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» 2015年9月16日 更新

ハイ・コミュニケーション私論 GoogleはすでにSNSに興味なし、facebookは新デザインでブログ機能を密かにテスト中。2つの世界的企業のある「大転換」ーーソーシャルメディアの10年とこれからによせて(前編)

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私的公開日誌@1509016.01

私がソーシャルメディアを使いはじめて10年が過ぎた。
ソーシャルメディアという言葉自体、いまでは誰でもが知る日常的なコミュニケーションツールとなり、マーケティングや広告宣伝や広報、そしてメディアのあり方そのものに甚大な影響を与えるほどに発展するとは、その当時に一体だれが予想し得ただろうか(もちろん、iPhoneなどスマートフォンの普及も大きな要因)。

05年、初めて利用したソーシャルメディアは、ご多分にもれずSNSのmixiだった。当時は、SNSといってもほとんどの人はわからず、まずサービスについての説明からはじめるような時代だった。
06年ごろ、Web2.0という言葉が国内でもてはやされたが、まだソーシャルメディアという言葉もなく業界内でもCGMとかUGCとか呼んでいた。

この10年間ほど、ソーシャルメディアは多彩に立ち上がり、一方で幾多のサービスが潰えていった。
正確に数えたわけではないが、私が登録しただけ、あるいはほとんど使わないうちに終了したものなどを含めると、利用したものだけ30個はこえている。

今回、私のソーシャルメディア利用10周年を勝手に記念し(^_^;)、2つの世界的な企業で大きな動きがあったので、自分なりにいま考えていることや感じていることを書くことにする。
もちろん、これはごく私的な視点からの大きな動きであって、ほかの方々から見れば「なんだ」かもしれない点はあらかじめお断りをしておくので、なにとぞご承知を願いたい。

それは、Googlefacebookの「ある動向」についてである。
今回は、前・後編の2回に分けて書く予定なので、もしもご笑覧が叶えば嬉しく思う。


(1)ポストGoogle+のSNSのローンチはもうない?

ここのところGoogleの動きが激しかった。

新しいサイトNews Labをローンチし、新会社Alphabetを設立し、つい先日はデスクトップのWebブラウザでのGoogle検索結果にTwitterのリアルタイムツイートを再び表示させるようにした。

しかし、私の一番関心を引いたのはGoogle+からHangouts(ハングアウト)を分離して別サイトにし、つい先日(8/31)には、YouTubeとの連携も切り離しを公表したことだ。
ほんの数年前まで、Google+に統合しようとしていたのとは180度の戦略転換だ。

そして「老兵は死なず、ただ消え行くのみ―Google、全プロダクトでGoogle+ユーザープロフィールの利用を中止へ」が、私にとっては最近のGoogle関連のニュース中ではもっとも印象に残る記事だった。

同社には、ほかにもっと将来性や価値あるビジネスは多々あることはわかっているので、もはやSNS(ソーシャルメディアすべてではない)には興味・関心を失い、これ以上SNSなどに関わっていられないと判断したと私は受け止めると同時にやはりという思いもある。
だから、John Brandonのブログ「Google+アカウントを閉鎖する時が来たのは、なぜ?」を読んだとき、あ〜、私の気持ちを代弁しているようだと感じた。

今回も、GoogleにとってSNSは高い壁だった。
同社の最初のSNSサービスだったOrkutも、昨年(14年)9月末で終了させた。

この"Orkut"(04年)はいまの日本では知る人も少ないサービスだが、世界初のSNS"Friendster"(02年)と並ぶ古参SNSだった。"Friendster"衰退後の06年ごろまでは、当時世界最大のSNSだった"MySpace"(こちらも衰退)と並ぶほどの勢いがあった。
そのころ、国内ではまだまだmixiの全盛だった。

その後、Google Wave(09年)、Google Buzz(10年)、そしてGoogle+(11年)と、次々と新たなSNSサービスリリースに挑戦し続けてきたが、どうしてもその高い壁を越えられなかった。Google+の静かなサービス停止もすでに視野に入れていることだろう。
私は"Orkut"以外は利用してきたが、十分に使わないうちにサービスがみな終了してしまった。
そしてGoogleにとって、"最後"のSNSも思うような成果を上げられなかったことで、今後はGoogleからいわゆるSNSサービスがリリースされることはないだろうと思っている。

