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» 2012年11月30日 更新

ちびクロの細かすぎて伝わらないネットサービスの話 リブセンスSEO対策研究 営業利益率45%を超える上場企業の作り方


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こんにちは、黒須敏行です。

前回はリブセンスビジネスモデルについて書きましたが、今回はリブセンスのSEO対策について解説をします。

先日私がウェブマーケティングの勉強会で講師として話していたときに、参加者の方にSEO対策で大事なことは何でしょう?と質問をしてみました。すると
・外部リンク
・内部対策
・コンテンツ
などなどの回答が出てきました。

どれも大事なことではありますが、最も大事な考え方が抜けているなと感じました。一度ここで整理しますがSEO対策で大事なポイントは3つに整理することができます。

それが
・キーワード
・コーディング
・リンク
の3要素です。

この中で最も大切な要素がキーワードです。検索エンジン対策というのは、ユーザーがキーワードを検索した際にサイトに入ってもらうためのものです。そのためそのサイトがどんなにリンクを集めていても、どんなに良質コンテンツのボリュームがあったとしてもユーザーが検索するキーワードの流入がなければ意味がありません。コンテンツやリンクをひたすら集めるという発想は良い商品を作れば物が売れるというプロダクトアウトの発想に近いです。大事なことはユーザーのニーズにあわせたマーケティング思考です。そのためにもユーザーが検索するワードに応じたページを用意するという発想が必要になります。

これは凄く当たり前の話なんですが、この発想がポッカリと抜けているため集客がうまくいっていないサイトは枚挙に暇がありません。仮にそういった発想をもっていたとしてもやり方が練られていないのでうまくいっていないことも多いです。

今回は上記の3要素毎にリブセンスがどういったことを行なっているかをひとつづつ話していきます。


■リブセンスのキーワード選定方法


キーワードの選定基準は
①検索ボリューム
②コンバージョンレート
③コンテンツ作成難易度
④SEO対策の難易度
の4つです。

①検索ボリューム
検索ボリュームはそのキーワードの検索ニーズがあるかどうかです。これはgoogleがキーワードツールという検索ニーズを定量的に調査することができるツールを提供しており、ここで調査することができます。誰も検索しないワードで集客しても流入は集められないですからね。

②コンバージョンレート
コンバージョンレートというのは、流入した後のゴールが達成できるかどうかという話しです。皆さんはお客さんに商品を買ってもらったり、資料請求したりというアクションを起こしてもらうために集客施策を行なっていると思います。キーワードによってそのアクション率は変化するので、そこを見ようぜという話です。リスティングの成績をもとにSEO対策のキーワードの仮説を立てるというのは非常に良い方法です。

③コンテンツ作成難易度
コンテンツ作成難易度というのはそもそもキーワードに対応したページを作ることができるかどうかです。食べログのように口コミというキーワードの人気が高いとわかったとしたら、実際に口コミのページを作ることが必要です。それは実現可能性が高いか低いかという視点が必要ですよという話です。また健康食品などであれば特定のワードが薬事法でひっかかるかどうかという話がでてきます。そういった実現可能性も基準の一つです。

④SEO対策難易度
最後のSEO対策の難易度はSEO対策を行なっている競合がどれだけいるかです。ボリュームがあって、誰もがアクションしてくれるというワードは当然人気が高いことが多いです。日本の土地で例えると銀座や六本木などの一等地です。銀座の一等地に店を構えるというのはかなりコストがかかりそうな気がして、立ち上げたばかりの会社であれば普通だったらやりませんね。(タリーズは例外!)

キーワードを決める方法はビジネスモデルをもとに、ビジネスの成功に結びつくワードを仮説を出し、検証する他ありません。そしてリブセンスが上手かったのはキーワード選定に際して競合が少ないキーワードを事前に調査して対策をかけたということでした。

リブセンスが運営しているサイトにDOOR賃貸という賃貸情報検索サイトがあります。


DOOR賃貸キャプチャ.jpg

このサイトはこの分野では後発ですが、流入数はかなりのボリュームになっています。なぜこういったことができているかというのはキーワード選定に秘密があります。

DOOR賃貸流入数.jpg

リブセンス参入当時に競合各社がしのぎを削っていたのは、地域×賃貸や沿線×賃貸といった2語をかけあわせたキーワードでした。そこでリブセンスは地域×条件×賃貸という3語のキーワードを予め設定し、対応ページを大量に用意したのです。競合他社でもそういった物件はサイト内で探すことはできましたが、3語掛け合わせのキーワードをSEO対策で集客するという発想がありませんでした。そのため対応するページが無かったのです。

条件ワード.jpg

これは当然といえば当然です。なぜなら検索ボリュームが無いからです。

検索数は無い.jpg

ただしひとつのワードの検索ボリュームがなかったとしても、不動産情報の場合は多くの地域や別の条件を集めることで大きな数になってきます。またこういったニッチなワードはキーワード4基準のなかのコンバージョンレートという観点で及第点がつくものです。

