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» 2012年12月 5日 更新

ちびクロの細かすぎて伝わらないネットサービスの話 リブセンスの今後の課題 検索エンジン集客を活用したビジネスモデルの限界


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こんにちは、黒須敏行です。

前回まではリブセンスの検索エンジン集客をフル活用したビジネスモデル、そしてそれを下支えする洗練されたSEO対策について説明をしました。

こういったビジネスモデルを採用している会社はリブセンス以外にもありますが、このようなビジネスモデルは今後も持続可能なものなのでしょうか。今回は検索エンジン集客をフル活用したビジネスモデルの今後の課題について話します。

結論から先にいうと、人材や不動産、車といったリクルートが手がけているような業界でこの類のビジネスモデルを成功させるのは難しくなっています。成長曲線という物事の成長と時間の経過を表した考え方がありますが、こういった方法は既に成熟期を過ぎていて人間の年齢に例えると、今は40~50代にあたるのではないでしょうか。

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ただし他の業界によってはまだ導入期から成長期に差し掛かっているところもあるため、これから重要になるのはSEO対策の優劣よりはどの分野の業界にに参入するかが最重要課題になります。知恵や工夫を使った戦いよりは、そもそもどのマス目を先に手を付けるかという陣取り合戦の色合いが濃くなるでしょう。

これをリブセンスが運営する媒体を見ながら検証していきましょう。


■SEO対策の難易度が上がっている

リブセンスの事業ミッションは文化となるウェブサービスを作るというものです。IR資料を見ると、ジョブセンスで成功した成功報酬型のビジネスモデルを別の業界に展開させていくということを掲げています。

今まで手がけてきた業界は、人材、不動産、車ですがこれはリクルートがサービスを提供する業界と似通っています。ただしこれらの業界のSEO対策の難易度は年々上がっているのが現状です。リブセンスが2011年6月と直近で新規リリースした中古車探しサービスのランキング状況を他社と比較して見てみましょう。

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見てもらえるとわかりますが、ランキングが出ているとは言い難いです。上記の様々なワードで調べたところリブセンスが運営する媒体は全くランキング上位に表示されていないため、おそらくですが流入もジョブセンスと肩を並べるところには至っていないのではないでしょうか。前回の記事ではリブセンスの優れていたところを、競合他社が抑えていないキーワードを見つけてSEO対策を成功させたことだという話をしました。中古車であれば車×車種×地域などにあたるワードですがそういったニッチなワードのランキングも芳しくありません。

こういった原因は何が考えられるのでしょうか。あくまでも仮説ですが、2つあると思っています。ひとつは検索エンジン対策の難易度が年々上がっていること。もうひとつはリブセンスがジョブセンスで成功したパターンが他の企業に研究され勝ちパターンが再現できなくなったというのが大きいと思います。これはビジネスモデルの寿命が尽きたとも言い換えられます。それではこういった検索エンジンを活用したビジネスモデルは今後うまくいかないものなのでしょうか。回答としては成功させる方法はいくつかあると考えています。他社の事例を見ながら考えてみましょう。


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■競争相手がいない業界で成功しているスタートアップサービス

皆さんはcyta.jpというサービスをご存知でしょうか?音楽や語学などの習い事を学びたい人と教える能力のある講師をウェブで集めて引き合わせるというサービスです。普通のマッチングサービスと異なる点は講師の品質担保のために、講師の面接やレッスン料の取り決めを運営元であるコーチ・ユナイテッドが行なっていることです。この方法はウェブサービスというよりはむしろ店舗を持たない学校といってもいかもしれません。特殊なビジネスモデルであり、教育業界でこういったモデルを採っている会社は他にありません。

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受講生が1万人を突破したというニュースがありましたが、仮にそのうち30%のユーザーがレッスン代として月に1万~2万支払うと考えると結構な売り上げになると想定できます。cytaは現在伸びているサービスですが、ポイントは検索エンジン集客です。ランキング結果をリクルートの「おしえるまなべる」という個人間マッチングサービスと比較して見てみましょう。