Google+は、それでも私としてはよく使った方だ。積極的かと問われれば、いやそうでもないとしか答えられない。また、このサービスがなくなったら困るかと聞かれれば、これまた特に困らないとしか答えようがない
つまり、どうしても必要なサービスではないということが、このサービスを積極的に使わない大きな理由なのだ。また、SEO対策で重要だという人もいるが、それはビジネスやマーケティング視点ではそうだろうが私には関係がない。

ただし、登録者数が11億5,000万人(14年2月時点)という規模は、それでもfacebookに次ぐ世界第2位(実態はGmailやYouTubeアカウント込み)である。これほどの登録者数を抱えているのはそれなりに立派な"資産"だが、アクティブ率はその他に比べると極端に低く利用されていない事実は否定しようがない

■私のGoogleソーシャル戦略への要望

Google+を終了させるかもしれないとの情報を接したとき、やはりと思いつつもある友人に、私だったらGoogle+をこうするという考えがあると語ったことがある。

現時点では、SNSサービスとしてはすでに勝負はついている。
したがって、facebook的SNSはすべてを止めにし、個人ユーザーの利用も捨て「グループ機能だけに特化させる」というマーケティング戦略にフォーカスするのだ。

もちろん、同社にはすでにクラウド型グループウェアGoogle Apps for Workというビジネスパーソン向けのサービスがあるのは知っている。
ただ、周辺でも利用している人がいないし、ニュースや記事でもあまり見かけることがないので、どれほどの人たちがこのサービスを利用しているのか、あるいは使い勝手や利便性が高いのか否かも私にはわからない。
基本的にはビジネス用途なので、有償利用が前提だ(500円/ID、ストレージ容量に応じて別途料金が加算される。30日間無料試用あり)。

グループウエアというと、これまでどうしてもエンタープライズ利用のイメージがあるし、やはり優れたツールは多いだろう。
私が構想しているのはおもに個人によるグループ利用で、スマートフォンネイティブかつ無料なことが前提だ。
例えば、高校や大学の部活やサークル(ここはLINEが担っているだろう)、社会人の様々な勉強会やセミナーあるいは趣味の集まり、主婦仲間の集まり、商店街会、NPOなどの団体など、むしろ個々人でのグループ利用の必要がある人たちの利用ポテンシャルは無限にあるだろう。

最近では、無料で使えるグループウェアが増えているが、ビジネスほどには活用されていないし認知度も低い。また、無料で利用できる機能やサービス極めても限られている。だから、個人ユーザーはほとんどがそうしたグループウエアではなくfacebookグループを活用している。
しかし、利便性や機能の豊富さからいえば、やはりグループ機能に特化しているグループウエアに軍配があがるだろう。

グループでのメッセージング(メール)、チャットやビデオコミュニケーション、タスク(イベント)管理、スケジュール共有、To Do、写真やテキスト共有など、とにかくグループ利用だけのためにあらゆる機能強化・サービスにフォーカスし、グループ利用ではこれ以上のプラットフォームはなく、ないと困ると言わしめるほどのサービスにするのだ。

Googleは、ソーシャルメディア、特にSNSでのプレゼンスをどうしても獲得したかったのだろう。だからこそ、これほどの企業でも「差別化の陥穽」から逃れられなかったのだ。
とにかく、マーケティング戦略における真の"differentiation(識別・特殊化)"とは、むしろ自社の独特な特長を際立たせるための戦略なので、独自性または独創性と考えるべきなのだ。

そう思うとき、アップル(この場合、ジョブズ)の偉大さが際立つ。
ジョブズが同社に復帰した時点(97年)で、すでにマイクロソフトとのOSでは勝負はついていた。そこで競うのは無意味だと彼はわかっていたし、95年時点でインターネットが一般(商用)利用が可能になりその無限の可能性がわかっていたからこそ、アップルに復帰した最初からそれを見越してネットにフォーカスしていた。そこがビジョナリーといわれる所以でもある。
しかし、これは言うは易く行うは難しの典型でもある。

■21世紀にふさわしいグループウエア

本題の戻ろう。
コンシューマーを対象とした無料グループウエアがリリースされれば、少なくとも、現状のGoogle+よりずっと活用されるだろう。私はそうしたものがあれば是非とも利用してみたい。
ただし、皆さんも経験、とくにSNS運営者の方はそうだろうが、facebookでも同様だがグループやコミュニティはプラットフォームやツールより、開設してあとからの運営の方がずっと難しいのだ。開設しても、まった活用されていないところが多いのが実態だ。

