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» 2012年10月10日 更新

カルキュレ! コンテンツはマーケティングに必要か

 僕はメディア企業のマーケティング部署に所属している。メディアの中にいると、当たり前だと思っていることが、外から見るとそうではないことが多々ある。コンテンツを作ることの難しさもその1つだ。

コンテンツを作リ続けるのは難しい



コンテンツを安定してつくりつづけるというのは、それだけでけっこう大変ですよね。企業ブログのほとんどが廃墟になってたり、ツイッターやFacebookなど「更新しなきゃいけない場所」が増えていて、手に負えなくなっている企業も少なくないんじゃないかと思います。

テキストであれ動画であれ、よくオススメされているインフォグラフィックであれ、コンテンツをつくりつづけるというのは技能としてもそんなに簡単なことじゃないですし、本気で取り組むとしたらまずは(人も含めた)予算の見直しからはじめないといけないし、組織のあり方も変えなければムリです。

 もし魅力あるコンテンツを継続的に作り続けるのが簡単なら、アイティメディアも日経BPもとっくに潰れている。一度編集職の研修などを受けてみると、もしくは編集側として寄稿を依頼したりすると、そもそもメディアに載せられるほどまっとうな文章を書ける人はほとんどいないことが分かる。編集職の研修初日、頑張って書いたリリース起こしの初稿に入れられた無数の赤は、半分が通過儀礼、もう半分は真実だ。まっとうな日本語が書けることは端的に訓練の賜であり、一定の様式にそった指導を受ける必要がある。ましてや、魅力的な文章を書ける人となると別のスキルも必要になる。

「ハズレを引きたくない」人を巻き込むために


 とはいえマーケティングの中で、自社のコンテンツに魅力を感じてくれる「ような」人が重要であることは間違いない。


 DPZの記事から、多数のユーモアを捨象して理論だけを引きずり出すのはとても野暮な話とは分かりつつ要約すると、「ハズレを引きたくないと思うとだいたいみんな同じ物を買う」という話になる。あまり予備知識がなく、でもハズレを買いたくないと思うと、当てにするのは利用者のレビューだ。みんなが褒めているものは、最高級にいいものではないかもしれないが少なくともハズレではない。そしていいレビューが集まれば集まるほどその製品は売れ、またレビューが集まり、さらに売れる。いわゆるネットワーク効果によって、ハズレを避けようとすればするほど結局みんなと同じ物を買うことになる。ベビーカーの例があるが、ベビー用品なんて普段からそもそも熱心に追っている人は少ない。必要になった時に調べる人がほとんどだ。とすると「正直どれでもいいしどれがいいのかもわからないけど、ハズレを引きたくない」という人が多数派になる。

 そしてレビューを書いているのは、その製品のファンとなった人だ。このプラスのスパイラルが回るには、最初のレビューが重要だ。もちろん製品が良いというのは当然として、それを最初に評価してくれる人が必要になる。それはそのメーカーやブランドそのものに愛着を持った人になる。でないとそもそもその製品を手にとってかつレビューまで書いてくれないからだ。

 企業がマーケティングのために自社でコンテンツを持つのが最適解かどうかは措きつつ、熱心なファンを獲得することは「ハズレを引きたくない」という大多数の消費者心理をつかむ最初の一歩になる。コンテンツは内容もそうだがそれを誰に見てもらうかも重要になる。毎日大量にコンテンツを作り続けなければ、そうしたコミュニティは作れない。ソーシャルメディア+自社コンテンツは、その折衷案だろう。

ソーシャルメディアにコミュニティを外注する



ソーシャルでは、あえて他のメディアでは露出していないような商品や店舗で見つけにくい商品を紹介している。たとえば、一昨年はあまり知られていなかったスマートフォンなどを操作できるタッチパネル手袋を紹介したら、大きな話題になり、全国で品切れとなった。店頭でもよく見ないと気づきにくいが、ソーシャルで紹介することで気づいてもらえた。また、デジタルガジェット系はソーシャルと相性が良い。ただ、儲かるとは言っても、ベッドやソファなどの高単価な商品を紹介しても売上は伸びず、数百円から2000~3000円のものが売れる(風間氏)。

 もちろん無印良品はコンテンツも非常にいいので、あまり簡単に真似できるものではないのだが、ファンがどこにいて、彼らが何を考え、何を見たらその影響力を行使したくなるかを考えてから、コンテンツのことを考えるのが妥当なのだろう。

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プロフィール

伊藤海彦

伊藤海彦

アイティメディアでWeb解析やリサーチを担当。「ねとぽよ」とかもやっていたり。

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