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» 2013年6月27日 更新

ちびクロの細かすぎて伝わらないネットサービスの話 SEO対策で最も大事なことは何か?ランサーズとクラウドワークスのSEOを比較


よくこんな話を見聞きします。

『SEOをやりすぎると、ユーザビリティが悪くなる』
『大事なのはバランス』

SEOとユーザビリティって対立概念と思われがちですが、それは半分間違いです。

ユーザビリティはそのサイトの目的が達成されてるかどうかの度合いという意味なのでユーザに検索から来てもらうということが目的であれば、SEO対策の実施によってユーザビリティが損なわれるということはいえません。

そして検索から来てもらうことを意図しないというケースは稀でしょう。

但し検索流入後の使い勝手やユーザとのコミュニケーションがSEO対策の考慮によって悪くなるということもケースとしてはあります。

検索流入はあるものの、ユーザの課題が解決できなければユーザビリティが高いとはいえません。釣り記事とかがまさに該当します。

ウェブマーケティングには色々な手法がありますがSEO対策とユーザビリティ改善は、ユーザの信頼関係を構築する手法と言い換えることができる施策です。

SEO対策はマーケ手法であって広告手法ではありません。ユーザテストをすればわかりますが、検索結果の最上部に掲載される広告枠は『広告だから』という理由でクリックしないユーザ行動がある程度観察できます。これはユーザが広告よりも検索結果の情報を信用しているということです。

またユーザビリティ改善は機能であったりユーザとの不信や不安を解消し信頼関係を築き、コンバージョン改善を目的とするものです。

資産になる対策0627.jpg

世の中にあるたくさんの情報は、SEO対策はSEOだけ、ユーザビリティはユーザビリティだけというものが多くウェブマーケティングにおける重要施策を両立させるためのものはあまり無いのが現状です。

そのため今回の記事の目的は『SEO対策とユーザビリティの高いサイトを作るために必要な考え方』を持ち帰ってもらうことです。

そしてそれらを理解するために良い教材になるのが、ランサーズとイーランスのSEOとユーザビリティを見比べることです。

各サービス共にベンチャーキャピタルから資金調達を受けて成長しており、両サービスとも以前とは比べ物にならないくらいSEO対策とユーザビリティが改善されてるなと感じています。

これらの2つのサービスの切磋琢磨感を見ていくことで、SEOとユーザビリティ改善という共にコストパフォーマンスが高い施策を両立できるようになってもらいたいと考えています。

今回はSEO対策のキーワードに絞って話をします。

前置きが長くなりましたが本題に入りましょう!


■SEO対策を考える前に大事なことはまずはビジネスモデル理解

SEO対策を考える際に大事なことは
・キーワード
・コーディング
・リンク
という3つの要素に整理することができます。

そしてこの中で最も大事な考え方がキーワードです。
飲食店経営で昔から言われる言葉に『一に立地、ニに立地、三四が無くて五に立地』というものがりますが、キーワードも一緒です。

そしてこのキーワードを考える際に重要になるのがビジネスモデルの理解です。

キーワードを考える要素は
・検索数
・コンバージョン率
・コンテンツ作成難易度
・SEO対策難易度
の4つの要素がありますが、最適なキーワードを見つける方法はビジネスモデルをもとに仮説を出すことです。

ビジネスモデルを理解していないと、そもそもビジネスの成功につながる施策はできません。以前あった失敗事例を紹介しましょう。

保険会社のSEO対策を手がけたことがありましたが、検索流入とコンバージョン数は大きく伸びたものの、肝心のビジネスゴールには全くつながりませんでした。

理由は『ビジネスモデルを理解していなかったから』です。

当時はSEO対策のキーワードは検索ボリュームがあってナンボという考え方だっため
『病名×保険』
というキーワードを提案し、それぞれのページを作成しSEO対策を実施しました。

そもそも保険会社の利益というのは

・預かった保険金を運用して得る利差益
・厄災が起こらなかった際に得られる死差益
・営業担当経費などを削減して得られる費差益

の3つに分けることができますが、身も蓋もない話をすると保険会社は死差益を最大化するために加入者を事前に審査をし保険金が支払われる可能性が高い人を予めふるいにかけています。

『病名×保険』というキーワードはその病気に罹患する心配を保険で解決したいというユーザが検索しているキーワードです。

検索のボリュームはあり、コンバージョンもしますが『保険金が支払われる可能性の高いユーザ』を集客するキーワードだったことが後に判明しました。(今考えるとそりゃそうだろという話ですね)

キーワードのランキングは上がり、集客数は増えましたが保険に加入しても保険金がすぐに発生するという状況になり保険会社としてのビジネスが上手くいかないという問題が起こりました。

これは保険会社というビジネスモデルを理解していなかったために起こった私達の問題でした。

よくどうすれば最適なキーワードを見つけることができるのか?という相談を頂きますが最適なキーワードはビジネスモデルによって異なるという前提があるためはっきりとした回答を出すのが難しいなと思います。

