベントかタイアップ企画の提案しかしてこない」というものがあります。

 課題や許容コストなどの環境をリアルに捉えることなく、ワンパターンな施策の提案を繰り返す一部のPRプランナーがこういった評判を担っていると思うのですが、そういった人にこそレモネード売りはおすすめです。

 そういうPRプランナーが自分でレモネードを売ったとき、何も考えずにPRイベントをしよう、タイアップ企画をしよう、と思うでしょうか。

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プロフィール

細川 一成

細川 一成

PRプランナー。株式会社電通パブリックリレーションズ シニアコンサルタント。また2009年よりWOMマーケティング協議会事務局長/理事。現在はデジタル分野のPR企画立案、コンサルティングのほか、講演・執筆活動などを行っている。

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