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» 2013年3月15日 更新

ちびクロの細かすぎて伝わらないネットサービスの話 SEO対策にはコンテンツが重要という考え方によって起こった間違ったマーケティング 大手サイトSEO対策コンテンツ事例まとめ


こんにちは、黒須敏行です。

最近は「SEOにはコンテンツが重要である」という言説が大手を振っているため、ユーザにとってのコンテンツが大事なんだという話を聞く機会が以前より増えているなと感じます。

それ自体間違っていることは一切何も無いのですが、問題だなと思うのはコンテンツという言葉の意味を取り違えているため間違った集客対策を実施してしまっている事例が見受けられることです。

今回はSEO対策におけるコンテンツという言葉の意味を整理することで、SEO対策に本当に必要なコンテンツとは何なのかを理解することゴールです。

進め方としては
・コンテンツという言葉の意味を取り違えたために失敗したマーケティング事例
・あなたにあったオススメのコンテンツを理解しよう
・なぜこういった誤解が起こるのか?
という形で参ります。

ひとつずつ見て行きましょう!


■コンテンツという言葉の意味を取り間違えたマーケティング失敗事例

先日営業ソリューションのソフトウェアを販売している会社から相談を受けました。なんでもSEO対策にはコンテンツが重要だと聞いたので「法人営業マンの新規開拓のための口コミコンテンツ」を結構な金額をかけて作成したということでした。見ると確かに大量のクチコミ情報が新しく作られています。

これによって得られた効果を確認すると、肝心の検索流入数、コンバージョン数は全く変化がありませんでした。考えられる理由としては
・法人営業マンは他の営業担当のクチコミをそもそも読まない(営業力を高めるための情報は本で得る)
・大量の下層ページからSEO対策ページに対してのリンクが無かった
ということが考えられます。

そして一番の問題はコンテンツをSEO対策のなんの目的で作るかを決めずに闇雲に作ったことです。

コンテンツを作る際には
・トラフィックを集めるためのものか
・ランキングを上げるためのものなのか
・インデックスを促進させるためのものか
などの目的を整理する必要があります。それを説明しましょう。


■コンテンツを作る目的を理解

SEO対策で必要になるコンテンツは大きく分けて4つあるのでまず整理しましょう。

①集客や反響を獲得する目的
②コーディングを強化する目的
③リンクを強化する目的
④クリック階層改善目的

ひとつずつ解説します。


①集客や反響を獲得する目的

このコンテンツの目的はトラフィックを集めることです。そのためにはそれ自体の情報が希少性を持っていたり、わかりやすく整理されていたりする必要があります。例えばHOME'Sの家賃相場情報は2006年当時にどの会社も持っていなかったコンテンツですがこれがまさに該当します。


またラクスルというサイトでは、ラクスルマガジンという読み物コンテンツを運営していますがデザイナーがオススメする無料写真素材サイト15選というコンテンツも同様の価値をもっています。


これらのコンテンツの良いところは
・トラフィックも集まり
・本体サイトへの送客もでき
・情報の価値が高いのでこのコンテンツにリンクが集まることで本体サイトに対しての被リンクの効果が大きい
と3方両得であることです。

そしてこういったコンテンツを自前で多く持つことで、質の高いリンクが集まりSEO対策も成功できるという言説をよく耳にします。わからなくはないですが現実的はないでしょう。なぜならこの類のコンテンツは企画と編集の力が必要になるため作成難易度が最も高くなるからです。

また別の観点の問題もあります。

ユーザビリティテストを実施すればわかりますが、サイトや業界によってユーザがほんとに欲しいコンテンツは「安くて質の高い商品」しかないということがあります。先日このコラムでエムスリーキャリアという医療求人サイトのユーザビリティテストの事例を紹介しましたが、ほとんどの医師はサイトに置かれている読み物に一切ニーズがありませんでした。

彼らにとっての良いコンテンツは「より時給の高い案件」という商品情報であり、これを良くするというのはビジネスモデルの修正の必要があります。それはそれで難易度が高いでしょう。

