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» 2016年6月27日 更新

ちびクロの細かすぎて伝わらないネットサービスの話 コンバージョンを倍増させたことでわかったGoogleアナリティクスの使い方

月間粗利300万の成果改善でわかったUI改善ポイント

全国で店舗を持っている事業会社のウェブサイトを改善したことでコンバージョン数が大幅に改善できたので、ポイントを振り返ろうと思います。

クライアントのビジネス上の強みはサービス提供のアフターサポートまでを幅広くサポートできる企画提案力と大手ブランドによる信頼性でしたが、近年インターネット上では新興企業による低価格を主軸としたマーケティング攻勢が加速しており、ネット広告の反響効果が近年減少傾向にありました。

こういった状況でインターネット経由の問い合わせ数を増やすことが経営上の重要課題になっており、今回リニューアルに踏み切った背景があります。

このクライアントはリニューアル前の段階でウェブサイト分析ツールGoogleアナリティクスに資料請求や問い合わせ完了の計測タグが入っておらず、問い合わせフォームも修正ができない仕様になっており完了ページへの到達数も計測ができない状況でした。

通常Googleアナリティクスの改善ではランディングページからページの価値を加重でソートし

・流入が少なく
・CVRや価値が高い

こういったクロージング率は高いが行動量が低い営業マンのようなページへの導線を太くするのが非常に効果的なんですが、これができるのはコンバージョンを定義をして、コンバージョンタグ設置していることが前提です。

推奨参考記事→売上に貢献しているページを見つける方法

改善のポイントだったのは

・改善箇所をアナリティクスで特定
・改善方針をユーザ行動調査をもとに立案
・試作品をユーザ行動で検証

このプロセスを踏んだのが良かったと考えています。

ひとつずつ説明しましょう。


Googleアナリティクスの価値は改善対象箇所の特定

コンバージョンタグは入っていませんでしたが、それ以外のコンテンツにはタグが入っていたので、まず参照元を自然検索に限定したうえで、どのコンテンツに改善余地があるのかを確認しました。

クライアントはトップページの改善を中心に考えていましたが、新規ユーザの流入を見るとむしろ全国の店舗を紹介している各エリアのページと店舗の詳細ページが大半を占めていました。

エリアディレクトリの流入量が最も大きい

流入が多くてもビジネス貢献が低いのであれば手を入れる優先度は低いですが、リスティング広告の結果を共有してもらったところこれらのコンテンツ経由の問い合わせはあったので、改善の伸びしろと判断して施策を考えることにしました。

このようにGoogleアナリティクスなどの分析ツールはまず改善対象の特定に利用するのが良いです。


なぜ直帰率が高いのかはGoogleアナリティクスを見てもわからない

これらのコンテンツへの流入が多いことはわかりましたが、このページをどう改善するかが重要です。

ただしGoogleアナリティクスで直帰率や離脱率を見てもなぜそうなっているのかはわからないのではないでしょうか。

リクルート社で「ゼクシィ」「フロムエー」「エイビーロード」「じゃらん」などの新規事業を20年間で14立ち上げたくらたまなぶ氏という方がいます。

彼はそもそもマーケティングという言葉を

・市場調査によって昨日までのユーザの行動を数字で把握すること
・不満や不安といった明日のユーザの気持ちを把握しそれらの課題を解決する企画を作る

と大きく2つのプロセスに定義しており、マーケティングで最も重要なことは「人の気持ちを知ること」だと喝破しています。

Googleアナリティクスに代表される分析ツールや最近流行のABテストツールは、昨日までのユーザ行動を数字で把握するのには便利ですが、ユーザの不安や不満といった気持ちを知ることはできません

ではどのようにユーザの気持ちを理解すれば良いでしょうか。結論からいうとユーザ行動調査がオススメです。ユーザ行動調査にもヒートマップツールを使うものとユーザの言葉を分析する手法がありますが後者が良いです。

それぞれの手法のメリットとデメリットを一度整理をしましょう。

-ヒートマップツールを使ったユーザ行動調査

ユーザの目線を分析することでどこが見られていて見られていないのかがわかります。広告経由でコンバージョンが高いコンテンツが実際は見られてないのであれば導線を太くすれば良いですし、ビジネス貢献の低いページが見られているのであれば細くするといった施策立案が可能です。

このヒートマップの問題点はGoogleアナリティクスと同様に「ユーザの気持ちがわからない」ことに尽きます。またヒートマップツールで得られる発見の対象は現状のウェブサイトのコンテンツなので、そもそもユーザがほんとに知りたかったことはわかりません。またツールによって見られていると判断できたコンテンツについてもそれが良いのか悪いのかは判断ができません。

ページ単体における改善箇所を特定する際に付き合うのが良いでしょう。

-思考発話を伴うユーザ行動調査

この方法はユーザに思ったことをつぶやいてもらいながらウェブサイトを利用してもらい、横で行動や発言を観察し問題点を抽出するという分析手法です。

複数人のユーザに考えていることを話してもらうので、ウェブサイト単体に対する印象や不安の把握が比較的容易になります。

それだけの人数で大多数のユーザ関心をカバーできるのか?という不安があると思いますが、そもそも分析のゴールがユーザの気持ちの根っこを把握するという類の手法なので、数人のテストを実施してユーザの行動原理の根っこを一つでも抑えられればOKという考え方です。

デメリットとしてはモニタやコンサルタントの質によって調査結果が大きく変わりますが専門のコンサルティング会社に依頼するかリモートテストを利用するなどで担保ができます。


プロトタイプにユーザ行動調査をかけることで成功確率を上げる

同業他社の複数のコンテンツを比較してもらった後で

・どう思ったか?
・なぜ思ったのか?

を掘り下げて改善方針を探りました。

得られた発言内容をもとにプロトタイプを用意し、プロトタイプに対して再度行動調査をかけて、コンテンツがユーザの関心に応えられているかを検証しました。

プロトタイプ検証を挟むプロセス

仮説が刺さっているかをリリース前にユーザに対して検証できるので、リニューアルしてもCVRが上がらなかったという状況を回避できます。

時間はかかりますがCVR改善が最優先課題であれば実施すべきです。


リニューアル後月間粗利300万近くのインパクトが継続的に創出

リニューアル直後にコンバージョン数は大きく変わりました。当初の仮説通りエリア経由のコンバージョンが増えており、広告効果で数百万のインパクトが継続的に発生しています。それにともなった受注件数も伸びています。

リニューアル後反響数は大幅に増加


成果改善のポイント

改めてポイントをまとめると

・Googleアナリティクスは改善対象特定に使う
・どのように改善するのかはユーザ行動調査を活用
・改善案がユーザに刺さっているかを試作品ベースで事前検証

このあたりが重要だったかと。

その中でもアナリティクスとの付き合い方と、仮説の発見方法についての考え方は是非参考にして欲しいです。

それではまたこの場所でお会いしましょう!

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プロフィール

黒須敏行

黒須敏行

早稲田大学在籍時に株式会社アルコにアルバイトとして参加し入社。現在はコンサルタントとしてベネッセやラクスルなどが運営する大規模サイトを中心にウェブマーケティング改善のプランニング及びコンサルティング活動を行なっている。

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