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» 2013年1月 7日 更新

コミュニケーターとしてのキャラクター活用の現在 第6回 インターミッション2・・・日本マーケティング・サイエンス学会で「深夜アニメのヒット要因研究」を発表

2013年もはや7日目、すっかり正月気分も抜けた頃かと思います。
前回更新から一か月以上空いてしまいましたが、今年は当初のペースに戻すようがんばります。

さて、12/8の日本マーケティング・サイエンス学会(JIMS)第92回研究大会で、大阪府立大学荒木長照教授鳥取大学石井晃教授デジタルハリウッド大学吉田就彦教授との共同研究「深夜アニメのヒット要因研究 ~SNS書込みと映像ソフト売上の関係を探る~」を発表しました。


当Blog連載の4回目で少し取り上げた「ニッチ・ヤング系」のキャラクターにつながる領域ですので、今回発表の骨子をご紹介します。

1996年から本格的に始まった「深夜アニメ」は今や一大ジャンルを形成し、ニッチ・ヤング層から狭いながらも熱烈な支持を得ています。

電波料が安価な枠(独立UHF局、BS・CS局、ネット専門局)でも様々なビジネスが成立可能な点が注目され、ソーシャルメディアを駆使した熱烈ファンのN次創作による国内外への拡散が見込める点でも、デジタル時代のヒットコンテンツとして、「深夜アニメ」は多くの可能性を秘めています。

これら「深夜アニメ」を対象に、ヒットを生み出す要因を明確にすることと、ソーシャルメディア活用による効果的な仕掛け方や話題作りのノウハウを確立することをテーマに実証研究に取り組んでいます。

今回発表したのは以下の二点です。

分析1・・・深夜アニメ継続視聴者のプロフィールと視聴状況を確認する
分析2
・・・テレビ番組視聴率、映像ソフト売上枚数(BD・DVD)、ブログ・ツイッター書込み量など各変数の関係を確認する

分析1:日本全国男女12-49才の18.6%が深夜アニメ番組を継続視聴※。

※男女12-49才10,000人にスクリーニング調査を行い、呈示リスト(2011年10月以降の最近1年間に放送された深夜アニメ44番組)のうち、「ほぼ毎回」「ときどき」見ている番組が1つ以上ある人・計1,862人を「深夜アニメ番組継続視聴者」として本調査の対象としています。

(マクロミルに委託して2012/10/12-15にインターネット調査を実施)

 

〔深夜アニメ番組継続視聴者のプロフィールと視聴状況〕

  • 東京や大阪など大都市圏に集中し、男女12-19才と男性20-34才が多くを占める。

  20130107_01.jpg

  • これらの層は、アニメ・キャラクター関連商品・サービス消費額も月額で2万円近くと突出。
  • 女性20-34才は、アニメ・キャラクター関連の情報受発信、およびマンガ・アニメ関連のミュージアムや舞台となった街の訪問(聖地巡礼)が盛んだが、トータルでの消費額はそれ程多くない。
  •  
  • 地上波録画とリアルタイム視聴に、「ニコニコ動画」など動画共有サイトでの視聴が拮抗。男女10代では、動画共有サイトでの視聴が地上波の録画視聴を上回るほどに定着。
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  • 彼らの36%が初回を見て継続視聴を判断。
  •  
  • 判断基準は、内容・ストーリーの面白さ、キャラクターが魅力的なこと。男女10代では、友人知人との会話のきっかけ・ネタになることも重視。

 

分析2:計71の深夜アニメ番組を対象として、以下の2つの仮説を検証。

仮説1「ブログへの書き込みは、録画や動画共有サイトを使って、後でじっくり視聴したコアファンの意見・感想の表明結果(=ストック)であり、映像ソフト売上とリンクしている

⇒ 放送期間中や最終週、終了後のブログ・ツイッター書込み量と、映像ソフト売上の間に正の相関が見られた。特に最終週のブログ書込み量との相関が高くなった。

よって仮説1は支持。

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仮説2「ツイッターへの書き込みは、リアルタイム視聴による共視性を反映した結果(=フロー)で、視聴率とリンクしている

⇒ 関西地区ではブログやツイッターの書込み量と視聴率に相関がみられたが、関東地区では独立UHF局など視聴率調査対象外のヒットアニメが多いこともあってか、相関が確認できなかった。

よって仮説2は一部のみ支持

 

また、ブログの方がツイッターより書込み量と番組好意度や関連商品所有意向との相関が高くなっていることが確認された。

⇒ ブログへの書き込みは番組好意や商品所有意向と直結するが、ツイッターは必ずしもそうではなく、周囲に合わせたイベント的同調行動としての意味合いもある。

(例:金曜ロードショー「天空の城ラピュタ」での「バルス!」書込み)

 

今後はツイッター書込みデータ収集のルール化を進めつつ、番組終了直前のブログやツイッター書込みの盛り上がりと終了後の減衰の度合いが、映像ソフト売上枚数と関連しているのでは、との新たな仮説を検証していく所存です。

次回からは本論に戻って、企業や団体の「オリジナルキャラクター」について整理してみます。

それでは今年もよろしくお願いします。

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プロフィール

野澤智行(のざわともゆき)

野澤智行(のざわともゆき)

1964年栃木県生まれ、千葉大学文学部行動科学科卒業。ビデオリサーチを経て、アサツー ディ・ケイで、コミュニケーション領域でのキャラクター開発・活用・効果測定・分析までの業務を担当。日本広告学会会員、日本マーケティング・サイエンス学会会員。

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