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» 2015年3月 3日 更新

ハイ・コミュニケーション私論 検索エンジン? ニュースアグリゲーション?ーー謎につつまれた「Justy Finder」ブロガーミーティングに参加して

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検索エンジン? ニュースアグリゲーション? それともこれまでにないまったく新しいサービス?
2月26日、なにやら謎のベールに包まれた雰囲気を感じさせる「Justy Finder(Beta版)」のブロガーミーティングに参加した。
場所は、サービスを提供するハミングヘッズ株式会社の本社(月島)で、この日に集まったのは25名ほど。ほかの参加者たちも、このサービスには興味津々の雰囲気が漂っていた。

当該サービスについて、恥ずかしながら実は今回はじめて知ったのだが(^_^;)、ほかの参加者も初めて耳にした人が多かったようだ。それだけに、案内をいただいたときから知りたくて仕方がなかった。
サイトの説明によると、以下のように書いてある。

「「Justy Finder」は、WEB上にある全てのニュースが簡単に検索できるので、さっと眺めるだけでも今の日本の姿がわかる画期的な検索エンジンです。既に皆さんが日常で使っている検索エンジンやキュレーションサービスとはまったく違う角度から、日本中全ての最新ニュースだけを仕入れることができるための優れた機能を備えています。」

事前に届いたブロガーミーティングの案内状には、以下のような特長が添えられていた。

【主な特長】
(1)あらゆる「最新情報」を表示します
「SEO的に有利な古い情報」ではなく、SEOとは無関係に「最新情報」から表示されます。そのため、ほかの検索エンジンでは表示されないような情報を見つけることができます。最新情報が知りたい方にぴったりです。
(2)日本中のニュースサイトから得たビッグデータを常時解析しています
「掲載記事ワードランキング」では全収集サイトの中から集めた、実際に記事に取り上げられているキーワードを解析してランキング表示。勘や経験ではないビッグデータに基づく流行を追う指標になります。
(3)24時間最新情報を更新し続けます!
通常のキュレーションサービスでは行えないような真夜中の更新も日中と同じように日々行っています。
(4)ローカルの情報であってもまったく平等に掲載されます!
通常はローカル紙に掲載されるような情報は、全国紙クラスの記事に圧迫されてほとんど見かけることはありません。しかしJusty Finderはこうしたローカルな情報も平等に掲載するため、普通の人が気付かないネタをピックアップできます。
(5)キーワード検索を駆使することで、1つのニュースを幅広いソースから情報取得が可能です!
1つのニュースでも違う視点からの情報に触れることで、より情報を見極められることができます。
(6)通常の検索エンジンではできない「サービス利用者が望む順番にソートすること」が可能です!
自分の必要な情報をより早く、タイムリーに得ることができます。
(7)忙しいビジネスパーソンに朗報!全航空会社のエアライン情報、空席情報を確認できます!
2ヶ月先の情報を一覧で見ることができるので、検索時間を大幅に縮小できます。

上記(7)が唐突だが、これを読んで期待に胸がはずまない人がいるだろうか。


■ニュースアグリゲーションサービスの現状について

現在のニュースサービス市場は、GoogleニュースYahoo!ニュースのような大手を除けば、こうしたアグリゲーションあるいはキュレーション系サービスは群雄割拠の様相を呈している。

最初に登場したのは、11年のCrowsnestとVingowだろう。特に、前者は、その後スマートフォンのネイティブアプリで、米国へも進出を果たしたSmartNewsに発展したことはよく知られている。
その後にGunosyが続き、さらにはAntennaNewsPicksMyndNews Socra、ついにはLINEニュースまでも登場し、こうしたニュースアグリゲーション・サービスは一挙に注目されるようになった。

ちなみに、私の利用するニュースのアグリゲーションサービスは、先のCrowsnest、Vingow、NewsPicks、Mynd、News Socraである。Myndは思わぬニュースに出くわすほかにはないセレンディピティがあるし、News Socraはジャーナリストたちが集まって立ち上げた硬派なニュースメディアだ。

さて、そうした戦国時代の市場に、今回のJusty Finderが最後発であえて参入したのには、よほど競争優位性あるサービスか、それともこれまでとはまったく異なる発想や技術を持った独自性で勝算があるのだろうと思った。

