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» 2015年6月 1日 更新

ハイ・コミュニケーション私論 The blog must go onーーブロガー支援の新しいプラットフォーム、SmartNewsとも連携、AMNの新サービス「reviews」(β)発表会に参加して

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私的公開日誌@ウェブ暦150602.01 

開会の冒頭、「プレスカンファレンスに、欧米と同じようにブロガーが呼ばれるような環境にしていきたい」というような力強い発言が、この日に司会進行役を務めた徳力さんからあった。
アジャイルメディア・ネットワーク(以下AMN)が、今回(5/28)初めて開催した「オープンプレスカンファレンス」に参加したときことだ。

この記念すべき第1回目、SmartNewsとの連携を含め、同社の新しいサービス「reviews」(β)のお披露目だったのだが、「記者発表会形式のイベントで、オープンな記者発表会の形を実体験しながら模索する実験の場」という趣旨のイベントでもある。
したがって、この日、最初にSmartNewsのご担当者から、最新のニュースアプリ市場の現状についての説明があり、「reviews」(β)に関しての発表へと続いた。

今回の新サービス「reviews」(β)の説明を聞いたとき、同社の原点(ブロガー支援)に立ち返るサービスのような印象を受けた。そうした背景には、一時期「ブログは古い」などといわれたこともあるが、最近ふたたびブログの良さがが見直されつつあるという追い風もあるように感じる。

当メディアでは、これまでにも「NTT R&Dフォーラム 2013」、「インバウンドマーケティング×アンバサダー・マーケティング出版記念セミナー」、「アンバサダーサミット2015」(序論/本論)、「Justy Finderブロガーミーティング」など、AMNブロガーミーティングに参加したレポート記事を書いてきた。
今回は、この新しいサービスについて"レビュー"しようと思う。

サービス内容の詳細については、メディア掲載記事のほか、参加ブロガーたちからも逐次情報が上がってくるだろうから、下記の関連リンクならびにイベント関連ブログをご参照いただきたい。
それらと同じようなことを書いたのでは私がレビューする意味もないので、例によってイベントをダシに私見を綴るのでなにとぞご承知のほどを。


■ブロガー支援からスタート

そもそもPay Per Postがあたりまえの時期、アンチPay Per Postとしてそれらのブログ排除を理念に掲げて創業されたAMN。そのことに共感を感じた私は、09年「ブログクラブ」がサービスとして立ち上がった際に早速参加した。
これまで、他社のブロガー系サービスも検討したことはあるが、私が利用しているのはいまでも同社のサービスだけだ。それには、いまでは書く側にいるが、かつて発注者側だった経験も影響している。

その「ブログクラブ」は、翌10年「Fans:Fans」にリニューアルされた。
もちろん、それはTwitter、facebookなどブログ以外の様々なソーシャルメディアが台頭し、市場環境の大きな転換期となりつつあったことを見越してのことだった。
他にも「ユーザーチャート」(10年)、書評ポータル「ブックブック」(10年)、「NPS/ロイヤルティ調査」(14年)、ニュース系ブロガー支援プログラム「iWire」(14年)など、次々に提供してきた。

また、同社はこれまでにも様々なブロガー向けのイベントも開催してきた。
毎年開催していた「アルファブロガー・アワード」(12年で終了)のほか、「WISH」(09〜11年)、「ソーシャルメディアサミット」(11、12年)、「ブロガーサミット」(13年)、「アンバサダーサミット」(13年〜)などがそうだ。
私はこれらイベントにほとんど参加してきたので、そうしたソーシャルメディアの変遷を肌で実感している。

こうして振り返ってみると、試行錯誤の連続だった印象がある。
しかし、メディアやコミュニケーション環境が大激変している今日、何事もトライ&エラーは当たり前だし、ベンチャーであればなおさら「やってみなはれ」でなければならない。

私にとって、個人ブログのカテゴリ「Bloggerイベント」は、そうした同社の数々のイベントを楽しんできた証しでもある。また、それらイベントを通じ、素晴らしいブロガーたちと知り合うこともできた。


■「reviews」(β)は、マッチングサービスのプラットフォーム

この新しいサービスを一言で説明すれば、記事を書いてもらいたい企業と書きたいブロガーのマッチングプラットフォームサービスである。

ブロガーは、企業からのオファー、受注、記事執筆、内容確認、納品、請求書発行、支払いまでを、同プラットフォーム上でワンストップで行える。それもすべてワンクリックというもので、これまでの煩雑な手間や手続きを解消しようというものだ。
しかも、ブログだけに限らず、雑誌など他メディアへの寄稿、講演、はてはテレビ(ラジオ)への出演などまで見据え、このワンストップサービスで包括的にブロガー支援していくという構想をもっているとのこと。
もちろん、そうしたオファーを断る(辞退する)自由もワンクリックだ。

ただし、これら全てを享受できるのはいわゆる「reviews」(β)公認ブロガーだけである。
この1月からすでに試験運用を開始し、現時点ですでに約100名ほどが公認ブロガーとして登録されている。

