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» 2013年2月 7日 更新

目指せ! セクスィー・データサイエンス・マーケター 隠された顧客ニーズをあぶり出した旅行会社の秘策



2月に入り、学生の皆さんは春休みが待ち遠しい頃ですね。卒業旅行シーズンも目前です。
それにしても、2月から3月のこの時期に2ヶ月近い休暇を取れるって、今思えば、学生時代って
本当に贅沢な時間の流れでしたよね。

ということで、今週は、気分だけでも旅行を味わうべく、オンライン旅行会社大手のExpedia が
4週間で数十億円も売上を上げた分析 について学んでみたいと思います。



セグメンテーションで見えてくる顧客の姿


同社には、一日数百万人に上るWeb訪問者の過去10年分のWebトラフィック情報と顧客データ、
年間180億ドル(約1.8兆円)相当にも上る旅行関連の予約データが集められており、その合計は
約200TB(テラバイト)に及びます。
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 mini_oshima.gif  うひゃ。200TB!すごい量ですね。
   ちなみに200TBって、4.7GB DVD に換算すると 約43,500枚分に相当する
   そうですが、もう、これって想像の域を超えています。
   これだけ大量のデータを分析するとなると、
表計算ソフトなどでは大変ですよね。
 

Expediaでは分析に基づいて顧客をいくつかのグループに分類し、ターゲットを絞った広告
キャンペーンや販促イベントを開始しました。 「セグメンテーション」と呼ばれる手法です。

似た傾向のある顧客をいくつかのグループ(セグメント)に分けることで、そのセグメントの
特性がより理解しやすくなり顧客理解を深めることができます。代表的な属性としては以下
のようなものがあり、Expediaでもデータマイニングツールを活用して分析を行いました。


  ● バリューセグメント
  
   : 顧客の中長期的な生涯価値やロイヤルティをベースに顧客を分類したもの

  ● ビヘイビヤセグメント
    1. デモグラフィック
     :性別、年齢、居住地域、所得、職業、家族構成など

    2. 行動/状況
     :購入履歴、顧客利益、ロイヤリティー、利用頻度、キャンペーン反応履歴など

     3. 心理的傾向
     :ライフスタイル、趣味嗜好、興味関心、価値観、購買意向・動機など
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収益性や顧客価値などによる バリューセグメント と、
性別や購入履歴、ライフスタイルなどの ビヘイビヤセグメントの中から有効なものを複数
組み合わせていく事でよりセグメントを細分化することができ、セグメント特性に応じたマー
ケティング・キャンペーンを設計したり、対象とすべき顧客をピンポイントで抽出する事がで
きるようになったのです。
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さらに分析を進めることで、顧客セグメントごとに、売上に最も大きな影響を与える要因や
顧客の生涯価値を上げるために有効な施策を判断することができるようになったのです。
 mini_oshima.gif  なるほど!
   例えTB級の大量データであっても、同じ特徴や似た傾向のある顧客を
   丁寧にセグメント化し、そのグループについての理解を深めることで、
   顧客一人一人に対応しているかのようなキメ細かい提案が可能になるんだ。

   でも、そうなってくると、この「セグメント」つまり顧客グループをどう作るかが
   とっても重要なってきますよね。




新たなセグメントの発見が導く顧客満足度
そう。Expedia が本当にセクスィーのはここからです。
彼らは事前に定義したグルーピングに縛られることなく、主に顧客の購買行動に注目した
分類などによってセグメント分けを行い分析を進めて行った結果、驚きの「新たな発見」を
手に入れたのです。

例えば、
「出張のための旅行手配にExpediaを活用する顧客グループ」です。

Expediaを使って航空券やホテルを予約する際、顧客は観光なのか出張なのかは登録しま
せん。Expedia は顧客の旅行目的を知ることはできないのです。

ところが旅行する頻度や旅行に費やす日数、時期などのデータを分析することで顧客のある
グループが 「出張者」の可能性が高いことが分かったのです。
さらに分析を進めると、この新しい「出張者」グループは、通常の「観光旅行者」と比べると、
限られた時間内にあらゆる種類の選択肢を閲覧することを非常に重視していることが分かっ
たのです。
そこでExpediaは、この新たに発見した「出張者」セグメント向けに特化した、短時間で全候
補を簡単に確認できる画面を新設し、この顧客層に特にアピールすると思われるマーケティ
ング活動を展開して大きな成功を収めました。
   20130207.jpg

 mini_oshima.gif   顧客行動を分析してセグメンテーションする事で、それまで分からなかった
   顧客の「旅行目的」を明らかにし、
さらにそれに基づいた新しいセグメントを発見し、
   さらにさらに、そのセグメントに属する人のニーズや好みにあった画面まで作った
   ことで顧客満足度をググッと上げ、売上まであげちゃったんだ!
   
   
確かに出張目的で旅行する人は、忙しい仕事の合間にバタバタと予約する人が多い
   だろうから、バシッと一画面で情報が見えた方が助かっちゃいますよね。
    うーん。セクスィー!
 

分析結果をタイムリーに活かし切るためのアナリティクス


さらに、Expediaでは Webサイト上での顧客行動を分析しそのパターンを把握することで、
「パッケージ旅行を購入する可能性が高い顧客グループ」 も発見できるようになりました。
これにより、その顧客がExpedia のサイトにいる間にタイムリーに最適なオファーを出す
ことができるようになったのです。
なんとこの行動分析により、パッケージ旅行の販売が7%伸びたというから驚きです。※
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 mini_oshima.gif  凄腕コンシェルジェか、カリスマ・ソムリエみたい!
  自分のニーズや好みにあったツアーが簡単に見つかるって、顧客の立場からも
  とっても重要だし、サイトの満足度もググッとあがりますよね。

 

こうした最適なオファーは、「50代ビジネスマン」「30代主婦」「20代女子大生」といった
お決まりの区切りだけでは、逆立ちしても見つけることはできません。
顧客の性別や年齢などのデモグラフィック情報や価値観、ライフスタイルはもちろん、過去の
購買履歴やWebサイト上の行動までを分析し、即座に画面上で提案する。
ここまでやって初めて、顧客満足度をあげることができるんですね。

セグメントごとの特性を理解することで、どういった攻め方をすればいいのかという戦略立案の
参考にすることもできますし、ある顧客のセグメント間の移動を把握できれば、顧客の変化を
知ることもできます。
 mini_oshima.gif  顧客セグメンテーションって、顧客を理解し、最適な提案を行う上ではとっても
   重要な手法なんですね。さらにそこに「顧客の行動」という視点を加えることで、顧客
   の動きを捉えた顧客分析ができるようになるんだ!



 mini_oshima.gif「セグメンテーション」の重要性と可能性に気付いた私。
   セクスィー・ポイントを 5ポイントと、パリ行きの飛行機のチケットをGet しました★

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【参考文献】
 ・ 『ビッグデータの衝撃』  (城田 真琴/ 東洋経済新報社) ※  
 ・「顧客行動を分析し、数千万ドルの売上向上を実現」 (SAS Institute 顧客事例)

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プロフィール

大島 玲子

大島 玲子

SAS Institute Japan株式会社 でBtoBマーケティングのキャンペーン企画/管理を担当。愛犬と一緒に、サッカー観戦をするのがお気に入りの時間。

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