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» 2013年6月 3日 更新

アカデミックが見た社会 ワークショップを活用したソーシャルメディアリテラシー教材作成(前編)

こんにちは、河野義広です。

今回は、大学の教材作成に関する新たな試みを紹介します。通常の教材作成は、教科書とする本の内容や教員自身の研究成果をまとめ資料を作成していきます。私自身も後期からの新設科目を受け持つことになり、現在作成しているところです。

もちろん、上記のような資料のまとめも必要ではありますが、今回の授業ではソーシャルメディアの活用方法が重要なテーマの1つです。そのため、多くの方々から意見を伺い、多様な価値観や考え方、利用時の体験談などを知ることが大切と考えます。

そこで、日頃からお世話になっている勉強会コミュニティ『KnowledgeCOMMONS』さんにご協力頂き、ソーシャルメディアリテラシーを考えるディスカッション形式のワークショップを開催することになりました。グループでのディスカッションを通して、みんなで教材を作ってみようという企画です。

情報リテラシーⅡの授業概要

東京情報大学では、2013年度から1学部1学科12コース制へと移行し、カリキュラムにも変更がありました。その中で、『情報リテラシーⅡ』という新たな科目を受け持つことになりました。本科目ではソーシャルメディアとクラウドサービスを取り上げ、「学生一人ひとりが自らの目的に応じた使い方を考えられること」を目的とします。ソーシャルメディアを使う目的は一人ひとり違うでしょうし、様々なサービスの特徴を理解した上で、自分自身の目的とそのための使い方を見い出すことは、今後の社会を生きていくための必須スキルといえます。


ワークショップ

以下の日程で、ゼミの学生2名とともに「ソーシャルメディアリテラシー」のワークショップに参加しました。二人とも勉強会は初参加だったのですが、社会人の方々とも積極的に交流し、自分の意見をきちんと述べることができていたので、非常によい経験になったと思います。

大学の講義をみんなで作ろう!~「ソーシャルメディアリテラシー教育」編
日時:2013年5月23日(木)19時30分~21時30分
場所:株式会社ベネッセコーポレーション 新宿オフィス

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写真1.ワークショップ開催の趣旨説明1

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写真2.ワークショップ開催の趣旨説明2

ワークショップでは、まず私から今回の趣旨を経緯を説明した上で、6~7名のグループ3つに分かれて、以下の5つのテーマでディスカッションを行いました。なお、当日の資料はSlideShareに公開しておりますので、ご興味がありましたらご覧ください。
  1. オンライン/オフラインの発言で気を付けることは?
  2. ソーシャルメディアを使う目的は?
  3. 目的に合わせてTwitterをどのように活用できるか?
  4. 目的に合わせてFacebookをどのように活用できるか?
  5. 男性、女性で特に気を付けることは?

ディスカッション

上記の各テーマを15分~20分程度でグループ内でディスカッションし、各テーマで代表して1グループに発表して頂きました。

テーマ1について、まず学生と社会人では形成するコミュニティに違いがあるという意見が出ました。学生は友達やサークルなどごく限られた範囲のコミュニティが主であるのに対し、社会人は仕事、友人、地域、その他の活動といったより広範なコミュニティに属することが多いようです。したがって、学生のつながる相手は友達の延長線上となるため、きちんと見せないといけない相手がほとんどおらず、オンラインでの発言に対し、あまり怖さを感じない傾向があるのでは?という発表でした。

確かに、学生のオンラインでの発言を見ていると、「見られている意識」があまり感じられないことがあります。私自身は、オンライン/オフラインに関係なく、「どこに出しても恥ずかしくない自分」を心掛けることが大切だと考えています。例えば、「Twitterは匿名で使っているので何を言ってもOK」と安易に判断するのではなく、一歩立ち止まって考えることが大切です。匿名であってもソーシャルグラフや位置情報から個人を特定することは十分可能ですし、何よりもそういった態度で臨んでいると、それが自己の表面に現れることがあります。ソーシャルメディアは自分を映し出す鏡なのです。

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写真3.ディスカッションの様子(グループA)

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写真4.ディスカッションの様子(グループB)

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写真5.ディスカッションの様子(グループC)

次にテーマ2は、私が最も重要と考える「ソーシャルメディアを使う目的」に関するディスカッションです。情報収集、情報発信、人脈作りなど、使う目的は人によって様々です。各グループから出てきた意見を以下の5つに分類しました。
  • 暇つぶし
  • ゆるいつながり
  • 近況報告
  • リサーチ
  • 就活
1点目の暇つぶしは、テレビと同様の受動的姿勢で、流れてきた投稿に反応します。また、「~なう」にはファッション的要素が含まれており、自分へのラベル付けがブランディングにも影響します。2点目のゆるいつながりは、強制力のないゆるいコミュニケーションにより人間関係を維持するものです。3点目の近況報告は、プライベートな出来事、活動を報告するのが目的です。4点目のリサーチは、興味のある情報に対して、周りの反応を見ながら市場調査を行う使い方です。5点目の就活は、自分を丸ごと知ってもらうためのツールとして利用するものです。

次回予告

今回は、ワークショップを活用したソーシャルメディアリテラシーの教材作成について紹介しました。次回は、ソーシャルメディアを使う目的を掘り下げ、その目的のためにTwitter、Facebookをどのように活用できるかを考えたいと思います。

それでは、次回もよろしくお願いいたします。

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プロフィール

河野義広

河野義広

東京情報大学教員。ソーシャルメディアの社会的影響をテーマに「学生のパーソナルブランディングによるキャリアデザイン」、「教育現場でのソーシャルメディアの認知・指導方法」などを研究中。実生活すべてが研究対象。

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