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» 2013年8月17日 更新

初心者が書く、初心者のためのCRMマーケティング 第4回 「CRMのマーケティングモデルを知る」〜知識層(顧客インサイト)編②〜

今回、焦点を当てるのは「②セグメント別の明確な位置づけと対応」。ここでは、セグメントした個客の消費意欲や選択眼といった「インテリジェンス(賢さ)」を理解します。 そして、第2回でご紹介した"6エージェントバリュー"(カスタマイゼーション、ワンストップ、マッチング、ジャストタイミング、レコメンデーション、メタプロダクト)のいずれを提供していけば効果的であるか? を明らかにしていきます。

セグメント別の明確な位置づけと対応

購買マトリックス.jpg

右図は、セグメント別に個客を分類した「購買ニーズマトリックス」。セグメント別の個客への対応として、気をつけるべき大事なポイントは2つ。1つは、個客が費やさなければならない時間と手間ヒマを減らすこと。もう1つは、個客本人にとってベストの選択をもたらし、満足度を向上させることです。


なぜならば、横軸の「消費への関心」が高い個客は、最善の選択をする上で必要なコスト(時間、金)を厭わないが、関心が低い個客はそもそもコストをかけない、もしくは省こうとする傾向があります。一方、縦軸の「選択の知識」が高い個客は、商品を選択するプロセス(ニーズの理解度、考慮した選択肢の広さなど)が満足度を高めることに対し、知識が低い個客は選択する際の"視点・観点"を加えることが満足度向上のために重要となるからです。


では、それぞれのセグメントに対して具体的にどのようなアプローチを取っていくべきなのでしょうか。

【こだわり派へのアプローチ】
自分のニーズを自身が明確に理解している個客となります。そのニーズにフィットするものを簡便な形で表現・提供するのはもちろん、さらなる付加サービスによる差別化が求められます。例えば、Amazonは数百万冊の書籍を選択肢として提供し、「ここになければ他にもない」という不存在証明を行うことで「ワンストップ」を保証。さらには、効率的な検索(=「マッチング」)や、おすすめの本を紹介する「レコメンデーション」などのサービスが有効です。 

【楽ちん志向へのアプローチ】
消費の機会は多く、商品知識や選択眼は十分にあるが、あまり多くの時間と労力を割きたくないという個客です。この層には、家事関連サービスなど、手間ヒマの代行(アウトソーシング)という観点でのアプローチが有効。例えば、アメリカでオンラインスーパーマーケットを展開するストリームラインが成功した背景には、個客の購買実績だけでなく、満足度調査によって個客ニーズを学習し、次回のショッピングリストの提案精度を上げる(=「レコメンド」の精緻化)取り組みが挙げられます。つまり、成功の鍵は単に個客の手足になるだけでなく、本人が行った場合に近い結果をいかに再現して代行できるか、ということになります。 

【子羊へのアプローチ】
消費への関心は高いが、自分で最適な選択をするだけの力を持っていないこのタイプ。効果的なアプローチとしては、個客の状況を理解した上で、個客が抱えている問題について適切なアドバイスや提案を行い、専門知識や判断の視点・観点を併せて提供することが求められます。このようなアプローチを実践して成功している企業に、生命保険会社、弁護士や医師などの高度専門的なサービス提供をする会社が挙げられます。また、メリルリンチがリタイヤメント・マネジメント・サービスという、退職後の生活を金融・医療・保険を総合したサポートを提供(=「メタプロダクト」)した事例も適切なサービス提供事例として挙げることができます。 

【無関心へのアプローチ】
そもそも消費に興味がなく、「価格の低さ」を重視するタイプが多いセグメントです。アプローチ手法として考えられるのは、生活提案などといった新習慣へ向けての啓蒙的マーケティング活動や、徹底的な価格訴求という方法があります。また、費用対効果が悪い一方で、消費に関心が生まれれば新たな市場のパイとなる可能性がある「眠れる子羊」でもあるため、「ジャストタイミング」の考え方も有効です。実際、家電量販店のエディオンでは、個客の保証書データをもとに、購入後6年から9年後、家電製品の寿命が訪れる時期を見計らってDMを送付する施策を実践して効果を上げています。

今回は、購買への関心度と選択の知識度で4セグメントに分けて解説しました。有形商材・無形商材関係なく、応用できる範囲の幅が広いフレームなので「自社の販売戦略にも活用できそう!」と感じた方も多いのではないでしょうか。あくまで考え方の一例ではありますが、個客を明確に位置づけることで、対応方法が変わってくることをしっかりと理解することが大切です。次回は、「③顧客情報収集と顧客差別的活動のケイパビリティ強化」について説明していきます。(参考書籍:『CRM―顧客はそこにいる(村山徹/三谷宏治+アクセンチュア著)』

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プロフィール

長島 威年

長島 威年

1983年生まれ。7歳までアメリカ在住。2006年、株式会社インテリジェンス入社。求人原稿のライター、ディレクターを経験。2009年、編集部にて企画、取材、執筆を担当。その後、リアルイベントを展開するDODAアカデミー立ち上げ。現在、CRMマーケティング担当。

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