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» 2015年10月 5日 更新

ハイ・コミュニケーション私論 GoogleはすでにSNSに興味なし、facebookは新デザインのブログ機能をいきなり公開。2つの世界的企業のある「大転換」ーーソーシャルメディアの10年とこれからによせて(後編)

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私的公開日誌@151005.01

前編のGoogleに続き、後編ではfacebookの新たな動き、ソーシャルメディアさらにメディアやコミュニケーションの未来について、私なりの考えや視点を述べるので、引き続きお付き合いが叶い、ご笑覧いただいた皆さまにとってなにがしかのヒントにでもあれば幸いである。
こちらはGoogleとは違い、私には大いに嬉しい情報だ(^_^)。

ところで、この後編を投稿しようとしたまさにその直前、facebookが「密かにテスト中」だった新デザインのノート機能をいきなり公開(9/26)したので記事内容を書き直すことになってしまったが、それはそれで想定外の嬉しい驚きでもあった。

それにしても、この新しいノート公開について国内ニュースがわずか2件ほどと少なく、ネットでもほとんど話題にならずむしろ関心の低さにビックリしている。
したがって、見出しも「密かにテスト中」(前編)から、「いきなり公開」(後編)に改めることにしたのでどうかご了承のほどを。


(2)facebook、新しいUI・UXで喜ばしきノート機能の強化

サービス強化では様々に試行錯誤を続けながら、いまでは"世界SNS帝国"に君臨しているfacebook。

LinkedIn、Goolge+なども含め、実名性SNSを牽引してきたサービスだ。それまでのSNSといえば(mixiを含め)、実名と匿名が混在していた。

04年、facebookはサービスローンチ(一般公開06年)、日本に上陸してきたのは08年で、私もその時から利用している。そのころ、日本人利用者数は海外在住者を含め十数万人だった。今日では国内だけで約2,500万人のユーザー数を抱え、もっとも利用されているSNSとなった。

私は、日本でも数年でfacebookが主流となるというブログを書いたことがある(「Facebookは実名利用だから日本人に普及しない」をいまだにオウム返しの愚」)。

日本ではmixiという絶対的なSNSが存在していたため(私もかつてはユーザー)、特に実名を晒すことを避けたがる(匿名好きなのではない)日本人では利用されないだろし普及は厳しいとの事前の評価だった。

そうした評価を喧伝していた人たちはいま何を思っているだろう。当時は普及に懐疑的だった人たちも、いまではきっとfacebookを利用しているにちがいない

さて、そのfacebookがノート(ブログ)機能の強化をするために密かにテスト中との情報が8月ごろかチラホラ聞こえてきた。
これは最近の同社に関するニュースの中では、私にとっては一番の朗報だと感じた。

それというのも、私は「Facebookノートーーひょっとして最も使われていない機能かも?」というブログも書いたことがあり、もっと利用されるべきだと考えていたからだ。

かつて、ノートには外部ブログがフィードされていた。
私のノート欄には600件ちかくのエントリーがあるが、ほとんどすべては個人ブログ"The Blog Must Go On"からの記事だ。
しかし、11年にタイムラインを本格導入した(FriendFeed買収の意義がここにある)ことで状況が変わった。その時点から、それまでのように外部ブログがノートに反映されなくなったのだ。

その後も、このノートはほかとは違ってずっとアップデートもされないまま長らく放置状態で、ユーザーもほとんど利用していなかったのだが、約5年ぶりに大幅刷新されたのだ。

■Mediumをかなり意識したデザイン

私自身、これまでも決してノートの積極的な利用者というわけではないが、テスト中のノートはなんとTumblrやMediumをかなり意識したUI・UXになるというまことに嬉しい情報だった。

すでに、Medium構築に協力したカナダTeehan&Laxのデザイン担当だったジョン・ラックスとジェフ・ティーハンを採用したと、ほかのメディアでは報道もあり大いに期待が持てた。

