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» 2013年9月24日 更新

アカデミックが見た社会 研究者のためのワーク・シフト

皆さん、こんにちは。河野義広です。
ご無沙汰しており申し訳ありません。

私の勤める大学ではちょうど夏休みが明けたところです。皆さんは、夏休みをどのように過ごされましたでしょうか?
私の方は、授業はありませんでしたが、会いたい人に会いに行ったり、夫婦で旅行に出掛けたり、韓国で学会発表を行ったり、その合間に後期から始まる授業「情報リテラシーⅡ」の教材作成やゼミ生主導による学祭活性化のためのくじ引きアプリの開発に携わっていました。夏休みといっても遊んでいる訳ではありません(笑)。むしろ、かなり慌ただしかったですし、大変有意義な時間でもありました。

ワーク・シフトを巡る社会の流れ

そういった中で、最近では「働き方」について考えることが多く、私自身の問題意識もそちらにシフトしつつあります。つい先日(9月13日)のことですが、私が所属する社会情報学会にて、「都市空間と情報化される大学・大学生・大学街」というタイトルでワークショップを開催しました。コクヨWORKSIGHT編集長の山下正太郎氏、ツクルバ中村真広氏をお招きし、ライフスタイルや価値観、働き方の多様化について活発な議論が行われました。私自身は司会進行役として、話の流れをまとめつつ楽しく聞かせて頂きました。聴講者に対しての問題提起もあり、会自体は大変興味深いものに仕上がったと思っています。研究者と実践家の方々でそれぞれ異なる視点からディスカッションもありました。なお、資料はSlideShareで公開しておりますので、ご興味がありましたらどうぞご覧ください。

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写真1.2013年社会情報学会若手カンファレンスの様子

そこで今回は、私自身の問題意識にも関連するところで、ワーク・シフトについて私なりの視点から意見を述べたいと思います。現在、働き方に関して多くの書籍が出版されており、その中でも特に注目を集めている本にリンダ・グラットン著『ワーク・シフト』があります。同書の中で特に印象的だったのが「専門技能の連続的習得」という働き方のシフトです。今回は、これを研究者のキャリアに置き換えて考えてみました。専門技能の連続的習得とは、ニーズが高まりそうなジャンルと職種を選び、高度な専門知識と技術を身につけることです。

研究者のワーク・シフト

多くの研究者の場合、1つの分野をひたすら深く掘り下げ、新たな知を蓄積していきます。もちろん、宇宙の真理を解き明かすための理論物理学やiPS細胞の医療応用などをはじめ、基礎的な研究は極めて重要であり、社会的な意義も大きいです。それに対し、様々な分野を修めて専門としながら、学際領域を研究対象とする道もあります。今私が考えているのは、こちらの道です。

私の場合、元々は情報工学が専門なのですが、所属研究室の方向性もあり数年前からは社会的課題をITで解決する『社会情報学』の分野を研究しています。現在では、キャリア教育の観点から心理学も取り入れて、学生の自己実現支援を研究しています。今後は、工学を改めて勉強したり、経済学といった他の分野も取り入れたりして、新たな分野を開拓して行きたいと考えています。このような学際領域は、様々な社会的課題を含んでおり、研究の意義があるところと思っています。

研究テーマと問題意識

ここからは私自身の研究テーマについてお話しします。現在の研究テーマは、「ソーシャルメディアをいかに人生に活かすか!」です。これ程までに研究テーマと自分自身がリンクしている研究者は、他に類を見ないと思います。

通常研究テーマは、自分の人間性までは影響していないでしょうし、研究と自分はどこかで一線を引いているはずです。しかし、私の場合は研究と自分が完全にリンクしているため、研究成果がそのまま自分自身にも還元されます。この点は非常に大きな特徴です。

その点が研究のモチベーションであり、オリジナリティでもあると考えています。他の研究者には真似できない私だけのフィールドです。ただし、一般的な研究の進め方とは大きく異なるため、研究としての着地点が現在の課題といえます。

次に研究テーマにも関連するところで、現在の私の問題意識についてお話しします。私の問題意識は、『より多くの人が主体的に生きていける世の中』を創り上げることです。そのためのマインドセットやスキルを修得するための教育方法の確立が当面の課題です。現在は、主に学生を対象として教育・研究を進めているところです。

この試みの中で私が期待するのは、ソーシャルメディアが自己の内面を顧みるきっかけになることです。ソーシャルメディアを通じた情報発信や他者との関わりによって、多様な価値観、考え方を知るきっかけになると考えています。

今回は、研究者の働き方をきっかけに、私の研究テーマの根源と問題意識についてお話ししました。どうぞ皆さんのご意見をお聞かせ頂けますと幸いです。
それでは、次回もよろしくお願いいたします。

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プロフィール

河野義広

河野義広

東京情報大学教員。ソーシャルメディアの社会的影響をテーマに「学生のパーソナルブランディングによるキャリアデザイン」、「教育現場でのソーシャルメディアの認知・指導方法」などを研究中。実生活すべてが研究対象。

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