それでも
・ビジネスモデルを理解すること
・ウェブマーケティングの競争が激しい業界のキーワード抽出方法を参考にすること
・SEO対策が優れているリブセンス、価格コム、クックパッドのような会社の抽出方法を参考にすること
という考え方を持ち、仮説にもとづいて小さく試すというのが良いです。

SEO対策というと
・googleアルゴリズムに関する話
・ランキングをアップさせるテクニックに関する話
・リンクに関する話
があがることが多いです。それらももちろん価値のある情報ですがSEO対策を考えるときに大事なことはマーケティングの一手法であるという前提認識です。

重要なことはマーケティングを成功させるという前提をもとに、ビジネスモデルを理解して施策を考えることです。

それが無いと先ほど紹介した事例のようにランキングがあがることをビジネスのゴールと勘違いをして成果につながらないということが起こります。


■クラウドソーシングビジネスで重要なキーワード

彼らのビジネスモデルは
・発注する企業と
・請け負う個人
を直接結んで手数料を得るという寺銭モデルです。

また受発注者を直接つないでしまうため、他のサービスと比べて価格競争力が高いのが特徴です。

両サービスのミッションはランサーズは時間と場所にとらわれない新しい働き方の創出、クラウドワークスは21世紀の新しいワークスタイルを提供するとウェブに明記していますがこの文言だけ見ると大きな違いはありません。

案件をどのように整理しているかを比較してみましょう。

ランサーズクラウドワークスカテゴリ分け.jpg

多少異なっていますが大きな違いはありません。

次にクラウドワークスが特集カテゴリとして注力している主要なカテゴリのランキングのパフォーマンスを比較してみます。

ランサーズクラウドワークス主要カテゴリランキング比較.jpg

こちらもそこまで違いがありません。ただし細かく見ていくと対策方法が異なっているのがわかります。ランサーズは様々なキーワードで流入されるようにtitleタグにキーワードを記載していますが、クラウドワークスは非常にシンプルな作りです。

ランサーズクラウドワークスターゲットワード比較.jpg

各ワードのランキングを比較するとパフォーマンスが異なることがわかります。ランサーズやクラウドワークスといった情報量が多い大規模サイトになればなるほど、こういった細かいキーワードの流入がサイト全体のトラフィックに大きく影響してきます。

Googleのキーワードツールでは算出できないような小さいキーワードの集客に成功させて、大きくビジネスを成長させたリブセンスの記事を以前書きました。


ランサーズクラウドワークスランキング比較.jpg


そしてこれはツールで調査した各サービスの流入数の比較です。


ランサーズクラウドワークス流入比較.jpg

検索流入の数字を比較してみないと正確なところはわからないですが、こういった施策の積み上がりが数字の差になっている可能性もあるでしょう。

こういったビジネスモデルは情報量や案件数も重要ですが、コンテンツの差が無い場合は細かいテクニックが重要になります。

またこういったタスクワードは地域に紐付いたものもニーズは高いです。海外のイーランスなどはしっかりと用意していますが、両サービスとも地域で整理したキーワードはありません。

海外クラウドソーシングサービスとの違い.jpg

これはこのキーワードで集客をするという発想が無いために起こっています。このキーワードをもとにページを作ることで、発注したいユーザをもっと集めることは可能です。

こういった話をすっ飛ばしてコーディングやリンク構造の最適化の話をしても仕方がありません。

そしてこういったキーワードについての話はアルゴリズム云々は一切関係がありません。どういったキーワードであればビジネスのゴールに結びつくかというウェブマーケティングにおける集客の話であり、こういった会話がSEO対策において最も本質的なものです。

ただしビジネスモデルから考えると、地域によって用意する情報が全て一緒になってしまうためgoogleに誘導ページと判定されるリスクもあります。

HOME'Sなどはこの問題をうまく回避してます。

HOME'S誘導ページ対策.jpg

紹介する引越し会社は全て同じなので、地域の情報を用意したうえでその地域のコメントをクローラーで引っ張ってきて追加しています。

地域によって提案する情報が一緒というのは

・結婚相談
・引越し
・不用品回収
・保険相談

などの同じサービスを全国展開しており、地域によって提案する情報が一緒という業界で起こる問題です。そのためこういったHOME'Sの方法の発想は参考になるでしょう。

実際この方法を使って私達のクライアントはSEO経由の反響数のみで月に1800件獲得できているところもあります。リスティングの獲得単価は1件4000円なので馬鹿にできないマーケティング効果です。

そして業界としては以前紹介したごちクルなども該当しますね。


次回は両サービスのユーザビリティを比較します。

またこの場所でお会いしましょう!


※追記

引越しHOME'Sのコメントのクロール対象はネクスト社運営のLococomです。

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プロフィール

黒須敏行

黒須敏行

早稲田大学在籍時に株式会社アルコにアルバイトとして参加し入社。現在はコンサルタントとしてベネッセやラクスルなどが運営する大規模サイトを中心にウェブマーケティング改善のプランニング及びコンサルティング活動を行なっている。

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