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» 2013年3月21日 更新

目指せ! セクスィー・データサイエンス・マーケター データを掌握した小売業マーケティングの躍進(前編)


皆さんの会社のマーケティング部門の「IT予算」って、どれくらいでしょうか?
実は驚くべき予測が米ガートナー社によって出されているのです。

昨年2012年10月3~5日に開催された「Gartner Symposium/ITxpo2012」で、米ガートナー
シニア・バイス・プレジデント  ピーター・ソンダーガード氏 は次のように述べています。
(参照:ITmedia エンタープライズ Gartner Symposium Report

 2017年にはマーケティング部門が行使できるIT予算は
 情報システム部門を上回るようになる。

 マーケティング部門はビッグデータ分析にHadoopが必要などと気にしない
 だろうし、気にもしたくない。売上あるいは顧客を増やすという目的があり、
 そのために必要な道具としてITを使うのだ。

            米ガートナー シニア・バイス・プレジデント
            ピーター・ソンダーガード氏


さらに同社リサーチバイスプレジデント デイヴィッド・カーリー氏は、
「データ分析はビジネスプロセスに組み込まれ2014年には業務部門の役割になっていく」
と述べています。つまり彼らは、これからの ITの主役は、データ分析などITを活用する側の
立場である業務部門、つまり私達マーケティング部門へと移行していくと予測しているのです。
  mini_oshima.gif 全社のIT予算よりも、マーケティング部門のIT予算が上回るって、スゴイ!
   IT部門任せにせず、マーケティング部門もITに向き合う必要があるってことですよね。
   立ち上がれマーケティング部門。今こそ、マーケティング部門の手にデータを!

今回は、こうした予測される〝将来の姿″ を先取りし、マーケティング部門が自らデータを
収集・分析しキャンペーンの実行に活用することで、休眠顧客の活性化キャンペーン
の反応率を
3倍 に、30日かかっていた効果検証を4日に短縮させることに
成功した小売企業の取り組みをご紹介したいと思います。

ご紹介するのはChico's FAS社。プライベートブランドの女性向けの衣料、ドレス、アクセサリー
まで幅広く扱う米国の専門小売企業です。
Chico'sブランドのブティックを始め、White House|Black Market、Soma Intimates など異
なる客層を持つブランド店舗を全米各地で運営し、さらにオンライン販売やカタログ販売などの
直販サービスも提供しています。

Chico's はブランドごとに異なる特徴を持つ幅広い女性顧客向けにきめ細やかで高度な顧客
サービスを提供することで知られており、全てのブランドやチャネルで顧客の好みやニーズを
的確に把握するだけでなく、顧客に「自分は特別対応されている」という満足感を与える対応を
実現しています。
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しかし以前はこうした対応を行うための環境が整っておらず、マーケティング部門は苦戦を強い
られていました。彼らの成功を支えた要因として、Chico's FAS社のCRMエンタープライズ・
インフォメーション・マネジメント部門ディレクター バーブ・ブエッティン氏は次の要素をあげて
います。

 1. ロイヤリティ・プログラム、Webログを活用した幅広い顧客データの収集と一元管理
 2. 全チャネルを横断した顧客分析
 3. 分析・予測結果に基づいた多角的なデータ理解
 4. 顧客理解と連携のとれた適切なコミュニケーションとキャンペーン管理
 5. IT部門とのパートナーシップの構築

  mini_oshima.gif うわぁ。一言で「顧客理解」といってもそこに至るまでには
   たくさんの要素があるですね。
   分析をするためにはデータも準備しなきゃいけないし、
   その結果を正しく理解しなきゃいけない。
   さらにそれを業務へと落とし込む仕組みも必要。
   そこまで実現して初めて、「アナリティクス」と呼べるんですね。

 

まずは全ての基本。
データをどうやって集めているのかからバーブさんに聞いてみましょう。

1. 幅広い顧客データの収集と一元管理

重要な役割を果たすのが、ロイヤリティ・プログラム、つまり会員カードの活用です。
ブランドごとに設定された指定金額以上を購入し会員カードを提示すると、購入額の5%
が割引されるお得なサービスを受けられるとあって、顧客は積極的に登録をしてくれます。
会員登録時に収集した個人情報を元に名寄せも簡単に行うことができるのです。
統合された全チャネルから顧客データが紐づく形で販売データが集められるようになり、
データという宝の山があっという間に蓄積されていくのです。
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  mini_oshima.gif なるほど。ロイヤリティ・プログラムって顧客の満足度をあげたり、
   リピート購入を促進するための販売施策なのかと思っていましたが
   顧客の基本情報を収集し、日々発生する販売履歴と紐付ける、という
   企業側にとっても大きなメリットがある重要なプログラムだったんだ!


