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» 2012年11月15日 更新

かつてない接戦といわれたアメリカ大統領選挙。ふた開けてみると
オバマ大統領の圧勝に終わりました。今回の大統領選、データサイ
エンス的なセクスィー眼鏡を通して見回してみると、たくさんのデータ
サイエンティストが、セクスィーに活躍していたことが見えてきます。

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大統領選でニューヨークタイムズのネイト・シルバーの数理モデル予測が全50州で的中 (TechCrunch)
 mini_oshima.gifのサムネイル画像  テレビ番組は政治評論家を集め、接戦であると煽り立てていましたが、
  
実は「数理的 予測モデル」つまりデータ分析により、数か月前には
  オバマの勝利がほぼ確実であると予測されていたとは、ビックリ!

 

Inside the Secret World of the Data Crunchers Who Helped Obama Win (Time)
  オバマ陣営もデータ分析を駆使していました。
  オバマ選挙対策本部の奥にある秘密の一室にデータマイニングのプロが
  集められ、世論調査や消費動向、ソーシャルメディア上の情報まで統合され
  「選挙のシミュレーションを6万6000回」も実施していたのです。
  彼らの場合、電話キャンペーンも一味違います。
  支持に回ってくれる確率の75%が年齢・性別・人種・住所エリア・投票記録で
  決まることを突き止め、確率が高い人から重点的に電話をしていったのです。
  mini_oshima.gifのサムネイル画像 選挙カーが休日の街を走り回る日本の選挙とは一味もふた味も違いますね。
  あ。実は選挙カーが走り回るルートも分析されて一番効果的なコースを通っている
  とかだったらスゴイですけど。
 
ちなみに選挙戦後にオバマ大統領がFacebookに「Four more years.」というメッセージとともに掲載した、チェルシー夫人と抱擁する写真は、Facebook史上最高の「いいね!」数を更新しています(11/15 9:30am現在で、4,420,774いいね!)。ソーシャルメディアの勢いと、それをどう活用するか。今回は分析のすごさを感じる大統領選になりました。
 
さて、今回の大統領選で争点の1つとなったのが、「失業率」。景気対策や構造的な問題の解決に向けて国による早期かつ継続的な対策が求められる問題ですから、国民の関心も高く、最新の失業率の集計結果が注目を集めました。この集計結果はある時点での結果、いわば「過去」をレポートしたに過ぎませんが、これ、もし予測することができたらすごくないですか?
今回のブログでは、ソーシャルメディアの徹底的な活用とデータ主導型キャンペーンで大統領選挙を勝ち抜いたオバマさんに敬意を表して、ソーシャルメディア分析から「失業率」の急増を予測した興味深い事例をご紹介します。


ソーシャルメディア分析4段活用:ばっさり、まるっ、ばしっ、びたーん
ソーシャルメディア分析で失業率の調査を行ったのは、「国連グローバルパルス」という国連事務総長の元で行われている活動グループで、世界の発展のため、国連の内外から専門家が結集し最先端のデジタルデータとリアルタイム分析を行うための開発拠点となっています。彼らはより的確な情報にいち早くアクセスするための手法を開発する活動を通じて、国際社会における持続的な成長、世界で最も弱い立場にある人々の保護、世界を震撼させる危機からの回復力強化などの実現を目指しています。
 

国連グローバルパルスは「失業率」の増加を分析するためのデータとして、ソーシャルメディア上での発言に注目しました。Twitter やFacebook、ブログやクチコミサイトなど、ソーシャルメディア上では人々の生でリアルタイムな感情、つまり「センチメント」が、日々膨大な量のテキストデータという形で生み出されているからです。とはいえそれらを一つ一つ読んでいくのは現実的ではありません。もちろん、「正」の字で鉛筆ナメナメ集計しているわけはありません。

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彼らは、まず発言に含まれる単語を抽出し、事前に作ったルールに従って、「住宅」、「交通手段」、「家計」といったテーマごとに自動的に分類する仕組みを作りました。さらにそれらの発言が楽観的であるのか悲観的であるのかの「センチメント(感情)」を数値化し判定しました。最後にこの「センチメント」と会話量などの定量データを公式な雇用統計データなどと掛け合わせ、継続的に分析とモニタリングを行うことで、どんな話題が失業率上昇の前兆となるかを分析したのです。
 mini_oshima.gifのサムネイル画像 な~るほど!とんでもない量のソーシャルメディア・データから、キラリと光る
  「宝」を見つけるためには、直接関係の無い大量の「ゴミ」の中から分析に必要な
  クチコミだけをまるっと取り出し、分析ができる形にばしっと整えた上で、調査デー
  タなどとびたーんと掛け合わて分析・活用することが重要なんですね。

