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» 2012年11月 9日 更新

カルキュレ! データマイニングは本当に政治を変えるのか

アメリカ大統領選挙で全50州の勝敗を当てたというアナリストが話題になっている。


彼のやり方は大規模な多変量解析を力技でこなすものらしい。上の記事では政治専門家の不要が叫ばれているが、とするとアメリカではテレビに出て選挙の予測をする人のことを政治専門家と呼ぶことになる。どこも似たようなものらしい。そもそも彼らが選挙時に果たすべき役割は、選挙結果を当てることではなく、予測を口実にあるべき社会について議論をすすめることだろう。

「選挙とデータ」という切り口では、こんな記事もあった。
例えば「西海岸の40~49歳の女性にはジョージ・クルーニー最強」とデータが出れば、選挙資金集めパーティーにジョージ・クルーニーくっつけて、ひと晩で数億円ガッツリ集める、という具合。

前述のネイト・シルバーはセイバーメトリクスのオンラインツールを開発していたらしい。セイバーメトリクスといえば映画化された小説「マネーボール」で一躍有名となった野球理論だ。セイバーメトリクスをもとに低予算で金持ち球団に勝つ、というモデルは、皮肉にもセイバーメトリクスの普及によって崩れていった。金持ち球団がセイバーメトリクスを実践したからだ。セイバーメトリクスは結局、「勝利に貢献できる選手を勘に頼らずデータで見つける」という話であり、元になるデータは公開情報なので、分析手法が広まってしまえば、同じパイの奪い合いになる。

選挙でも事情は同じだろう。「ジョージ・クルーニーが最強だ」とどちらが先に知ることができるか。どちらが彼の時間をより長く拘束できるのか。有権者という限られたパイを奪うことが選挙の実態である以上、データマイニングは最終的には選挙の決め手になり得ない。データマイニングは理論であり、理論は訓練された人間はだれでも扱うことができる。属人的な理論は理論ではない。誰もが手にすることのできる武器だ。ロムニー陣営がたまたま今回は切れ味の鈍い武器を手にとってしまったにすぎない。

むしろデータで選挙結果を予測できるのならば、その先、その結果が人々にどのような影響をもたらすのかを予測し、選挙なしで半自動的に物事を決定してしまう仕組みを作れるのではないか。大統領選挙は別として、住民投票レベルでは、データマイニングによる最適解の算出とそれに基づく意思決定が行われても良いはずだ。もちろん、その決定を行う組織の正統性が担保されている必要はあるが。

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伊藤海彦

伊藤海彦

アイティメディアでWeb解析やリサーチを担当。「ねとぽよ」とかもやっていたり。

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