私はTumblr、Mediumにも手を出しているのだが(後者は活用できていないが^-^;)、この新しいfacebookノートは、私だけでなくより積極的に利用したいと思っている人たちは多いだろう。

こうした事情には、米国では著名人がfacebookに長い文章や記事の投稿することが多いようで、CNETの8月の記事では「ブログ投稿の重要性の高まりをFacebookが認識している」証拠だと伝えていた。

とここまで書いていたのだが、この記事を書いている時点では、ノート機能は現在は極秘にテスト中だとは認めたものの、提供開始の時期も提供予定か否かさえも正式にはコメントしていなかった。

それが9月26日、なんといきなり新しいノートが公開されたのだ\(^O^)/。
Tumblrより、どちらかというMediumをイメージして洗練されている印象だ。従来のあの素っ気ないノートとは雲泥の差だ。
先のテスト中を報じたCNETでは、以下のように伝えている。

「今回のNotesに対するアップデートにより、記述したノートの内容に沿ったカバー写真の追加ができるようになった。キャプションの追加や写真のリサイズとともに、ヘッダー、引用、箇条書きの書式設定も可能だ。新しくなったNotesは、これらの機能によってMediumなどの競合サイトに近くなっている。」

今回の公式の発表では、「ノートは今や、(投稿より)長い文章を書いて誰かとシェアするためのより良い方法になった」とのことで、今後はリーチも増えるだろうし(と思う)、ユーザーのノート投稿の重要性がさらに高まることが期待される。
特に、ブログを開設するほど記事を頻繁に更新しない人には、ノート機能が拡充されるのは便利だしありがたく大いに歓迎されるはずだ。

ときおり、フィード上に長文を掲載する人がいる。しかも、それが実にすばらしく良い内容だったりするのだ。そういうのを見かけるたびに、なんともったいないのだろう。ノートに書いてストック情報にしておけば良いのに思う人が何人かは必ずいるのだ。
ニュースフィードだと、どうしても情報は流れていってしまう。

また、公式ページでもアプリでノート機能は追加できるので、いずれ公式ページでも新しいノートになるだろう(と思う)。これからは、この新しいノート(ブログ)を効果的な使い方をするところが出てくるに違いない。

それに、最近話題となっている「インバウンドマーケティング」という視点からも、ブログ更新は他のソーシャルメディアに比べればそれなりに大変だが、ノート機能が充実されればもっと手軽に投稿・更新できるだろう。

いずれにせよ、ブログはロングテールかつインバウンドなコンテンツだ。
多彩なソーシャルメディアの中で、私はいまでもブログをもっとも重視している。だから、ノート機能が拡充・強化されるのはとにかく大歓迎だ。

一時はもう古いと喧伝されたこともあるブログだが、SmartNewsがブロガー向けの「オピニオンチャンネル」、書評ブログなどの「読書チャンネル」開設でブロガー支援の動き出すなど、あらためてブログの意義と価値が見直され、需要が高まっていることも大きな要因だ。


■facebookーー3つの当面のフォーカス領域

フェイスブックが現在注力しているのは次の3点だというのが私の考えだが、いずれの領域でも手強い競合が存在している。

第1に、今回のノート機能UI・UX刷新によるブログ(インバウンド)強化だ。

第2に、この5月にアプリ上のフィード表示されたニュースを読めるInstant Articlesを発表したが、新たにFacebook for business向けのニュース専用の単体アプリを開発中で、こちらも実は"密かにテスト中"であるという報道があったが、これについてはノーコメントとしている。

第3は、昨年買収したOculus VR社のテクノロジーによるVR・ARだろう。

特に3番目は同社だけではなく、グーグルのほか、今年になり本格参入したアップル、マイクロソフトなど、もうすぐVR・ARマーケットの覇権争いが熾烈になることだけが確実で、マーケティングコミュニケーションにかかわる私としても非常に興味深いテーマだ。

