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» 2012年12月26日 更新

現場エンジニアがみるインターネット広告 RTBで実行されるオークションの話

オークションといえばヤフオク

新しい概念を理解する時に、軸となる比較対象があると、なにかと捗ります。なので、RTBのオークションを正確に理解するために、まずヤフオクのオークションの特徴を押さえておきます。
  • 10円刻みで競い合う
  • 入札者は金額を指定して自動入札
  • 他の入札者を確認できる
  • オークション期間が長い(数週間など)
  • 出品者は最低落札価格を設定できる
  • 送金、納品は当人同士で行う
オークションは、商品に対する買い手と売り手それぞれが思う評価価格で柔軟に取引ができることから、人によって評価の大きく異なる商品を扱う際の取引形態として重宝されてきました。希少価値の高いレア物などはオークションとの相性が抜群です。

買い手によって評価が大きく異なるアイテムを取り扱うのがオークション

絵画などの美術品、愛好家の多いビンテージ品などがオークションの対象とされてきました。はたから見れば「なんでこんなボロいツボに5億円も出すんだ!理解できない!」というオークションでも、オークションに熱狂している落札者にしてみれば「5億円で落札できたなんて最高に最高だぜ」という感じです。惜しくも二番手で落札できなかったひとも4億円強は払うつもりで入札していたわけです。つまり「5億円で落札」の背景には5億円未満で入札した数者が存在しているということになります。

かえって、コンビニで売っているような一般消費財はオークションに向きません。低価格ですし、なにより万人にとって評価金額がほぼ同様だからです。

なぜ広告インプレッションをオークションで取引するようになったのか?

まことしやかに言われているのは金融危機で証券取引市場を追われたアナリストや投資家、トレーダーたちがオンライン広告の業界に再就職して、「俺たちが前いた業界ではこうやってリアルタイムに取引してたぜ?」ということで、RTBが始まったと言われています。証券取引に代表される金融取引はリアルタイムオークションとも言えますので。

RTBはセカンドプライスオークション

以下、RTBのオークションの特徴です。
  • 一番高い金額で入札した者が勝者。落札金額は2番手の入札金額に1円を足した金額
  • 入札者は入札金額を指定
  • 一発勝負(オークション期間は200ミリ秒、入札は1オークションにつき1回きり)
  • 出品者は最低落札価格を設定できる(入札者が1者だけだった場合、入札金額が最低落札価格を上回っていれば、落札金額は最低落札金額に1円を足した金額。下回っていれば、落札者なし)
  • 転売不可
まずヤフオクや証券取引との違いは、「一発勝負」である点です。ヤフオクのように何週間もオークションしません。200ミリ秒で、オークション開催、入札、落札、デリバリーが完結します。一度落札したもの(インプレッション)を、再出品できません。つまり「せどり」や「転売ヤー」が入り込む隙がありません。これはセカンドプライスオークションが非常に優れている点のひとつで、投機的な動機による入札者が参入できないことにより、バブルが引き起こされないのです。オランダのチューリップバブルにはならないのです。

不便な点としては、オークションに負けた場合、勝者がいくらで落札したかわからない、ということが挙げられます。勝った場合のみ、2番手の入札金額がわかります。落札金額から1円を引けばいいんですね。ですが、そのオークションでの入札者が自分だけだった、とすれば、最低落札価格との一騎打ちなので、「最低落札価格=2番手の入札金額」となってしまい、他者の入札金額は闇の中です。この特徴から学ぶべき重要なポイントはRTBのオークションにおいては、自分の信じる評価額をズバッと入札するということです。落札して悔いのない価格で入札する。冷静に考えてみれば、オークションの基本でした。

入札者たちが勉強会と称して事前に入札価格を調整(つまり談合)した場合、落札価格が作為的に決定されてしまうため、セカンドプライスオークションは光を失います。入札者たちが、真の購入者の代理人である場合、こういった工作の入り込む余地があるように思います。

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プロフィール

上野武史

上野武史

株式会社スケールアウトで広告配信システム開発のプロダクトマネジメントを担当。インターネット広告各社のキーマンが集まるFacebookグループ、あきばラボを運営。

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