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英会話学校や音楽教室は校舎が大都市に集中することがどうしても多くなりますが、個人間でのサービス提供であればそういったことはありません。そもそも競合にあたる店舗をもったスクールなどは、そういった郊外に店舗をもっていないのでSEO対策の難易度は自然と低くなります。

またこの場所では紹介しませんが競合がいないBtoB業界でSEOの集客を成功させ、その分野で日本一になっているポータルなどがあります。前提としてはニーズがあって競合がいないところで勝負するという考えがあればこういったことはまだまだできるでしょう。


■ソーシャルメディア×検索エンジン対策で集客数を伸ばすスタートアップサービス

また最近はソーシャルメディアからの集客によって、価格コム、リクルートが参入している業界に殴りこみをかけているサービスがあります。それがRettyという実名型のグルメ投稿サービスです。どんなサービスかというと実名版食べログと思ってもらえれば問題ありません。今年10月に1億円の資金調達をしたというニュースがありましたがリブセンスが検索エンジン集客を成功させて上場したように、ソーシャルメディア集客を成功させることで同じような成功ができるのかどうかは今後挙げられるテーマでしょう。

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商売の売上や売り方は商圏によって大きく異なりますがネットサービスの商圏はユーザー数にあたります。それはfacebookのユーザーがどれほどまでに伸びるのかによって変わってくるという話ですが、mixiが2004年に登場してから今現在までの利用者の伸びを鑑みてもfacebookが検索エンジンと同じ水準まで使われるかはかなりの年月がかかるでしょう。

利用者が検索エンジンと同じ規模になった段階でRettyなどのソーシャル×リクルート系のサービスは大きく成長するのではないでしょうか。そのためソーシャルメディアを活用して同じ事をやるというのはここ数年間のスパンは難しいと考えています。ただしソーシャルメディア経由で集めたコンテンツ量をテコにして検索エンジン対策を成功させることができれば、食べログの牙城はひょっとしたら崩せるかもしれません。

検索エンジン集客という観点から見るとRettyの最大の価値はレビュー上でユーザー同士が交流できる点です。食べログは口コミに対してのレスをする意図はありません。設計思想を比較するとRettyのほうがコンテンツが貯まる伸びしろが大きいといえます。


■まとめ

先日リブセンスの事業リスクについてのニュースが話題になりました。擁護するわけではないですが、そもそも事業リスクの無い事業というものはありませんのでいちいち騒ぐほどのことでもないと思います。また前回も話したように彼らの本質的な強みは仮説の実行力、スピード、精度なので仮にロジックが大きく変わったとしても「何度でも蘇る」会社でしょう(ムスカ風に表現すると)

そうはいっても検索エンジンリスクに対しての対策は講じる必要があります。そのためには現状のサービスの認知度向上施策が必要になってきます。たとえばバイト探しといえば『ジョブセンス』とみんなが想起するような状態です。現状は競合他社と比較すると、ブランドの認知度にまだ課題があります。

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先日リブセンスはジョブセンスのマスコットキャラクターを作りテレビCMを打っていましたが、これらは上記の意図があっての施策だと思います。そして今後リリースする新しいサービスは競合他社が手がけていない業界に参入し、集客対策をこれまでのような方法で成功させるというのがポイントになってくるでしょう。

以上でリブセンスの特集はこれで終わりですが、こんなにもやっていることが良い意味で極端で面白い会社はあまりありません。別のタイミングと場所でまたやると思います。

次回の更新を楽しみにお待ちください。それではまたこの場所でお会いしましょう! 

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※株式会社アルコとリブセンス社は一切関係がありません。

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プロフィール

黒須敏行

黒須敏行

早稲田大学在籍時に株式会社アルコにアルバイトとして参加し入社。現在はコンサルタントとしてベネッセやラクスルなどが運営する大規模サイトを中心にウェブマーケティング改善のプランニング及びコンサルティング活動を行なっている。

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