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» 2012年10月10日 更新

現場エンジニアがみるインターネット広告 広告システムのエンジニアが不足していることでイノベーションが加速できていない日本

 インターネット広告関係のシステムを担当するエンジニアというのは、日本全体のエンジニア人口から見ればほんの一握りであり、絶対数としてとても少ないです。おそらく分布としてエンジニア人口が一番多いのは、システムインテグレータ企業やその下請け企業であるソフトハウス企業の業務システム系エンジニアです。

 最近では、ソーシャルゲームの開発に多くの優秀なエンジニアが集中しています。優秀なエンジニアは大量のアクセスかつ複雑な処理を高速に処理する大規模システムと自身の腕に見合った報酬を得られる場所へと移動していきます。

 いま現在、そのターゲットとなっているのが、ソーシャルゲームの開発です。ところが実は広告システムも、大量のアクセスかつ複雑な処理を高速に処理する大規模システムといった意味ではエンジニアにとって魅力的な仕事であり、報酬も決してソーシャルゲームの開発に劣るものではありません。にも関わらず、広告システムを担当するエンジニアの人口が増えないのにはなにか理由がありそうです。

 広告システムを担当するエンジニア人口が少ないこともあり、自社で広告システムを開発している企業はそんなに多くありません。ほとんどの企業は、国内の他社企業や海外企業の広告システムをASPで利用したり、OEMして構築しています。

 日本のインターネット広告市場の規模やプレーヤー数の多さの割にエンジニアが少ないというのは、自社開発がほとんど行われていないということが理由の1つとしてあげられます。もし広告システムのエンジニア人口がある一定数を超えることができれば、さまざまな分野で国産の広告関係システムが数多く活躍していると思います。日本のカオスマップをグローバルのカオスマップと比較した時に、違いを決定づけているものはエンジニアリングリソースの差であるといつも痛感させられます。

 グローバルのアドテクノロジーベンチャーの創業者メンバーはほとんどがDoubleClick社やRight Media社などアドテク企業の出身者です。彼らはアドテクノロジーに触れ、システムの奥深さや工夫の余地などに魅せられて新たに起業しています。

 一方、日本ではなかなかこういったことは見られません。インターネット広告企業の出身者がアドテクノロジー分野でベンチャーを立ち上げようと思っても、営業スタッフだけではシステムを構築できませんし、広告システムの開発経験があるプログラマというだけではどんな広告システムを開発すればいいのか見当もつかないからです。

 ここで重要なのは、次世代に必要とされる広告システムとはどんな広告システムなのかを考える開発プロデューサーです。いまの日本のインターネット広告市場では広告システムのエンジニアのなかでも、広告システムの開発プロデューサーがまったく足りておらず、1社に2名いれば多い方だ、という肌感があるくらい貴重な存在となっています。また、広告システムの開発プロデューサーは各社による争奪戦が激しく引き抜きや防衛が日々行われています。

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プロフィール

上野武史

上野武史

株式会社スケールアウトで広告配信システム開発のプロダクトマネジメントを担当。インターネット広告各社のキーマンが集まるFacebookグループ、あきばラボを運営。

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