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» 2014年8月20日 更新

ちびクロの細かすぎて伝わらないネットサービスの話 アナリティクスに関するよくある勘違い

リモートユーザテストベンダーのポップインサイト社がコンサルティングの改善実績をweb担当者フォーラムで公表していました。

「アクセス解析データなし」「デザイン変更なし」でもユーザー行動観察で問い合わせを10倍にした方法

自動車保険代理店のウェブサイト経由の反響数を

・アナリティクス情報なし
・デザイン変更なし
・改善したのはコンテンツのみ

という条件下で10倍にしたというものです。

この事例を見て過去の昔は大きな勘違いをしていたなあと改めて感じたので備忘録としてまとめます。


アナリティクス結果をみれば問題発見できると思っていた

Googleアナリティクスを代表に分析ツールの高機能化が進んでいますが、昔の自分はそれ自体でウェブサイトやサービスの問題点を発見できると思っていましたが今考えると間違っていたなと感じます。

この事例では数字を見るのではなく、まずサービスを使っている顧客を見ることに注力しています。

アクセス解析データが全くないなかでのホームページ改善のため、ホームページを利用する潜在顧客(ユーザー)を理解するためのデータを集める必要があります。
クライアントの問い合わせ電話担当者にヒアリングを行ったり、過去の契約者アンケートなどの既存データをもらい受けたりしたものの、「ホームページを見て問い合わせをしない本質的な理由」がなかなか見えてきませんでした。
そこで、ホームページに訪れるユーザー(お客様)の心理・行動を理解するための分析手法として、官公庁に勤めている方5人を対象に、ユーザー行動観察調査を実施しました。

調査によってこのような改善アイデアを発想しています。

・顧客は代理店は不安と感じているため、大手保険会社の商品を扱っていることを伝える
・顧客が知りたいことは「ぶっちゃけどれくらい安くなるか?」なので、比較を用いて伝える
・顧客は自動車保険の乗り換えには時間がかかりそうという先入観を持っているためQ&Aで反対処理をする

これらの改善アイデアはアナリティクスやアイトラッキングを見て出てくるでしょうか。おそらく発想するのは難しいでしょう。

アナリティクスは
『何が起こっているのか?』はわかりますが
なぜそのような問題が起こっているのか?
がわからないことが多いです。

そのため付き合い方のスタンスは
『どの場所が問題なのか?』
という改善箇所の特定に使うのが良いと感じます。

nanapiも自社のブログで成果改善の方法を公表していますが、アナリティクスを問題点の発見ではなく施策改善の効果検証に活用しているのがわかります。

nanapiのUXデザインへのとりくみ

昔の自分にアナリティクスを眺めてても改善アイデアは出てこないぞといいたいですね。


改善アイデア発見に必要なのは炭鉱のカナリアを見つけること

こういった事例を見て思うのは、昔の自分は
「少人数の声をもとにした改善は偏りがでるためナンセンス」
と考えていましたが勘違いしていたなと思います。

事例のなかでは、サービスを想定顧客に使ってもらい独り言を話してもらっています。

ユーザーに黙々と利用されても「利用中に何を思ってその行動を行ったのか」がわからないため、利用中は考えていることを独り言として話してもらう(思考発話)ことにより、心理や課題を具体的に把握しやすくする特徴的な手法です。

このように自分の不安や不満を素直に口に出せるユーザ数人に聞ければ改善につながるアイデア発見は可能です。これは今なら納得できます。

じゃらん、フロム・エー、ゼクシィ、とらばーゆなどの様々な新規事業を立ち上げた元リクルートくらたまなぶさんは『創刊男の仕事術』という書籍で新規事業のアイデア発見に有効な手法がインタビューであり、インタビューの際に重要なことは「炭鉱のカナリアを見つけたら離さないこ」だと話しています。

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カナリアは空気が汚くなると鳴き出すため炭鉱内で有毒ガス発生の発見装置に使われていました。

市場の不満や不安を発見するためのセンサーを持っている人は案外少なく、素直にそういったことを口に出せる人がいたら決して逃すなという話です。

大多数の意見よりもそういったカナリアの声が超重要ということなんですが、この事例を見ても数十人数百人の顧客インタビューではなく数少ない顧客調査によって改善アイデアを発想していることがわかります。 

あと創刊男の仕事術は非常に面白いのでオススメです。

創刊男の仕事術.jpg

 

インターネットは構造的に接客する力が弱い

事例であった自動車保険代理店のようなケースはあるあるだなと感じます。

インターネットという媒体はリマーケティングや有料検索などに代表される広告配信の最適化や広告効果測定は非常に強いですが、お客様に適切な対応をとるという接客の部分が非常に弱くなる特性があります。

例えば小売の現場であれば何度も通っているお客様に対して挨拶や商品の提案内容を最適化させることはよくあることです。「いつものやつで」で伝わるようなお店はたくさんあるでしょう。

ただしインターネットになった途端に何度も何度も訪れている顧客に同じメッセージやコンテンツを訴求するケースが非常に多くなります。

これはユーザ毎にシナリオを最適化するコストや技術要件もそうですが、インターネットサービスを作っているサイドの人達は顧客行動を目にする機会がどうしても少ないため、顧客の関心がわからず最適なシナリオが不明確になってることが問題の根っこにあると考えています。

こういった問題を解決するスタートアップサービスも出てきてますね。

KARTE
http://plaid.co.jp/

flipdesk
https://flipdesk.jp/

そしてこういった問題を回避するために誰でもすぐできる有効な手法がユーザテストや顧客インタビューなどのユーザ行動調査です。

・顧客単価をアップさせたい
・クライアントにコンサルティングを求められているが話すことがない
・Googleアナリティクスを見ても何も出てこない

などの問題意識をもっている人達はまず友人にサービスを使ってもらい様子を観察することや、不満や不安を話せる人にインタビューすることをオススメします。

この記事とかはいつ見ても参考になりますね。永久保存版でしょう。

起業家に告ぐ!ユーザビリティテストを使え

それではまたこの場所でお会いしましょう!

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プロフィール

黒須敏行

黒須敏行

早稲田大学在籍時に株式会社アルコにアルバイトとして参加し入社。現在はコンサルタントとしてベネッセやラクスルなどが運営する大規模サイトを中心にウェブマーケティング改善のプランニング及びコンサルティング活動を行なっている。

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