SEO対策を成功させることにフォーカスするのであればもっと良い方法があります。それが次から紹介するコンテンツです。


②コーディング強化目的のコンテンツ

検索エンジンというのはキーワードを定義する情報を高く評価するという前提があります。ただしSEO対策を行う目的はビジネスの成功です。そのためサイト上では当然自社のサービスの説明やメリット、強みを伝えることが多くなります。その結果ターゲットキーワードを定義したり中立的に整理するような情報がおざなりになることでSEO対策がうまくいっていないというケースがよくあります。

前回の記事で紹介したマネーフォワードはまさにそうなってましたね。

現状のマネーフォワード2.jpg

これを回避するためには、検索エンジン受けする情報を作ることが必要です。これがコーディング強化目的のコンテンツです。リブセンスが運営している職種大辞典が該当します。


またリブセンスが運営するジョブセンスの掲載案件の下部にはテキストが設置されていますが、これも同様の目的です。

ユニークテキストを用意.jpg

ユーザビリティテストを実施すればわかりますがこれらの情報のニーズは全くありません。ただし検索エンジンは評価をします。(もちろんユーザが読みたいケースも場合によってはあるでしょう)


そしてこのコンテンツの良い点は作成難易度が前者のものと比べると低い点です。また価格.comも商品情報毎に選び方ガイドというコンテンツを用意をしています。ノートパソコンとはそもそもなんぞやというまさにキーワードを定義する情報です。これらはユーザ投稿型なので運用コストはかかりますが作成コストは低いです。

価格.com施策.jpg


③リンク強化目的のコンテンツ

特定ページに対してのリンクを自前で用意することで、リンクを強化することができます。このコンテンツはそのリンク強化が目的です。

ベストはこれらのコンテンツの情報に価値があることで、リンクが自然に集まり、これらのコンテンツの評価が高まりリンクとしての価値も増えるという話ですが、まず優先すべき考え方は「インデックスされているページからリンクをもらう」という発想です。

それらを担保するためのコンテンツなので、クオリティはそこまで重要ではありません。それでもリンク先のアンカーテキストの情報と合致している内容がベストでしょう。

運営者の日々の暮らしを綴った情報などはむしろ無いほうが良い場合があります。ザッポスのカスタマーテスティモニアルがこのカテゴリに分類されますが、少しグレーゾーンです。調べてみると既にザッポスはコンテンツを削除しています。

このカテゴリに該当するのは食べログのレビュアーコンテンツなどです。



④クリック階層改善のコンテンツ

最後がクリック階層改善を達成するためのコンテンツです。大量のページが生成される大規模サイトやECサイトは、トップページからなるべく短いクリックで詳細ページまで遷移できるリンク構造になっているのが望ましいです。これはまとめページを用意することで実現できます。

ザッポスの商品対決ページ、リブセンスのトレ単が該当しますね。

クリック階層が改善される.jpg


■なぜこういった誤解が生まれるのか?

なぜはじめに紹介した事例のような誤解が起こってしまうのでしょうか?

それはコンテンツが重要であることは語られていますが、それを作成する目的は何か、それを作成するコストはどれくらいあるのかという発想が抜けているためです。そもそもSEO対策をする目的はウェブマーケティングやビジネスの成功のはずです。そのためもゴール地点に最短距離で到達できる手段を探すのがベストです。

ウェブマーケティングのためのコンテンツという観点から見ると、トラフィックが集まり、自然なリンクが集まることで、それ自体の集客と間接的なSEO対策が担保されることが確かに望ましいです。その際にそれを実現できる可能性はどれくらいのものかという視点を持つことが大事だなと感じます。

なぜならコンテンツという言葉を情報と商品という意味に分けて考えると、トラフィックを集めることができるような情報は企画や編集の力が必要であり、商品はビジネスモデルの改善が必要なケースが多いです。誰もが簡単にできることではないでしょう。もちろん簡単にできればやるべきです

ただしSEO対策のためのリンクが目的であれば、自分で作らなくても簡単に調達する方法はいくらでもありますし、コーディング強化であれば書いてもらえばいいわけです。

是非とも
・作る目的
・作る時間と費用
を考えて取り組んでいきましょう。

それではまたこの場所でお会いしましょう!


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プロフィール

黒須敏行

黒須敏行

早稲田大学在籍時に株式会社アルコにアルバイトとして参加し入社。現在はコンサルタントとしてベネッセやラクスルなどが運営する大規模サイトを中心にウェブマーケティング改善のプランニング及びコンサルティング活動を行なっている。

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