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» 2013年6月17日 更新

アカデミックが見た社会 ワークショップを活用したソーシャルメディアリテラシー教材作成(後編)

皆さん、こんにちは。前回の記事では、ワークショップを活用したソーシャルメディアリテラシー教材作成について、ワークショップの開催趣旨、ディスカッションの内容について紹介しました。

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写真1.ワークショップでのディスカッションの様子

ソーシャルメディアを使う目的

さて今回は、ソーシャルメディアを使う目的を掘り下げ、その目的のためにTwitter、Facebookをどのように活用できるかを考えたいと思います。そこでまず、各グループから挙げられた目的を確認してみましょう。
  • 暇つぶし:受動的姿勢で反応、~なうによるファッション的要素
  • ゆるいつながり:強制力のないゆるいコミュニケーションで関係維持
  • 近況報告:プライベートな出来事、活動の報告
  • リサーチ:ある情報に対して周りの反応を見ながら市場調査
  • 就活:自分を丸ごと知ってもらうツール
上記の目的の中から各グループで1つを選択してもらい、その目的についてTwitter、Facebookそれぞれの活用方法を議論して頂きました。各グループが選択したテーマは以下のとおりです。
  • グループA:ゆるいつながり
  • グループB:就活
  • グループC:暇つぶし
私自身、普段の研究ではパーソナルブランディングをテーマに自己実現モチベーション人脈作りについて検討することが多く、暇つぶしやゆるいつながりを考える機会はそれほど多くはありません。そのため、皆さんから様々な意見を頂き、新たな気付きが得られたのでとても勉強になりました。

ソーシャルメディアとの接し方に関する普遍的な考え方

今回のワークショップでは、TwitterとFacebookを取り上げ、目的に応じた活用方法を議論しました。もちろん、ソーシャルメディアにはそれ以外にも、mixi、Google+、LINE、foursquare、Pinterestなど多くのサービスが多数の利用者を獲得しています。しかしながら、Twitter、Facebookをはじめ、これらのサービスが5年後、10年後にも世界の主流であるとは限りません。そのため、ソーシャルメディアとの接し方について普遍的な考え方を知る必要があります。

そこで、本ワークショップでは特徴的な2つのサービス(TwitterとFacebook)を比較し、ソーシャルメディアとの接し方に関する普遍的な考え方を議論しました。これにより、今後登場する新たなサービスとの接し方も考えられるようになるでしょう。

まず、Twitterはインタレストグラフ(興味・関心)でつながり、シンプルかつ自由度の高いサービスです。登録名を実名にするか匿名にするか、顔写真を公開するか、プロフィールに何を書くかなど、機能的にはシンプルである反面、公開する情報の選別については自由度の高いサービスといえます。ソーシャルメディアに初めて触れる方には、手軽に投稿できる点で、雰囲気を知る上でも最初に利用して頂きたいサービスといえます。ただし、手軽に投稿できる一方、その投稿はインターネットに公開される情報となるため、相応に使いこなすには高いリテラシーが要求されます。

一方、Facebookは原則実名でソーシャルグラフ(人間関係)でつながるサービスです。個人と密接に結び付くため、原則1人1アカウントとなります。職場や学校、その他のコミュニティなど、現実の人間関係を反映したつながりを有しており、その人達とどのように交流するかは現実の人付き合いと全く同じです。ソーシャルメディアは現実の延長線上にあるものと捉え、オンライン/オフラインで変わらぬ付き合い方が大切といえます。

目的別の活用方法のディスカッション

ここまではソーシャルメディアを使う目的を確認した上で、Twitter、Facebookそれぞれの特徴を見てきました。それでは、グループAでのディスカッションから見ていきましょう。

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写真2.グループAでのディスカッションの様子

グループAのテーマは、ゆるいつながりです。ここでの意見として、Twitterは基本的にゆるいつながりで、無視されるのが当たり前なのだそうです。Facebookは名刺交換の感覚に近く、深いようで意外と浅いとのこと。ただ、誰とつながったかは分かるため、ブランディングには適しているようですね。