同サービスを提供するハミングヘッズ株式会社は、大手企業向けのセキュリティソフトウエア開発(サービス)を専業としている企業だ。B to C企業とは違い、B to Bはどうしても表に出ることが少ないので、企業名や提供するサービスでは、一般にあまり知られていないのもうなずける。
しかも、セキュリティソフトも含め、全てのソフトウェアなどは純国産開発だそうだ。


■Justy Finderとはなにか

最初に同サービスの運営責任者の方からサービスについて説明があった。冒頭、私たちのようなブロガーに使ってほしいツールだと。

それはなぜか。新聞協会や雑誌協会に加盟しており、そうした加盟サイトから配信されるニュースのみ取得し、現在では300媒体、1日6,000〜10,000ほどの全ニュース、しかもそれらに優先順位や取捨選択することなく時系列順に基づいて並べている。Googleニュースなどでは、どうしても有名ブログメディアの情報も検索結果には一緒に表示されてしまう。また、そうした記事の中にはSEO対策、トラフィックやPV稼ぎ、釣りタイトル記事、さらには炎上狙いのような記事もときには含まれてしまう。
そうした状況なので、それでも信頼度が高いとされている、いわゆる<ストレートニュース>だけが欲しいユーザー(ブロガーなど)には向いているとの説明だった。

したがって、Justy Finderの提供する情報はほぼ国内媒体に限られる。単純化した印象でいえば、300媒体のTwitterそれら全部をあなたがフォローしていると仮定しよう。それら媒体の発信するストレートニュースだけが、情報の種類ごとのタブに分類されてタイムラインとして流れてくるイメージといえばわかりやすいか。

今日、ニュースや情報のキュレーションは、あふれ出る玉石混淆な情報洪水の中から、その人の関心に応じて適切に取捨選択して届けてくれるのが当たり前となっている。
しかし一方では、キュレーション情報だけに接していると、Upworthyを創業したイーライ・パリサーの『閉じこもるインターネット』(早川書房)が指摘しているように、ユーザーひとり一人の利用(行動)履歴や好みに応じ、その人に最適化された情報だけを受け取るようになる。

そうすると、その人は見たいものだけ見えるものだけによる無意識の情報形成されてしまう懸念があり、それがフィルターバブルであり、それは大げさではなく、民主主義の危機をもたらすと警鐘を鳴らしている。

そうしたことについては、「【書評】セレンディピティや多様性が失われ、「類は友を呼ぶ」だけの世界になってしまうのか?ーー『閉じこもるインターネット』」というブログで詳しく述べたので、ここでは繰り返さずご興味のあるかたはあわせてご笑覧願えればありがたい。

次いで、技術担当エンジニアの方から技術についての説明があった。
もともと自社開発したINP(インテリジェンス・プラットフォーム)とSSE(スーパー・サーチエンジン)という2つの技術を流用して作られたのがJusty Finder特に、前者は、これまで一部人力でしか行えなっかたような作業(PC操作)を完全に全自動する技術で、あらゆる操作や作業を完全自動化することができる"ソフトウェアロボット"だとのこと。

ここで、その技術のデモ映像の紹介があり、技術に詳しい人からは「お〜、素晴らしい」との声が上がっていた(これについて、企業サイトに動画もあるので参照を)。

当日配布された資料に小冊子にも含まれていたが、この技術を利用して昨年は価格比較サイトをスタートした。これについてもまったく知らなかった。ただし、現在ではそのサービスは停止している。
また、ニュースカテゴリのほかには、いまは飛行機の空路空席情報の検索サービスを提供している。これは、航空会社を横断で検索可能で、現在の時刻から近い順で表示する。

今後の予定としては、女性に人気のブランドやコスメの女性向け新製品情報ペット関連のニュースカテゴリもオープンしたいとの話しだ。

今回のサービスについて、同社の持っている技術がどれほどのものか、私はエンジニアではないので、それらについて意見を述べたり判断できる立場にはない。私の拙い知識では、技術的なことについては上記で紹介した程度が限界である。こうした技術に詳しいブロガーの投稿に期待するしかない。

ここまで書いてきて、Justy Finderを利用したいと感じる人たちもいるだろう。


■私が利用する要件と必然性とは

さて、以下に書くことは、率直ではあるがあくまでもマーケッターとしての私個人の意見であることは、あらかじめお断りしておく。なお、私だけのブログではなく、下記に他の参加者たちのブログのリンクも一緒に掲載したので(関連リンク2)、あわせて参照していただくほうがよいだろう。

