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» 2013年1月10日 更新

皆様、この年末年始、いかがお過ごしでしたか?
クリスマスケーキにお節料理、ワインに日本酒。
忘年会や新年会で美味しい食事とお酒を満喫しすぎて
体重計に乗るのが怖い!なーんて方も多いのでは。
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でもセクスィー眼鏡で見てみると、こんな場面にも
セクスィー・データサイエンスが隠されていました。
そう。今日は新年らしく華やかに、美味しいワインを予測する分析をご紹介します。


さて、美味しいワインを選びたい!という時、皆さんはどうやって選びますか?
自分の好きな品種や産地、そして出来がよかったヴィンテージ(生産年)なんかを
サラッと抑えているワイン通の方は置いておいて、大抵は商品紹介の「重め」「軽め」
「辛口」「甘口」などの説明と価格をチョロっと見たり、店員さんに好みと予算を伝えて、
あとはジャケットで決めるというパターンが多いのではないでしょうか。
 mini_oshima.gifはい!はい!私、まさにこの決め方です。

それじゃ、このお値段や評価って一体どうやって決まっているんでしょう。

従来のワイン業界では「試飲家」「批評家」と呼ばれるワイン名人達が
成熟前のブドウ発酵物を試飲し、経験と勘から数年後の味を予想していました。
こうして実際にワインが販売される何年も前に専門家達の舌だけで予測された
アナログな評価を元にワインの先物買いや投資が活発に取引されていたのです。
カリスマワイン評論家ロバート・パーカーが高得点をつけると一気に値段が
跳ね上がるなんてことも珍しくありません。
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でも専門家達が試飲できるのはちょっと臭い発酵中の混合物。
専門家の評価は当たることもありましたが、大外れすることもありました。

そんな伝統的なワインの世界に「分析」で大波乱を巻き起こしたのが、
プリンストン大学の経済学者オーリー・アッシェンフェルター氏です。
彼はフランス ボルドー地方の数十年におよび気象データを使い、
生産年ごとの月別降雨量や平均気温などの特徴がワイン競売価格の高低と
どんな相関関係にあるのかを分析したのです。
その結果、収穫期に雨が少なく夏の平均気温が高かった年、つまり果汁が濃縮され
ブドウの酸味が減る年のボルドーワインは競売価格が高く最高のワインができる、
ということが分かったのです。

アッシェンフェルター氏はこの理論を方程式にしました。
 ワインの質=
 12.145+0.00117×冬の降雨+ 0.0614×育成期平均気温‐ 0.00386×収穫期降雨


生産者のスキルや土壌の状態なども加えれば、ワイナリーごとのもっと厳密な
品質予測ができるというから驚きです。

伝統的なワイン専門家達はアッシェンフェルター氏の分析主導の予測を真っ向から
否定し、「激怒から爆笑の間くらい」の反応とペテン師扱いをしました。
 mini_oshima.gif  うわぁ。大ブーイングじゃないですか。アッシェンフェルターさん、大丈夫?

アッシェンフェルター氏の理論が大きく注目されたのは1990年初頭、
「ニューヨークタイムズ」の一面記事で取り上げられてからです。
カリスマ専門家が1986年物のボルドーワインを高く評価したことを批判し
ブドウの育成期間の平均気温が低く、収穫期の降雨が平均以上だった事から
「せいぜい凡庸の出来のはずだ」と述べました。
さらに1989年物、つまり樽に入ってわずか3ヶ月、専門家の試飲前のワインについて
「これは今世紀最高のワインになる」「驚異的な質になる」と述べたのです。
アッシェンフェルター氏の2つの予測は、その後、どちらも正しかったことが証明されました。
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 mini_oshima.gif うぅ~。アッシェンフェルターさん、カッコイイじゃありませんかっ!
   それにしても、1990年って、アッシェンフェルター氏の活躍はつい最近なんですね。



今では当然と思われている気候とワインの質の関係が明らかになったのは
わずか20年ちょっと前の出来事なんです。
それまでのワインの評価と価格は専門家の経験と勘だけが頼りだったのです。

この取り組みを紹介した名著「Super Crunchers(その数学が戦略を決める)」で
著者のイアン・エアーズは次のように述べています。

 われわれはいま、馬と蒸気機関の競争のような歴史的な瞬間にいる。
 直観や経験に基づく専門技能がデータ分析に次々に負けているのだ。
しかし彼は次のようにも述べています。

 結局のところ本書は、直感や経験技能を意思決定の規範として
 捨て去ろうと主張するものではない。
 直感や経験が発展してデータベースによる意思決定と相互に
 作用することを示すのだ。

そう、分析結果や予測だけを100%判断材料として意思決定するのではなく、
直感や経験による判断の裏づけや改善するための材料として
分析結果を活用し、より優れた意思決定を行っていく

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この「アナリティクス」こそが、セクスィー・データサイエンティストが目指す地点なのです。

2013年が始まりました。
「アナリティクス」が戦略を決める、この歴史的変化はマーケティングでも広がっています。
経験と勘だけの場当たりマーケティングの限界は、そこまで来ています。
私達は今、そんな瞬間にいるのです。

mini_oshima.gif うぅ。身震いしますね!
  今年も一年間、いろんな分析をご紹介しながら、
  イケてるマーケターになる秘訣を一緒に勉強できればうれしいです。

分析の大切さを再認識した私。
セクスィー・ポイントを 5ポイントと、ボルドーワイン2013本
Get しました★
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 <参考文献>
 『その数学が戦略を決める』  イアン・エアーズ[著] /山形 浩生[翻訳]  文藝春秋


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プロフィール

大島 玲子

大島 玲子

SAS Institute Japan株式会社 でBtoBマーケティングのキャンペーン企画/管理を担当。愛犬と一緒に、サッカー観戦をするのがお気に入りの時間。

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