活用方法に関しては、Webデザイナーの方の意見で、Twitterでスピーディーに議論を重ねながら企画を練っていくという意見がとても印象的でした。Twitterは興味・関心でつながるため、思考が似ている人を探しやすく、企画の拡散力・関係ある人を巻き込む力がすごいようです。

今の時代、よいアイディアを自分の中に秘めておくのではなく、より多くの人とシェアして議論するという考え方も広まりつつあるようですね。

つながりについてまとめると、広く浅くつながるにはFacebookはちょうどよい距離感で、Twitterは近い場合、遠い場合と様々なつながりがあるようです。

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写真3.グループBでのディスカッションの様子

グループBのテーマは、就活です。人材業界の方々と私のゼミの学生が中心のグループで、企業と学生の接点について議論して頂いたようです。まず、企業の方は意外と学生のFacebookを見ているようで、真面目なだけだと面白くないと思われてしまい、頑張り過ぎている(痛々しい)感じもよくないのだそうです。

就活において、企業が求めていることに沿ったPRをするか、自分のありのままの思いを伝えてそれに合う企業にマッチングしてもらうか、大きく分けてこの2通りの使い方が考えられるとのこと。

個人的には、前者の自分を偽り、企業の求める発信を続け内定を得たとしても(多くは面接の段階で見抜かれると思いますが)、就職してから苦労すると思います。できれば、ありのままの自分と合う企業がよいと思います。もちろん自分を磨く努力は必要ですが、そういった企業を探しやすい環境も整いつつあります。

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写真4.グループCでのディスカッションの様子

グループCのテーマは、暇つぶしです。同じ暇つぶしといっても、社会人と学生ではかなり感覚が違うようです。社会人にとってTwitterは、チャンネル選択(誰をフォローするか)により、欲しい情報を自分で取りにいく情報収集のツールだそうです。社会人にとっては、暇つぶしとはいえ、空いた時間の情報収集のようですね。

一方、学生は本当に暇つぶしの意味で使っており、多い人では1日に200~300件もツイートするようです。発言内容もそれほど意味のあるものは少なく、私の知る学生には既読の意味で読んだツイートすべてを「お気に入り」に登録する学生もいます。つながりの意味で大切なのかも知れませんが、本当に暇でないとできないことだと思います。

勉強会世話人の小室さんいわく、「200件ツイートが、仮に全部クオリティの高い発言ならすごい。ただ発言しているだけなら採用しない。仕事しない奴と思う」だそうです。そのような学生達が社会人になったとき、Twitterをどのように使うのかが気になりますね。

また、Facebookに関しては、暇つぶしに使うという意見は少なかったものの、友達の写真をただ眺めて暇つぶしにしているという方もいました。確かにそれはあると思います。私も何かをしている時、ついFacebookを覗いてしまうことがあります。

まとめ

今回は、ワークショップを活用したソーシャルメディアリテラシー教材作成に関して、ソーシャルメディアを使う目的とその活用方法を議論しました。今後は、ここでのディスカッションを「情報リテラシーⅡ」の教材に反映していく予定です。現在は、ゼミ内のプロジェクトで、授業で取り扱う内容の洗い出し、各回の概要を組み立てているところです。実際、今回の取り組み自体も「教材作成の新たな試み」として授業のネタの1つとなることでしょう。

最後に、ワークショップ後の懇親会の様子です。またこのような機会を頂ければと思います。今回のワークショップでは、まだまだ議論し尽くせない部分がありましたので、是非第2段のディスカッション大会を開催できればと思います。それでは、またよろしくお願いいたします。

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写真5.勉強会後の懇親会

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プロフィール

河野義広

河野義広

東京情報大学教員。ソーシャルメディアの社会的影響をテーマに「学生のパーソナルブランディングによるキャリアデザイン」、「教育現場でのソーシャルメディアの認知・指導方法」などを研究中。実生活すべてが研究対象。

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