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» 2013年1月 9日 更新

マーケティングコンサルタント青葉哲郎の「成功のカギはマーケティング・イノベーションにあり。」 13歳の少年が作ったナチュラルチョコレートメーカー「UNREAL」が、M&M'S、SNICKERS、HERSHEY'Sのチョコレート市場に挑む。

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http://getunreal.com/unreal-candy/unreal-54/

■米国人は「キャンディー」が大好き

米国の年末年始は、日本の正月のように、やはり多くの人々が食べ過ぎてしまう。日本であれば、餅やおせち料理を食べるわけだが、米国では、大好きな「キャンディー」が街中に溢れている(米国ではチョコレートやキャラメル等もキャンディーと言い、飴玉に限らない)。2012年のハロウィーン時には、$2.3 billion(23億ドル)、重さにして600 million(6億ポンド、約2.7億キログラム)のキャンディーが4歳から14歳までの子どもを対象に売られたという。 米国で大きな産業となっているキャンディーだが、一方で米国国民の肥満問題は深刻さを増している。国民の2/3が肥満または太りすぎ、子どもの1/3近くが肥満といわれている。

米国では、キャンディーを沢山食べたい子どもとそれを阻止しようとする親の戦いは永遠のテーマともいえるのだが、今回は、この紛争を無くすべく、少しでも体に悪くないキャンディーを作った少年の話を紹介したい。

■体に悪くないキャンディーを作る、少年ニッキーの挑戦

数年前、ニッキー・ブロナーという当時13歳の男の子が父親と大喧嘩をした。原因は彼がハロウィーンでもらってきたキャンディー。彼が眠っている間に父親がそのほとんどを没収してしまったのだ。子どもの体のことを考える親にとってみれば、そんなに多く食べて欲しくない。米国の子どもたちがハロウィーンで集めるキャンディーの数と言ったら半端なく、このキャンディーをめぐっての喧嘩はよくあることらしい。

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少年ニッキー・ブロナー(http://getunreal.com/our-story/

しかし、その後このニッキー少年が取った行動はなかなかできるものではない。まず、父親にキャンディーはそんなに悪いものではないと証明しようとインターネットでリサーチを始めた。その結果彼が学んだことは、父親が正しいということだった。ニッキーはキャンディーが体に良いとは思っていなかったが、そこまで悪いとは思っていなかったという。しかし実際は、多くのキャンディーには水素化油、コーンシロップ、人工色素、香料、保存料が使用されていた。そして彼にとって一番ショックだったのは、これらは、キャンディーをおいしくするために使われているのではなく、安く製造するために使われているということだった。そしてニッキーはこのような体に悪いものを取り除けばキャンディーはもっとおいしくなるのではないかと思ったという。

■体に悪くないキャンディー「UNREAL」の誕生

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新開発された「UNREAL」シリーズのラインナップ(http://getunreal.com/unreal-candy/

そこから「体に悪いものを使わなくてもキャンディーを作ることはできる」事を証明する彼の挑戦は始まった。家族の力を借りて、多くの教授やシェフに電話をかけ協力を呼びかけた結果、イギリスの食品科学の著名な教授と話しをすることができ、その教授の紹介でスペインの著名なシェフの協力を得ることができたという。そして2年をかけて、何千ものレシピを経て、水素化油、コーンシロップ、人工色素、香料、保存料、更に遺伝子組み換え生物を全く使用せずに作られ、それでいておいしいキャンディー「UNREAL」が出来上がった。驚くのはその価格だ。これだけ原料に力を入れているので、高価になりがちだが、UNREALの希望小売価格は$0.89~$1.29となっている。ニッキーとその家族は高級スーパーに売られているような高価なキャンディーではなく、子どもたちが自分のお小遣いで代えるようなキャンディーを作りたかったのだ。UNREALには5つのフレーバーがあり、どれも「M&M's」、「Milky Way」 「Reese's Peanut Butter」等の味をコピーしようとしている。

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http://www.m-ms.com/us/about/products/milkchocolatemms/index.jsp
http://www.milkywaybar.com/nutrition
http://www.hersheys.com/reeses/products.aspx#/REESE%27S-Peanut-Butter-Cups

これらの代わりにUNREALを買って欲しいということだ。

■著名人の支持を受け、流通チャネルの取り組みが大成功

ニッキーの父親であるマイケル・ブロナー氏は、各業界にコネがあり、ケロッグ社の健康食品ブランド「Kashi」の前責任者や前Google、P&G勤務者等をリクルートした。それに加え、トップモデルやハリウッドスターの支持も獲得し、これらのスターはYoutubeにアップされたビデオに出演している。

昨年12月にUNREALに投資を始めた会社Raptor Consumer Partnerは、その理由を「長いことキャンディー業界には重要なイノベーションがなかったからだ」と話している。UNREALは、流通の面でも成功している。健康食品は普通オーガニックストアとして人気の高いWhole Foods Marketで販売し始めるという近年のトレンドを打ち破り、ドラッグストアCVS、WalgreensやKrogerを初めとする小売店がUNREALの製品を販売している。

人口着色料の鮮やかなキャンディーよりも、キャベツやビート等の野菜で着色されたキャンディーは、子どもよりも違いのわかる大人にこそ喜ばれるだろう。次回米国を訪れる際は是非試してみたいと思う。日本では小売業主導によるプライベートブランド製品が大流行しているが、メーカーには、見せかけの味やパッケージ変更ではなく、全く新しいコンセプトによる、新しい商品作りを期待したい。

ITmediaオルタナティブブログ「青葉哲郎のスマイル航海日誌」

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プロフィール

マーケティングコンサルティング会社 サイコス 青葉哲郎

マーケティングコンサルティング会社 サイコス 青葉哲郎

1971年生まれ。イオン、マイクロソフト、インテリジェンス、リクルートエージェント、リクルートを経て、2009年11月マーケティングコンサルティングのサイコス株式会社を設立。マーケティングに関する総合コンサルティングを提供し、広告販売などは行わず、マーケティング部門や経営効率化支援に特化して広告主側に立った助言を行っている。

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