ロイヤリティ・プログラムで収集された顧客の基本情報、住所、購入品目、購入日時に
加え、オンライン上での買い物についても、クリック行動やマウスの動きまでもが保存
されています。
ある顧客がChico'sのWebサイトであるスカートの詳細情報を確認したがオンラインでは
購入せず、3日後に実店舗を訪れて購入した、といった一連の行動も把握できるのです。
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  mini_oshima.gif スゴイ!
   Webサイトで新作を確認した後に店頭で質感を確認したり試着したりして
   購入ってこと、よくありますものね。レジが混んでいる時はWebで購入って
   流れになるかもしれないし。
   それにしてもマウスの動きまでわかっちゃうなんてオドロキ。


しかし、彼らも最初からこれらのデータを活用できていたわけではありません。
手つかずのデータを前にマーケティング部門ではほとんど何もできない状態が続いていた
のです。複数のブランド別に管理されている店舗販売データやWebサイトでの購入情報、
さらにロイヤリティ・プログラムで収集した顧客データなど複数のデータソースから抽出し
分析できる状態に加工する作業はマーケティング部門の手に負える状況ではありません
でした。かといって分析の度にシステム部門にデータの抽出や加工を依頼していたのでは
非常に非効率で実務レベルに堪えません。レコードや項目などのデータ要素を変更・追加
することもできず、すべてがベンダー任せという八方塞がりの状態だったのです。

彼らはこうした状態を解決するために、データを自分たちの手に握り、自ら抽出・加工できる
環境を作ることに着手したのです。データを統合し、一元管理できる仕組みです。この結果、
Chico's では全てのブランドの顧客情報やマルチチャネルでの顧客行動を一元的に管理し、
マーケティング部門がセグメンテーションや販売予測を行えるようになったのです。

バーブさんは次のように述べています。
「私達は個々のお客様にとって有意義なメッセージを、お客様の心を動かすという確信を
持ったうえでお伝えしたいのです。それを実現する唯一の方法は収集したデータを統合し、
徹底して分析することです。」

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そう。すべての基本はデータを統合し、それを分析することから始まるのです。
  mini_oshima.gif う~ん、セクスィー!
   バーブさんは経験や勘でキャンペーンを計画・実行するのではなく、
   分析に基づいた、確かな確信をもってマーケティング施策を実施してるんだ!
   マーケティングの革新です!
  

2. 全チャネルを横断した顧客分析
データ環境を再構築し、顧客に対する知見・洞察を得るための分析を行うための環境が
整ったChico's社。バーブさんの言葉通り、つぎはいよいよ、顧客分析に取り組みました。

分析の結果、新作が出る度に全ての商品を紹介した総合カタログを送ることで様々な
ブランドの商品を購入してくれる顧客層がいる一方、値引きセールなどに敏感で値引き品
だけを紹介したダイレクトメールを送付すると高い反応が出る顧客グループも特定する事が
できました。また、ダイレクトメールなどよりもEmailにより反応する顧客セグメントも分かっ
てきました。顧客のニーズや好みを理解することで、よりキャンペーンの効果を上げること
に成功したのです。

さらに分析を進めていくと、White House|Black Market ブランドの顧客のなかに、別ブ
ランド Soma Intimatesの顧客属性とよく似た顧客グループを発見しました。今までSoma
Intimatesでの購入履歴が無かったこのグループにキャンペーンを実施することで、新たな
相乗効果と顧客ニーズの開拓を実現したのです。
20130321_5.jpg
  mini_oshima.gif バーブさんが言っていた「革新」の根拠になる顧客についての知見が
   分析でどんどん明らかになって行ってる!
   
   しかもブランド間でお客を取り合うのではなく、ブランド間の顧客情報を
   統合し分析したことで、新たな顧客のニーズを見つけることができたんだ。

   お客さんにとっても、いままで知らなかった好みにあったブランドを紹介して
   もらえるのって、驚きや喜びがあってテンションも上がりますよね。


全チャネルを横断した顧客分析により、Chico'sは「お買い物を楽しむ」という女性顧客が
最も重視している顧客体験を演出することに成功したのです。


  mini_oshima.gif うーん。でも、バーブさんがあげた5つの要素のうち、まだ2つしか
   実現できていないですね。
   はぁ。アナリティクスへの道のりは長いですね。
   ・・・・・ワタクシ、ちょっと息切れしてきました。


ということで、次回は
 3. 分析・予測結果に基づいた多角的なデータ理解
 4. 顧客理解と連携のとれた適切なコミュニケーションとキャンペーン管理
 5. IT部門とのパートナーシップの構築
について、引き続き、バーブさんに教えていただこうと思います。


  mini_oshima.gif セクスィー・ポイントを 5ポイントと、春物のジャケットを
   お預けされた私。
   次回はChico's の顧客中心型マーケティングの神髄を掴みます!
      20130321_7.jpg


<参考資料>
・SASユーザー事例 Chico's

・SASプレミアムラウンジ
 日本にも取り組みを始められている企業が!
 システム知識ゼロの課長代理が行政機関でデータマネージメントに挑んでみた!
 

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プロフィール

大島 玲子

大島 玲子

SAS Institute Japan株式会社 でBtoBマーケティングのキャンペーン企画/管理を担当。愛犬と一緒に、サッカー観戦をするのがお気に入りの時間。

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