ニュース
» 2013年5月16日 更新

マーケティングコンサルタント青葉哲郎の「成功のカギはマーケティング・イノベーションにあり。」 値引き競争からの脱却。今カスタマーが求めているバリューとは?~米国P&G, Ford, Wendy'sのブランドバリューイノベーション

20130516_01.jpg
先月の日銀の為替介入を受け、円安は順調に進み、今月9日にはUSドルが4年ぶりに100円を突破した。今後狙い通りインフレを起こすことができるかは注目されるところだ。
一方米国では、ハウジング市場の回復等の明るいニュースも見られるが、未だに1200万人が失業中であり、まだまだ不況が続いている。
この長期に渡る不況の中、数々のブランドはバリュー=安価というコンセプトでカスタマーを惹きつけていたが、利益が出ない価格でいつまでも提供できるものではなく、悲鳴を上げているブランドも多い。しかし、バリューというのは安価だけではないはずだと、この安価戦争から上手く抜け出し、カスタマーが求める新バリューを提供することによって、売り上げを伸ばしている企業がある。先月のAdvertising Age誌にこれを上手くまとめた記事(http://adage.com/article/news/p-g-ford-wendy-s-redefining/241006/)があったので、紹介したい。



■利便性を高めることでバリューを生み出したP&G

20130516_02.jpg

この記事がまず挙げている例は、P&Gの洗濯洗剤「Tide Pods」だ。
1パックごとに分かれており、洗濯1回に1パックをポンと入れるだけだ。おまけに洗剤・漂白剤・染み抜きの3つの効果がこの1つのパックに入っている。


20130516_03.jpg

この「Tide Pods」は発売から1年で5億ドル($500million)の売上げを果たし、米国では大ヒット商品になったわけだが、価格は66回分で$18.99と決して安くは無い。しかし、消費者は、便利だし、こぼれて無駄にすることもなく、旅行にも持っていけるとして安価以外の価値を認め購入して行く。
「Tide Pods」のヒットを機に米国では洗濯洗剤以外にも、食洗機用の洗剤「Cascade」も1パックごとの商品が出回っている。

20130516_04.jpg
P&G食洗機用洗剤カスケード(http://www.cascadeclean.com/us/cascade/)

 


■品質を高めることでバリューを生み出した「チョバーニ」ヨーグルト

20130516_05.jpg

本当に質の良いものは、多少価格が高くても消費者に求められるものだが、高品質の例としては、ここ数年米国で大ブームとなっているギリシャヨーグルトが挙げられている。普通のヨーグルトと比べると糖分は少なく、プロテインが多い。濃厚な味わいで人気を博している。普通のヨーグルトは50-60セント程度(シアトルのスーパーマーケット価格)だが、ギリシャヨーグルトは1ドルぐらいする。しかしながら、ギリシャヨーグルトは米国ヨーグルト市場売上の60億ドルのうち20億ドルを占めるそうだ。



■テクノロジーを活用し新たなバリューを提供する自動車メーカーフォード

20130516_06.jpg

自動車メーカーフォードのハンズフリーコミュニケーションシステム(マイクロソフトのAuto OSをベース)であるSyncのおかげで、2011年の一取引ごとの平均価格を$4000以上増加したという。又、最近フォードは、自動車を購入したカスタマーの半分以上がフォードを選んだ理由にSyncを挙げていると言っているそうだ。




■マクドナルドに対し、ふさわしい価格、ふさわしいサイズを提供するウェンディーズ

20130516_07.jpg
59セントのハンバーガーを販売したマクドナルドに対し、ウェンディーズは、「ふさわしい価格、ふさわしいサイズ」というアプローチを取っており、バリューメニューではより安いハンバーガーを提供する代わりに、18のアイテムを99セントから1.99ドルで提供している。これらのアイテムはカスタマイズをすることができ、カスタマーそれぞれが好みに合ったハンバーガー等を注文できる。

20130516_08.jpg

つまり、最安値ではなくとも、カスタマーが自分好みの満足な商品を購入できることにバリューがあると考えているのだ。



■まとめ

以上、米国市場における製品価値について話をしてきた。日本同様に、米国でも不況が続いたことによって、消費者も賢明となり、財布の紐は以前より固くなった。加えて、米国では貧富の差は激しく、1200万人も失業者が存在している。
人間、一度、便利な商品を使ってしまうと、よほどのことがない限り、元には戻れない。今更、固形石鹸で手や体を洗うのは面倒だし、カーナビや音楽なしに車を運転しても、不便だし、つまらないと思う。
財布の紐を固く結んだ消費者も、商品、サービスに価値を見出すことができれば、購入してゆく。約20年に及ぶデフレーションを経験する日本でも、本当に良いものは、変わらず売れ続けている。より魅力的な製品がこの国から誕生することを期待したい。

ITmediaオルタナティブブログ「青葉哲郎のスマイル航海日誌」

マーケティングコンサルティングのサイコス
マーケティングで毎日をもっと楽しく。Facebookページ開設しました。
I Love Marketing(アイ ラブ マーケティング)
マーケティングコンサルタント青葉哲郎 Twitter

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

プロフィール

マーケティングコンサルティング会社 サイコス 青葉哲郎

マーケティングコンサルティング会社 サイコス 青葉哲郎

1971年生まれ。イオン、マイクロソフト、インテリジェンス、リクルートエージェント、リクルートを経て、2009年11月マーケティングコンサルティングのサイコス株式会社を設立。マーケティングに関する総合コンサルティングを提供し、広告販売などは行わず、マーケティング部門や経営効率化支援に特化して広告主側に立った助言を行っている。

マーケティングコンサルタント青葉哲郎の「成功のカギはマーケティング・イノベーションにあり。」のバックナンバー

「マーケター通信」購読一覧