テクノロジー企業のGoogleであれば、一般ユーザー向けのグループウエア提供はできないことではない。
個人ユーザーや公式サイトなどは、もうfacebookなどに任せておけばよいのだ。似たようなサービスが2つあれば、両方を利用する意味や必要性もなく、どちらかより便利でみなが利用していてアクティブ率が高く、コミュニケーションしやすいものがあればそれで十分だろう。
コンシューマー分野ではグループ利用だけに特化し、そこで圧倒的なプレゼンスを発揮して利用者を満足させるサービスとするのだ。もちろん、そこで獲得した知見やテクノロジーは、先々を考えればいずれエンタープライズ分野でも活きてくるだろう。

21世紀、これからは同じ組織でもリモートワーク(場所や時間にとらわれ勤務形態)、企業と大学、企業とスタートアップのような異なる組織(企業)同士の連携、外部フリーランスとの協業なども含めてオープンイノベーションで内部と外部との連携が進むだろうし、そうしたことに関係なくますます働き方や組織構造、さらにはライフスタイルも多様化するのは避けられない。
Googleのテクノロジーの粋を結集すれば、従来のグループウエアやエンタープライズSNSを超えるような、イノベーティブなサービスが提供できるだろう。

つい最近、リクルートがこの10月から上限日数のない在宅勤務制度を全社導入するというニュースが大きな話題を呼んだ。
小さなベンチャー企業ではなく、この規模の会社で導入したことが意義があるように感じる。通勤電車に揺られ、決められた場所と時間に出社し、一定の時刻になったら帰宅するという20世紀型就労形態からの解放の嚆矢となるだろうか。とても興味深い。

いずれにせよ、そうした新しいワーキングスタイルに最適化された協業やコミュニケーションが統合された最強ツールが、今後はますます求められる
ましてや、すでに11億人以上の"資産"を抱えているのだ。近未来を見据えたツールの開発こそ期待されている。

もとより、仮に、そう仮にこの戦略通り遂行されたとして、それで成功が保証されるわけではない。
ただ、私ならそうした戦略を採択し賭けてみるというに過ぎない。ただし、そうしたサービスにGoogle自体がいまビジネスとして関心があるか否か、それはまた別問題でもあるのだが。


(後編に続く)


(関連リンク)
▼【2015年保存版】ソーシャルメディアのデータまとめ一覧。ユーザー数から年齢層まで、SNS運用担当者は必見!
http://gaiax-socialmedialab.jp/socialmedia/368

▼Googleの「News Lab」では、ジャーナリズムのためのデータやツールを提供
http://jp.techcrunch.com/2015/06/23/20150622google-launches-a-new-home-for-journalists-with-news-lab/

▼Googleを子会社にする新会社「Alphabet」設立、その狙いは
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1508/11/news102.html

▼Google検索、デスクトップ(英語版)でもリアルタイムツイート表示
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1508/22/news022.html

▼Googleハングアウトが独立したサイトになった
http://jp.techcrunch.com/2015/08/19/20150817the-cheese-stands-alone/

▼老兵は死なず、ただ消え行くのみ―Google、全プロダクトでGoogle+ユーザープロフィールの利用を中止へ
http://jp.techcrunch.com/2015/07/28/20150727google-weans-itself-off-of-google/

▼Google+アカウントを閉鎖する時が来たのは、なぜ?
http://www.lifehacker.jp/2015/09/150901_google_account.html

▼Google Apps for Work
https://www.google.com/intx/ja/work/apps/business/


【おすすめブログ】
●【書評】『独自性の発見』復刊によせてーーマーケティングにおける独自性と差別化(1)
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●映画『ロスト・インタビュー スティーブ・ジョブズ 1995』を見て改めて感じること
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梅下武彦

梅下武彦

コミュニケーションアーキテクト兼ブロガー。20世紀は広告代理店の傭兵マーケッター、21世紀はベンチャー企業のマーケティング責任者を数社で歴任。現在、マーケティングコミュニケーション領域の戦略立案や設計(最適化)、アドバイザーとして活動をする一方、主にスタートアップ支援を行いつつSocialmediactivisとして活動中。Digital Ambient Society、Communication Metamorphosesが進行しつつある今日、そうした多様な社会現象・事象、時代情況を独自のマーケティング視点で語るコラムとしたい。

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