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» 2013年10月 4日 更新

ちびクロの細かすぎて伝わらないネットサービスの話 博報堂が生んだ天才デザイナー佐藤可士和さんがデザインしたコーヒーメーカーの七変化から見るビジネスで結果を出すためのUI・UX改善の考え方


博報堂に入社するデザイナーは入社時にデザイン力を評価する試験を受けますが、佐藤可士和さんは入社当時過去最高の成績を叩き出したデザイナーです。入社後様々な有力プロジェクトに携わり実績を挙げ2000年に独立しました。

佐藤さんのビジネスに対してのアプローチ方法はこれまでのデザイナーにあったような
「デザインはデザイナーの表現であり、作りたいものを作る」
といったものではなく、クリエイティブの定義を
「クライアントのビジネスを解決するための課題解決」
として様々な成功実績を収めてきました。

私はデザインについての良し悪しというのはわかりませんが明治学院大学のロゴのリニューアルのプロジェクトについて語っていた話で面白いと思ったことがあります。

それは「キャンパス見学」に来る学生を増やすために、お昼が無料で食べられるというミールクーポンをつけたことでより多くの受験生を呼び込むことができたという話です。

2007年度のオープンキャンパスは前年度のおよそ2倍、1万人もの人が集まりまった。クリエイティブな発想を用い、やり方を変えることで、多くの人々に大学への関心をもってもらうことができた。http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20091217/201646/?P=5

これはもはやデザインの話ではなくマーケティングのコンサルティング成果です。

これを見ると佐藤さんが他のデザイナーと違って大きく評価されているのは、クライアントと握る課題の"かさ"が違うからだろなと思います。

私が社会人を始めたときに吉井亮介さんというコンサルタントのお師匠さんにもらった教えのなかで、ウェブマーケティングのコンサルタントは3つの階段があって、ひとつずつその階段を登ることで売上は増えるよというものがあります。それは

・ひと目の階段
商材売り(SEO単体、リスティング単体、ウェブ広告単体)
・2つ目の階段
ウェブマーケティングコンサルタント
・3つ目の階段
ビジネスにインパクトのある成果をもたらすパートナー

こういった話でした。

クライアントに対してのオファーがどのレイヤーの課題を解決するものかによって、クライアントと築かなければならない信頼値は異なりますし、課題や信頼が大きくなるにつれてクライアントと売上も大きくなるというものです。

このブログではSEO対策によってビジネスで結果を出すためにはビジネスの理解が必要だという話をしてきましたが、それはこのお師匠さんの教えがもとになっています。

そのため佐藤可士和さんを見ると、デザイン単体の課題解決だけでなくクライアントの経営課題やマーケティングの課題を把握したうえで、それらを解決する提案をしているから信頼を得ているんだなと感じるのです。

そしてその佐藤さんが手がけたセブン-イレブンのコーヒーメーカーのデザインがnaverまとめで話題になっています。

佐藤可士和さん作のコーヒーメーカーですが
before.jpg

それぞれのコンビニが工夫こらし、手直しされてしまいました。

after1.jpg

after2.jpg


ネット界隈のリアクションもこういったものが多いです。

uservoice.jpg


これは見た目のデザインはお洒落で格好良受かったけどビジネスのゴールにつながらなかったため、店毎のオーナーがユーザにあわせた改善をした話だと思います。

UI・UX改善の議論でよくあるのは

・画面のサイズをどうするか
・見た目がダサいかどうか
・ユーザに対してのインパクトがあるか

などの話が多いですが、この事例を見て思うのは
ビジネスのゴールにつながるデザインと世間一般で良いといわれるデザインは異なることがある
ということです。

前置きが長くなってしまいましたが、今日の記事の目的はビジネスで成果が出すためのUI・UX改善についての考え方を伝えることです。結論は

ビジネスで成果を出すための主要な改善要素は
・ユーザの関心事を特定しそれに応える
・ユーザの意欲を高まる情報を用意する
・ユーザの意欲が下がることを解消する
の3つです。

これをひとつずつ説明していきましょう。

綺麗でおしゃれなデザインができたものの、ユーザが使いづらい、ビジネスで成果が出ないという状況を避けるようになってもらいたいと思っています。

それでは参りましょう!


■ユーザの関心事に応える

そのサイトやアプリに訪れたユーザが何に関心を持っているのかをまず特定することが必要です。

そしてその関心に応える情報を用意し、適切な導線で提案することがまず第1ステップです。

10月10日に弊社で
というセミナーを行いますが、そのコンテンツを紹介しながら解説します。

まず結婚式場を探すユーザの最大の関心事は何でしょうか?