サイトを見るとトップページに「トピック」が表示され、それ以外に「総合」「IT」「経済」「スポーツ」など、全部で14カテゴリに細かく分類されたタブが用意されている。

しかし、ユーザーはこうした情報カテゴリ全てに興味や関心があるわけではない。私も5〜7つのカテゴリだけで十分だ。例えば、私は「エンタメ」情報にはまったく興味がなく、Googleニュースでも非表示にしているほどだ。知らなくても困ることのない芸能ゴシップ情報が主だからである。Justy Finderは、そうしたユーザーにとって不要な情報のタブ非表示または削除ができないし、タブの並べ替えもできない

たとえば、Flipboardでは、最初に自分が利用したいカテゴリを選択できる。しかし、このJusty Finderでは、そうしたユーザーの使い勝手にあわせた設定することが一切不可能なのだ。

私は、ニュースはロイター、AFP、ウオールストリート・ジャーナル、ブルームバーグ、雑誌ではニューズウィーク、クーリエ・ジャポン、フォーブスなど海外メディアの翻訳情報を主にチェックしている。そうしたサイト情報はfacebookの公式ページでフォーローしている。

さらに、自分でこれらの公式ページを1つのフォルダに集約し、それらメディアのニュースだけをチェックしたい時にそのフォルダをクリックすれば、それら自分が選択した各々のメディアのフィードだけが閲覧できるように自分の使い勝手にあわせてカスタマイズ設定をしている。

GoogleやYahoo!の巨大ニュースサイトが存在し、すでに上記の5つニュースアグリゲーションを利用し、さらにはfacebookで自分仕様のキュレーションもしているので、国内情報と媒体が主体ということであれば、仮にストレートニュースだけを欲しいとしても、それらに追加して新たにJusty Finderを利用する動機が、残念ながら私にはみあたらない
「国際」のタブもあるが、ロイター、CNNなどわずかだ。例えば、ロシアニュース専門でも「ロシアの声」(VOR)のようなニュースメディアの情報はあがってこない。

したがって、国内のニュースや情報が中心で十分で(「今の日本の姿がわかる」)、ストレートニュースだけが欲しい人には重宝されるかもしれない。逆にいえば、海外からは"情報カルテル"とも揶揄されている日本の記者クラブ制度によるニュースメディア情報だけでは「ちょっとね......」というようなユーザーには不向きだといえるだろう。

例えば、地方紙・誌あるいは特定の業界紙・誌だけの情報を集められるのであれば、利用する可能性は十分にある。新聞の地方版、あるいは地域新聞にだけ掲載されるような情報はどうしても漏れてしまう。北海道や東北だけとか、九州・沖縄だけのニュースが欲しい人たちもいるだろう(「地域」カテゴリは用意されている)。

また、一般の人にはまったく知られていない業界紙・誌もたくさんある。そうした特定の業界が発表するニュースだけを、自分で最初に媒体選択してそれらをカテゴリ設定したタブ分類で集約できれば、私は是非とも利用したい。

思うに、この企業のもっている高い技術力を使えば、ニュースに限らず様々なカテゴリなどに流用が可能なのだろう。
その技術流用の第一弾が、先の価格比較サイトだった。サービス停止となったことについては説明がなかった。このニュースサービスはどうか。正直にいえば、私には多くのユーザーが利用するだろうとの確信は持てない。ユーザーによっては、確かに便利なのかもしれないだろう。

また、仮に今回の体験で、私が十分に理解しあるいは長所を見いだしてそれらについて述べたとしても、ベンチャーのローンチする新しい技術やサービスが、全て成功するわけではないのは否定がしようのない厳然たる事実である。ユーザーや市場に受容されるというのは、それほどに難しく簡単なことではない。

たぶん、もともとあった技術を流用したということの要因が大きいだろう。「はじめに製品(この場合技術)ありき」という印象を受けた。つまりプロダクトアウトであって、マーケットインではないのだ。なぜそれを多くの一般ユーザーが使いたくなるのかという思いや視点に乏しいように思う
これは、同社がB to Cでのビジネスの経験が豊富ではないこととも無関係ではないように感じる。

案内をいただいた時点で、これは革新的かつ画期的なサービスとの妄想が膨らみすぎたということもいえるだろう。しかし、他のニュースサービスに比べ、今回の経験ではJusty Finderが提供する利便性を私は理解するにはいたらなかった。

もちろん、参加者の中にはこのサービスの有意義さを即座に実感して利用したい、あるいはその技術の素晴らしさがわかったという人もいるだろうことは、念のために付け加えておく