つまり、これはプラットフォームであると同時に、公認ブロガーにとってのエージェント的機能を兼ね備えたサービスのようなイメージといえばわかりやすいか。

公認ブロガーとは、マッチングサービスで企業から記事執筆の発注を受けられるチャンスを得た人たちのことだ。報酬と引き換えに記事を書くのであれば、記事広告とどこが違うのかという微妙なことでもある。
書くにしても自ずと筆も優しくなろうというもの。これまでのように第三者(ユーザー)視点で"純粋レビュー"ができるのだろうかと気になる。

私の知る限り、同社のサービスを利用しているのは質の高い記事が書ける"良識派ブロガー"だと思っている(私の質が高いということを言いたいのではない^-^;)。

また、AMNでは以前から有償・無償にかかわらず、記事を書く場合には必ず記事内にはっきりと関係を明記することが義務づけられている。

万が一、ブロガーの記事が依頼主との関係をはっきりと書かずにステマと疑われる事態が、同サービスだけではなく他のブログサービスで行ったことが発覚し、調査してそうした行為が明白になった場合には登録から削除される。
会場では、皆で「ステマ、ダメ、ゼッタイ!」と一斉に唱和したので大丈夫だろう。

それでも、有償ブログ以外は書かない人が増えてしまはないのかという懸念も残るだろう。
そうしたブログしか書かないようになれば、本人はそのつもり(自覚)はなくとも、どこかで誰かが大声で記事広告ブロガー呼ばわりするような可能性があるかもしれない。

また、忌憚のない率直なブログ記事がネガティブな内容と受け取られてしまい、依頼主から支払いを拒否される可能性がないのかも気になるだろう。だからこそ、Fans:Fansとは異なりreviews(β)では一旦チェックが入るのだろうと思う。
そもそも、根拠のない悪口雑言でない限り、市場に製品やサービスを提供すれば、ネガティブな意見や感想を誰かがどこかでソーシャルメディア上に書き込むことは避けがたい。人の口に戸は立てられないのだ。

さらにいえば、ネガティブな見解を受容する覚悟がないのであれば、ブロガーに記事を依頼すべきではないだろうし、それでは自己に都合の良い情報だけを受け取るだけなのと同じで、イーライ・パリサーが危惧した『閉じこもるインターネット』のフィルターバブルのような状況に陥ってしまうだろう、というのが私の考えだ。

ソーシャルメディア時代では、どのような情報も拡散して加速し可視化される。耳障りの良い言葉だけからはなにも得られないだろう。問題点の改善や解決へのヒントや気づきでもあるネガティブな見解は、むしろもっとも傾聴すべきであると思う。

それはさておき、公認ブロガーに登録するにはfacebookかTwitterのアカウントが必要である。
まず「reviews」(β)に登録(エントリー)し、更新頻度、レビュー力、影響力など総合的に判断され、審査に合格すれば公認ブロガーとして認定されてサイト上で正式に公表される。
もちろん、公認ブロガーになれなくとも、エントリーすればメルマガで各種イベント、モニター、サンプリングなどへの参加は可能だ。


■SmartNewsとの連携ーーブログはアプリの中に存在する時代

今回のサービス発表の最大の目玉は、なんといってもSmartNewsとの連携だろう。

14年10月、スマートフォンの利用時間全体のうち、アプリからの利用が全体の72%を占めていることを(ブラウザ28%)、ニールセンのNielsen Mobile NetViewの視聴行動分析調査を公表したことについて、SmartNewsのご担当者から説明があった。

今日では、ニュースアプリを牽引する企業と知られているSmartNewsは、「reviews」(β)公認ブロガーと連携できる「オピニオン」チャンネルを用意し(近々同社からリリース予定)、その中で「reviews」(β)のブログ記事も取り上げ広く多くのユーザーにも読まれるような仕組みを提供していく。

これまで、特定の大手メディアの専用チャンネルはあったが、これからは商業メディアと個人メディアの垣根を超え、良質な情報をユーザーに届けたいというという。それが、「reviews」(β)の最大の特長といっても過言ではないだろう。
すでにSmartNewsでは、「読書チャンネル」開設し個人ブログによる書評の配信も始まっている。

だからといって、誰のブログでも配信されるわけではない。配信条件は、広告クレジットの明記を行っているブロガーに限定されるし、さらにSmartNewsのアルゴリズムの仕組みから話題となれば、配信対象として掲載される可能性もあるということのようだ。

つまりこういうことなのだ。
かつて、ブログが読まれるには検索エンジンの中に存在している必要があったが、今日ではスマホのアプリの中にいなければならないと

私は、アドネットワークもアフィリエイトも利用してはいない。「広告はクールじゃない!」と思っているし、自分のブログが広告表示だらけになるのが嫌だからだ。
もっとも、Googleやfacebookも最初はそういっていたが、現在では広告が最大の収益源というのは厳然たる事実である。
他人が収入源として活用することについて否定はしない。ただ、私自身が利用していないだけだ。