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分析の結果、彼らは「食料品の買い控え」や「公共交通機関の利用増加」、「グレードの低い自動車への買替」などに関する会話の増加が、失業率急増の前兆であることを突き止めました。国別の分析も行っており、アメリカでは「とげとげしい」あるいは「落ち込んだ」雰囲気が会話の中で増えたのは、失業率急増の4か月前でした。アイルランドでは、失業について「不安を感じる」という会話が増えてから5か月後に、失業率が急上昇しました。
さらに失業率が急増した後は、「旅行のキャンセル」、「医療費の節約」、「差し押さえ」「立ち退き」といった話題がソーシャルメディア上で多く見られるようになったことも分かりました。
 mini_oshima.gifのサムネイル画像 継続的な分析の結果、「失業」の前兆をリアルタイムにキャッチして予測し、
  さらに過去の傾向から、失業が個人の生活に実際にどんな影響を与えるのかを
  把握することが可能になるんですね。
  日本とは医療保険制度が違うアメリカだから「医療費の節約」などがキーワード
  に取り上げられやすいんでしょうね。日本で分析すれば違ったものになりそう。
 
実は国連の潘基文事務総長は、2011年11月の国連総会において次のように述べています。
 
民間企業はこのような新しいタイプのデータを分析することで、
リアルタイムに顧客を理解しようとしています。
これらのデータには、成長の手がかりとなるシグナルが数多く
含まれているのです。我々はこうした手法を駆使して、起きて
いる出来事を起きている最中に知る必要があります
                ―――――――国連 潘基文事務総長
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 mini_oshima.gifのサムネイル画像 おぉ!まさか、国連の事務総長からプレッシャーを受けるとは!
  それでは僭越ながら、一民間企業のマーケターとして、国連の取り組みを
  企業でのマーケティング活動に置き換えてイメージしてみましょう。

ソーシャルメディアの分析は既に多くの企業が取り組んでいて、ブランドイメージ調査や話題性の調査などに「傾聴」に活用され始めています。でも、企業には、顧客属性や売上データ、キャンペーン反応データなど、ソーシャルメディアと掛け合わせて分析することで、より大きな付加価値を生み出す可能性があるデータが山のようにあります。例えばキャンペーン反応データと売上データ、ソーシャルメディアデータを掛け合わせて分析すれば、テレビコマーシャルのネット上での話題性と売上実績との相関関係がみえてくるかもしれません。自社の顧客属性とソーシャルメディア上でのIDとの紐付を行うことができれば、顧客の今この瞬間の動きや感情までを分析に活用できるようになるかもしれません。もしかしたら新製品の特長をスコアリングして、それに対するソーシャルメディア上での反応を分析することで売上予測まで出来てしまうかもしれません。
 
 mini_oshima.gifのサムネイル画像  う~。あまりにセクスィーな可能性でシビレます。
  こんなシビレる分析を実現するには、ソーシャルメディア分析といっても、ソーシャル
  メディア上のクチコミや書き込みなどの非構造化データの分析にだけ夢中になって
  いてはいけないんですね!
  企業内に持っている顧客データや売上データなど構造化データを掛け合わせ、タイ
  ムリーに分析できることで、将来を予測しちゃうなんていう+αの分析ができるように
  なるんですね。
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  奥が深いです。センチメント、つまり顧客の感情までを理解し活用する旅は、
  今、始まったばかりなのであーる。
     
  ソーシャルメディアのデータを活用した分析の可能性に目覚めた私。
  セクスィー・ポイントを 5ポイントと、センチメントの書をGet しました★
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ちなみにこちらの国連グローバルパルスの取り組みは、SASも共同で参加しています。
ご興味のある方は、SAS のニュースページをご覧ください。

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プロフィール

大島 玲子

大島 玲子

SAS Institute Japan株式会社 でBtoBマーケティングのキャンペーン企画/管理を担当。愛犬と一緒に、サッカー観戦をするのがお気に入りの時間。

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