先の、価格比較サービスもそうだが、現在、空路検索のサービスやほかにオープンを予定しているカテゴリもあるので、まだどれがフィットしてユーザーを獲得するサービスを見つけ出す段階で試行錯誤中なのだろう。

ハミングヘッズは、まぎれもなくテクノロジー・ドリブン企業で優れたエンジニアが揃っている。したがって、そうした同社の持つ高い技術力・開発力を流用(応用)すれば、たぶん今後も様々な情報やカテゴリでの応用や活用が可能だろう。そうした中から、新しい着眼や着想に基づく新事業(サービス)の柱が見つかり、育っていくかもしれない。

今回、いろいろと説明を受けてサービスの存在理由の理解できた。どんなものにも存在理由はある。
しかし、私自身の問題なのかもしれないが、今のところUSP(Unique Selling Proposition)が見つからず、どう利用すべきなのか確たる必然性を私は見いだすことはできなかった

すぐれたポイントなどについてきちんと伝えようと、技術力の確かさと高さは褒めているつもりであるが、エンジニアでない私が語っても、その信憑性は乏しいしさしたる価値もないのだが......。

最後に、懇親会では、築地玉寿司の提供というという素晴らしいおもてなしが用意されていた。しかも、目の前で握ってくれたのだ。それを2回にわけて供されたのだが、話しに夢中になっていて気がついた時には2回目を食べ忘れたのがかえすがえすも残念だった(^0^;)。


(関連リンク1)
▼Justy Finder(Beta版)
http://justy.hummingheads.co.jp/news/index

▼ハミングヘッズ株式会社
http://www.hummingheads.co.jp/

▼ほとんど見なくなった今だからこそ見返すべきGunosyの使い方
https://shukatsu-mirai.com/1/column/gunosy/

▼Mynd
https://mynd.jp/start/

▼News Socra
https://socra.net/

▼【書評】セレンディピティや多様性が失われ、「類は友を呼ぶ」だけの世界になってしまうのか?ーー『閉じこもるインターネット』
http://blog.marketing.itmedia.co.jp/macume/entry/671.html

▼「閉ざされたインターネット」Upworthy・CEOが語る、情報のフィルタリングの危険性
http://u-note.me/note/47499326


(関連リンク2:ほかの参加者たちのブログ)
▼ニュース専門検索エンジンJusty Finderで国内すべてのニュースをリアルタイムにバイアスなしに読んでみよう
http://kira-ism.com/archives/3535

▼「Justy Finder」ブロガーミーティング
http://kage1208.seesaa.net/article/414888413.html

▼ニュース専門検索エンジン「Justy Finder」を使ってみた 新聞がいらなくなるかも!?
http://chawan.livedoor.biz/archives/51447150.html

▼ハミングヘッズ社の秘密基地へ潜入!
http://shibuya-life.blogspot.jp/2015/02/blog-post_28.html


(おすすめブログ)
・マーケティング、イノベーション、ビジョン、ベンチャーについて考えたこと(1)
http://blog.livedoor.jp/macumeld/archives/1506556.html

・マーケティング、イノベーション、ビジョン、ベンチャーについて考えたこと(2)
http://blog.livedoor.jp/macumeld/archives/1507133.html

・マーケティング、イノベーション、ビジョン、ベンチャーについて考えたこと(3)
http://blog.livedoor.jp/macumeld/archives/1507923.html

・マーケティング、イノベーション、ビジョン、ベンチャーについて考えたこと(4)
http://blog.livedoor.jp/macumeld/archives/1511143.html

・『独自性の発見』復刊によせてーーマーケティングにおける独自性と差別化(1)
http://blog.livedoor.jp/macumeld/archives/1556667.html

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梅下武彦

梅下武彦

コミュニケーションアーキテクト兼ブロガー。20世紀は広告代理店の“傭兵マーケッター”、21世紀はベンチャー企業のマーケティング責任者を歴任。現在、マーケティングコミュニケーション領域の戦略立案や設計、アドバイザー・メンターとして活動している。また、様々なソーシャルメディアで活動するSocialmediactivisとして、現在をDigital Ambient Society、Communication Metamorphosesと定義し、多様に激変する社会現象・事象、時代情況を独自のマーケティング視点で語るコラムを執筆中。 ソーシャルテクノロジー社会におけるMarketing DisruptionとCommunication Ecosystemの関係を探求している。

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