色々ありますが、多くのユーザが考えること。それは人数と費用です

また自分のイメージにあった会場で式を挙げたいと考えているため写真の質や量も重要になってきます。

多くの式場は自分達が名づけた名前でプランや会場名を整理していますが、こういった状況はユーザの「何人で開催できる式場なのか?」という関心には応えられていません。

wedding.jpg

これを改善する方法は簡単でその会場が何人入るものか、どれくらいの費用がかかるのかを記載することで解決ができます。

UIやUXを考える際に重要なことは「ユーザが何に関心を持っているのか」と特定し、それに応えることです。


■ユーザの意欲が高まる情報を用意する

インターネットの情報の長所は誰もが簡単にアクセスができ、誰もが発信者になれることです。その半面自分達の情報が比較されやすいという短所があります。

ユーザは1日の時間の99%をあなたのサイト以外に使っているという視点を忘れてはいけません。

そのため比較検討されたときにユーザの行動意欲を高める情報を用意するという発想が必要になります。これが第2ステップです。

人材紹介というビジネスモデルは参入障壁が低いため、リクルートを卒業した方を始めとして数多くの事業者が立ち並ぶ業界です。

ユーザがそういった業界で考えることは何でしょうか?

それは「この会社は他の会社と何が違うのか?何が特徴なのか?」ということです。

ユーザは比較をするという発想が無いウェブサイトは「自分達が伝えたい情報を一方的に押し付けている」だけになり、その結果成果も上がらないというシーンを本当によく見ます。

・ユーザの意欲が高まる情報はなにか?
・その情報を競合は提案しているか?

という視点で情報を企画し適切なタイミングで提案することで数字は改善されます。

人材紹介のケースであれば、よく人事担当者のインタビューや特定企業のセミナー情報などを提案することが多いです。これは中立的に第3者の立場になった情報を提供することで数字を改善することができます。

仮にあなたがコンサルティング業界に興味があるとしたら

・特定戦略コンサルティング会社の人事担当者が自社のことについて語ってくれるセミナー
・主要戦略コンサルティング会社毎の特徴と、会社毎にマッチする人材マッチしない人材を教えてくれるセミナー

どちらが興味あるでしょうか?

jinzai.jpg

もちろんこういった情報をユーザに対して競合企業が提案している場合は、ユーザ意欲を引き上げることは難しくなります。そのためユーザの自社のサイト以外の行動に目を向けることが重要になります。


■ユーザの意欲を下げるものは何か?

ビジネスで成果を出すために必要な考え方としては、ユーザがそのウェブサイトを見る以外の時間に何を考えているのかを把握するという視点です。

そういった視点を持っていると、ユーザがその業界に対してや、その会社に対してどんな不安や先入観をもっているのか?という会話をすることができます。

・サービスの単価が高い
・新しい業界で業界が未成熟
・営業担当者の契約形態がフルコミッション

などの条件が当てはまるような業界は構造的に営業担当者に対してのプレッシャーがきつくなることが多く、そのため強引な営業につながりユーザとのトラブルになるといったことがあります。

そういった業界はユーザ業界に対してのネガティブな先入観を持っているケースがあります。

ビジネスで結果を出しているウェブサイトは、そういったユーザの先入観や不安を解消するために、スタッフの情報を詳細に紹介をしています。

estate.jpg

一方でそういった視点が無いウェブサイトはどんなに綺麗なデザインになっていたとしても、ユーザの不安を解消することができません。

不安解消という視点を持ち、それらを解消する情報を用意することで更に成果を上げることができます。


■まとめ

表面的な見た目を良くすることも大事ですし、問い合わせフォームの使いやすさを良くするといった機能の改善はやって損は無いのでできるのであればすぐにやるべきです。

ただし劇的に成果を改善したい、ビジネスで成果を出すことでクライアントから仲間に信頼をされたいという話であれば

ユーザとのコミュニケーションを改善する

という視点を採り入れることでその目的は達成ができます。

また冒頭のコーヒーメーカーの事例は『関心事を特定してそれに対応した情報は用意していたものの情報が強調できていなかった』ということだと思います。

10月10日にそういったことを事例を上げながら説明をする無料セミナーをするので、興味のある方はご参加下さい。

それではまたこの場所でお会いしましょう!


☆この記事が面白いと思った方にオススメの情報

コミュニケーションの課題を特定するための必要なことがユーザビリティテストです。ユーザビリティテストを社内でできるノウハウを無料で提供しています。

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UI・UX改善というと表面的な機能の話に終始することが多く、それはそれで重要ですが本当に大切なことは何なのか?ということを書きました。

ビジネスで成果を出すために必要な考え方はユーザの声を聞くことではなく、ユーザの行動を見ることということを書きました。


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プロフィール

黒須敏行

黒須敏行

早稲田大学在籍時に株式会社アルコにアルバイトとして参加し入社。現在はコンサルタントとしてベネッセやラクスルなどが運営する大規模サイトを中心にウェブマーケティング改善のプランニング及びコンサルティング活動を行なっている。

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