なお、このVR・ARについては、近々別途ブログを予定しているので乞うご期待を(^_^)。


(3)ソーシャルメディアの未来ーー緩く柔らかなつながりとDigital Ambient Sosiety

ゼロ年代後半(Web2.0以降)、かつて、あれほどポジティブに語られ開かれた社会の到来や希望を託されたソーシャルメディアも、今日ではその様相が一変してむしろ懐疑的あるいはネガティブな文脈で語られることが多い

そうした楽観論から悲観論への転回については、以前にも「【書評】セレンディピティや多様性が失われ、「類は友を呼ぶ」だけの世界になってしまうのか?ーー『閉じこもるインターネット』」でも語ったので、ご興味のある方はあわせてご笑覧をお願いできればと思う。

そもそも、東浩紀のいう「弱いつながり」(実態は「薄いつながり」だと思うが...)は、オンラインのSNSではほとんど世界中の人たちと関係構築が可能なのだが、それはいわば従来の実生活圏での「強いつながり」に対するアンチテーゼなのだろう(ここでは本論ではないので別の機会に譲る)。

その弱いつながりが、オープン・可視化で「よきこと」をもたらすはずだったし多様性を育むはずだった。しかも、ユーザーの利便性を向上させるはずと期待されたパーソナライゼーションが、むしろ同じ情報・同じ価値観による閉鎖的な関係構築や同質化を無自覚的に促してしまうという弊害を産み出してしまった。

これは、ある問題を解決しようとする行為(好意)がまた別の問題を生んでしまうようなものだ。まさに「地獄への道は善意で敷き詰められている」ということだ。これにかぎらず、なにごとにも光と影(陰と陽)が必ず存在するものだ。

また、「○○疲れ」(○には様々なソーシャルメディアが入る)ということが繰り返され、ベッドや防水グッズを用意して入浴時にまで手放せなくなるほどの依存症、さらにはオンラインでのいじめなどのから精神障害や自殺に至るような問題もある。今日では、「ネット私刑」という言葉がメディアを賑わせているほどだ。

スマートフォンを持ち続けていることで、常につながっていて誰かに見られている、常にコミュニケーションし続けけなければならない社会が到来したことによる精神的な負荷や息苦しさだ。

本質的には、その二者択一のどちらでもないオルタナティブなつながり、それは緩くあるいは柔らかいつながりこそが多様性をは育むだろうと私個人は感じているが、悲しいかな私は東浩紀ほどの明晰な頭脳ではないので、残念ながらこうだという内容をいまは提示できない。

■分散型メディア社会とDigital Ambient Sosiety

個人が情報発信するにはかつてはブログ開設が必要であったが、様々なソーシャルメディアの発達により、ブログがなくても気軽に情報発信できるようになった。

今後、ウェブは企業などのオウンドメディアの伸展・拡大、そして分散型メディア(BuzzFeed、NowThis、Vox.comなど)のどちらかに収斂していくだろうが、後者にはすでに手強いプレイヤー(特に米国)が存在している。
分散型メディアというのは、私にはまったくない発想や視点だったので、始めて聞いたときにはいきなり虚を突かれた。

もっとも、スマートニュース社の藤村さんほどのお方をして、分散型メディアは「新鮮かつ衝撃的」だったとのことなので、いわんや私ごときの凡人をやなのではあるが。

BuzzFeed日本版は年内にはオープン予定だ。私個人はイーライ・パリサーのUpworthyも日本版が上陸してくることを期待したい。
どのメディアであろうと、共通しているのはコンテンツを軸にすえていることである。

これはある友人の言葉だが、「コンテンツは、検索エンジン対策とかソーシャルメデイア対策だとかの文脈で語られすぎる。検索エンジンがなくなろうがソーシャルがなくなろうが、それらに関係なくコミュニケーションとして大事なんだ」と語ったのだが、それはケンシロウのごとく正確に秘孔を突いている。