それではなぜ、一文にもならないブログを続けているのか。
それについては、「誰がためにブログは書く(1)ーーオーガニックブログにこだわる理由」(12年)にも書いたので、ご興味のある方はあわせてご笑覧願えれば嬉しく思う。


■The blog must go on

私は様々なソーシャルメディアを活用している。
しかし、これまで何度も書いているが、ブログが軸であることはずっと変わらなかったし、今後もおそらくそうだろう。もっとも、アウトプットの質を考えれば自ずとそうなるのではあるが。

現在では、ITmedia、Biz/Zineなどからお声かけいただきこうして寄稿するようにもなった。気がつけば、8年も地道にブログを継続してきたからこそなのだと思う。

それに、小林秀雄風にいえば「ブログとは畢竟、他人をダシにして己を語ることである」という私のブログスタイルは、登録はしてみたもののどのみち依頼者が喜ぶような"純粋レビュー"にはきっと向いていないだろうなとの自覚もあるのだ。
なにごとにも、向き・不向きは避けがたいことなのでこればかりは致し方がない。

今後も、「オープンプレスカンファレンス」形式のイベントを毎月定期的に開催していくとのことなのでそれが嬉しい。ブロガーへの収益還元やサポートも大変にありがたい仕組みだとは思う。しかし、そうした恩恵に浴することができるのは、正直にいって一部の人たちに限定されるだろう。

私は、Ronin Blogger(浪人ブロガー)である。それは、アンバサダーでもないし、公認ブロガーでもないという意味において。
私を含め、知名度も影響力にも乏しい"その他大多数の市井ブロガー"にとってのインセンティブとはなにか。
それは「reviews」(β)ならではの独自性溢れるもてなしや贈り物である。それは金銭や物品ではなく、ほかでは得がたいユーザー体験ということ。

これまでの「ブログクラブ」、「Fans:Fans」、「iWire」以上に、なにか新しい体験や発見、つながりを提供してくれるようなサービスに発展することを期待してまずは楽しみにしたい。

いずれにせよ、「ブロガー支援の歴史がまた1ページ......。」と、ここは『銀河英雄伝説』に倣っていっておこうではないか。
徳力さん自身が本来がブロガーであり、AMNがその原点に立ち返るような新しいサービス提供開始には、ともかく拍手をもって歓迎したいと思っている。


(関連リンク)
▼オープンプレスカンファレンス開催について
http://agilemedia.jp/news/opc/opc20150528.html

▼AMN、企業とブロガーのマッチングを行う 「レビューズ」を開始!
http://agilemedia.jp/news/info/20150529_reviews.html

▼「reviews」(β)
https://re-views.jp/

▼レビュー記事を個人ブログの収益源に 企業とブロガーをマッチング「レビューズ」 ステマ撲滅掲げる
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1505/29/news089.html

▼AMNが企業と質の高いブロガーとのマッチングを行う「レビューズ」を開始~レビューズ登録ブロガーの記事配信や勉強会開催にも取り組み~
http://gihyo.jp/ad/pr/2015/NRR2015136118


(イベント関連ブログ)
▼企業とブロガーのマッチングサイト「レビューズ」誕生
http://wadablog.com/affiliate/post-94.php

▼企業と個人メディアと読者が幸せになる情報発信を考える
http://jkaden.net/blog/2015/05/30/reviews

▼レビューを頼みたい企業とブロガーをつなげるサービス『reviews(レビューズ)』公認ブロガーになりました
http://unsolublesugar.com/20150529/022756/


【おすすめブログ】
●ブロガーのためのコミュニティを開設ーーAMN「ブログクラブ」がサービス開始
http://blog.livedoor.jp/macumeld/archives/932898.html

●誰がためにブログは書く(1)ーーオーガニックブログにこだわる理由
http://blog.livedoor.jp/macumeld/archives/1653306.html

●ブログの未来とはー「ブロガーサミット2013」に参加して思う
http://blog.livedoor.jp/macumeld/archives/1812995.html

●【書評】セレンディピティや多様性が失われ、「類は友を呼ぶ」だけの世界になってしまうのか?ーー『閉じこもるインターネット』
http://blog.marketing.itmedia.co.jp/macume/entry/671.html

●カテゴリ<Bloggerイベント>Archives
http://blog.livedoor.jp/macumeld/archives/cat_48132.html

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梅下武彦

梅下武彦

コミュニケーションアーキテクト兼ブロガー。20世紀は広告代理店の傭兵マーケッター、21世紀はベンチャー企業のマーケティング責任者を数社で歴任。現在、マーケティングコミュニケーション領域の戦略立案や設計(最適化)、アドバイザーとして活動をする一方、主にスタートアップ支援を行いつつSocialmediactivisとして活動中。Digital Ambient Society、Communication Metamorphosesが進行しつつある今日、そうした多様な社会現象・事象、時代情況を独自のマーケティング視点で語るコラムとしたい。

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