「塵も積もれば山となる」という考え方で他社が押さえていないキーワードのSEO対策に成功したリブセンスは流入数を伸ばすことができました。後発であってもキーワード選びを間違えなければ集客施策を成功させることが可能です。 


キャプチャ.jpg■リブセンスのコーディング施策

コーディングで大事なことは
・htmlの最適化
・コンテンツのユニーク化
・検索エンジン受けするコンテンツ
という話をしました。

今回はhtml最適化に絞って話をしたいと思います。

html最適化において重要なことを絞って伝えると
・重要タグと本文にターゲットワードをユニークに記載する
・ターゲットワード毎にページを用意する
という2つの考え方が大事です。

リブセンスは「アルバイト」と「バイト」という難易度の高いワードのSEO対策を成功させています。今は両ワード共にジョブセンスが表示されていますが、今年の6月までは表示されているサイトが分かれていました。

サイトが異なる.jpg

中身を調べると掲載案件は同じですが、ドメインを分けています。

ドメインが異なる.jpg

コーディング方法を見てみると、アルバイトとバイトそれぞれに最適化をさせた方法を採っていることがわかります。

コーディング方法が異なる.jpg

6月にgoogleの評価基準が変わったため、現在は片方のサイトしか表示されていませんがそもそもリブセンスはワードに対応したサイトやページを用意するという発想を持っていることがこれでわかります。


■リブセンスのリンク施策


キーワードを設定し、対応したページを用意させてhtmlを最適化させる。最後に行うことはページにリンクを集めることです。googleという検索エンジンは「論文の評価は引用された回数に基づく」という学術論文の評価方法の考え方が元になっているサービスです。そのため人気投票のような仕組みでランキングは決まっており、様々なサイトからリンクを集めているサイトが高く評価されます。

リンクは同じドメイン内から集める方法とドメインの外から集める方法の2つがありますが、今回はリブセンスがドメイン内からどうやってリンクを集めているのかという話をします。

ドメイン内でリンクを集める際に大事な考え方が
・クリック階層の最適化
・ドメイン内で受け渡すページランクの最大化
という2つの考え方です。

クリック階層の最適化というのはザッポス研究でお話をしました。これは大量に生成される末端のページまで、検索エンジンのクローラーと呼ばれるロボットがトップページからなるべく短いクリック数で到達できるサイトが良いという考え方です。

理想のリンク階層.jpg

リブセンスが運営しているジョブセンスはアルバイトの掲載案件が大量に存在するため、これらの末端ページをどうやって検索エンジンに認識してもらいインデックスさせるかが大きな課題になります。彼らはトレ単というコンテツを活用することで、この課題を解決しています。

トレ単.jpg

これはこれまでジョブセンスで検索されたキーワードを確認することができるというコンテンツです。検索ワードと紐付いて掲載案件がアーカイブされる仕組みになっていますが、このコンテンツがあることでクリック階層を大きく改善することが可能です。

トレ単語の価値.jpg

また掲載案件を一覧で表示されるページで関連バイトという大量のアンカーテキストを確認することができます。

サイト内からリンクを集める.jpg

これは2つ目の受け渡すページランクの最大化という考え方に基づく施策です。ページの評価はページランクという評価基準で決まっており、そのページランクはリンクジュースという評価の総量によって決まります。この施策によってこのページが持っている「リンクジュース」とよばれる評価を別のページに受け渡すことができます。

リンク構造2.jpg

アルバイト情報を探すことができる検索サービスは多くありますが、ページ内の評価を高めるためのリンク施策をこういった形で取り入れたのはリブセンスが先駆けでした。


■リブセンスSEO対策研究のまとめ

リブセンスのSEO対策は極端な数の内部リンクのアンカーテキストや、サテライトサイト施策が挙げられることが多いです。まあ外から見て目立つのでこういったものに飛びついてしまうのはわからなくはないですが、こういった指摘はピント外れだと思います。

リブセンスの本質的な強みは仮説に基づいて施策を行う実行力、スピード、精度です。

どんなに良いアイデアやノウハウであっても、素早く正しく実行できなければ絵に描いた餅で終わってしまいます。そのためこの記事を読んでいる方には是非この記事から得た学びを実行に移してもらいたいと考えています。実際私のクライアントはここに書かれていることを実行することで大きく反響を伸ばしているため自信をもってオススメできます。

次回はリブセンスのような検索エンジンをフルに活用したビジネスモデルの課題について書きます。

それではまたこの場所でお会いしましょう!

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※この記事は公開情報をもとに作成しています
※株式会社アルコとリブセンス社とは一切関係がありません


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プロフィール

黒須敏行

黒須敏行

早稲田大学在籍時に株式会社アルコにアルバイトとして参加し入社。現在はコンサルタントとしてベネッセやラクスルなどが運営する大規模サイトを中心にウェブマーケティング改善のプランニング及びコンサルティング活動を行なっている。

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