一方、ウエラブル、IoTなどが伸展すれば、接続(つながり)状況から逃れるのはますます難しくなる(実際にそうなるだろう)。
そうした社会を、私はDigital Ambient Sosietyと定義しているのだが、そうなったときに便利さはさらに高まる一方で、人々はそうした環境からどのようにして安息を見いだせばよいのだろうか。20世紀ではいかに露出(知ってもらうか)が重要だったが、21世紀ではプライバシー問題も含めていかに隠れるか(知られないか)が重要になるかもしれない。

いずれにせよ、この世界的な2つの企業の動き、そしてメディアの成り行きにはこれからも大いに注視していきたい。


(了)

<追記>これを書き直した直後、ウォール・ストリート・ジャーナルでTwitterが140文字の撤廃を検討との報道があった。
記事によると、140文字撤廃をかなり積極的に検討しているということらしい。
しかし、文字数を増やすにしても、ユーザー名やリンクを除外し、それでせいぜい150文字とかMAX180文字とかに抑えてほしいものだ。
万が一、いきなり1,000文字とかになったら、もうそれだけでTwitterではないし存在意義や価値(独自性)が薄れるだろうにと思う。


(関連リンク)
▼Facebook、「ノート」をリニューアル 「Medium」のようなデザインに
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1509/26/news032.html

▼Facebook、「Notes」機能をアップデート--カバー写真の追加などで「Medium」似に
http://japan.cnet.com/news/service/35071046/

▼Facebook、「ノート」機能の新デザインをテスト--TumblrやMediumに対抗
http://japan.cnet.com/news/service/35069015/

▼どのようにSNSは死を迎えるか:Friendsterで検証
http://wired.jp/2013/03/05/friendster-autopsy/

▼"バイラル"の次にくるもの/「分散型 BuzzFeed」構想の衝撃
http://mediadisruption.net/2014/08/17/next-viralmedia/

▼分散型メディアは未来か?/Vox.com が主張するメディアの選択
http://mediadisruption.net/2015/08/23/visionofvoxmedia/


【おすすめブログ】
●GoogleはすでにSNSに興味なし、facebookは新デザインでブログ機能を密かにテスト中。2つの世界的企業のある「大転換」ーーソーシャルメディアの10年とこれからによせて(前編)
http://blog.marketing.itmedia.co.jp/macume/entry/766.html

●「Facebookは実名利用だから日本人に普及しない」をいまだにオウム返しの愚(1)
http://blog.livedoor.jp/macumeld/archives/1392373.html

●「Facebookは実名利用だから日本人に普及しない」をいまだにオウム返しの愚(2)
http://blog.livedoor.jp/macumeld/archives/1396317.html

●Facebookノートーーひょっとして最も使われていない機能かも?
http://blog.livedoor.jp/macumeld/archives/1862601.html

●ついに終焉を迎えるすばらしいのに使われなかったサービスーーTwitterとFriendFeedの命運をわけたものは何か
http://blog.marketing.itmedia.co.jp/macume/entry/729.html

●【書評】セレンディピティや多様性が失われ、「類は友を呼ぶ」だけの世界になってしまうのか?ーー『閉じこもるインターネット』
http://blog.marketing.itmedia.co.jp/macume/entry/671.html

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〓 The Blog Must Go On 〓
http://blog.livedoor.jp/macumeld/
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梅下武彦

梅下武彦

コミュニケーションアーキテクト兼ブロガー。20世紀は広告代理店の“傭兵マーケッター”、21世紀はベンチャー企業のマーケティング責任者を歴任。現在、マーケティングコミュニケーション領域の戦略立案や設計、アドバイザー・メンターとして活動している。また、様々なソーシャルメディアで活動するSocialmediactivisとして、現在をDigital Ambient Society、Communication Metamorphosesと定義し、そうした多様な社会現象・事象、時代情況を独自のマーケティング視点で語るコラムを執筆中。 ソーシャルテクノロジー社会、Marketing DisruptionとCommunication Ecosystemの関係を探求している。

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