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» 2013年11月 2日 更新

アカデミックが見た社会 大学生に対するソーシャルメディアリテラシー教育の課題

皆さん、こんにちは。今回は、大学生に対するソーシャルメディアリテラシー教育についてお話しいたします。

これまで大学での情報リテラシーの教材作成のため、ディスカッション形式のワークショップを紹介してきました。今回は、実際に授業が始まりましたので、その様子やそこでの課題をお話ししたいと思います。

以下は以前紹介したワークショップの記事です。ここで得られた意見をまとめ教材を作成し、後期から『情報リテラシーⅡ』という授業の中で実際に学生に伝えています。
  • ワークショップを活用したソーシャルメディアリテラシー教材作成 前編後編

ソーシャルメディアを授業で取り上げる意味

『情報リテラシーⅡ』の授業の目的
本科目ではソーシャルメディアとクラウドサービスを取り上げ、「学生一人ひとりが自らの目的に応じた使い方を考えられること」を目的とします。ソーシャルメディアを使う目的は一人ひとり違うでしょうし、様々なサービスの特徴を理解した上で、自分自身の目的とそのための使い方を見い出すことは、今後の社会を生きていくための必須スキルといえます。

上記の想いで私達は授業を進めています。ここでは、学生に実際にTwitter、Facebookを登録してもらい、実際の活用を通じて、自分なりの考え方を身に付けてもらいたいと考えています。本授業では、学生に以下の2点を期待しています。

<学生に期待する効果>
  1. オープンなコミュニケーションを体験し将来に役立てる
  2. トラブルに遭遇した場合に対処できる能力を養う
現状多くの学生は、ごく限られた友人とのプライベートなコミュニケーションが中心のようです。実際はオープンなネットワークであるはずのTwitterでもプライベートな使い方の学生が多いです。ただし、彼らが社会に出て行く頃には、様々な人達と付き合うようになり、その中には学生時代の友人だけでなく、職場の上司や同僚、所属するコミュニティの人達など、多様な人々がいることでしょう。そのような人達と付き合う際には、オープンな場でのコミュニケーションが求められるようになります。

そこで、ソーシャルメディアを実際に体験することで、情報発信人脈作りなどを通じた将来の活動に役立つスキルを身に付けて欲しいと考えています。やってみなければ分からないことが多くあるので、よい面、悪い面も含めて実際に体験し、自分の頭で考えることが大切です。

次に、トラブル対応については、普段からソーシャルメディアを使っていなければ、対処方法は何も分かりません。場合によっては、自分自身がターゲットにされていることさえ気付くことができません。この辺りは、Qixilで質問を投げ掛けており、大変有益な回答を頂いております。ありがとうございました。


情報リテラシーⅡの授業の様子

このような想いを抱えながら、後期から実際に授業を進めています。以下は授業の様子です。

DSC00854.JPG
図1.情報リテラシーⅡの授業風景1

DSC00839.JPG
図2.情報リテラシーⅡの授業風景2


本授業では、Twitterのハッシュタグを用意し、授業の感想や評価、学生からの意見募集を行っています。いろいろな発言があり、個人的には非常に面白い試みと思っています。中には発言内容が分かり難いものもありますが、もしよろしければご覧ください。

その中からいくつか投稿を紹介いたします。私も時間を見付けて回答しており、できる限り学生のフォローをしたいと思っています。


実際に体験することで理解が進んだというポジティブな意見もありました。


その一方で、ソーシャルメディアに対して不安を抱えている学生も多く、その辺りのフォローが必要であると感じています。
 
様々な意見があるので、適宜フォローをしながら、できるだけ授業にもフィードバックしたいと考えています。
 

授業進行の課題

現在、本授業は1年生の必修科目で、500名近くの学生が受講しています。私一人では、受講生全員の見ることができないため、他の教員の協力も得ながら、複数クラスで進めています。そのため、授業を進めるうちに、いくつか課題が出てきました。

<課題>
  1. クラス間での授業進行の違い
  2. ソーシャルメディアに抵抗感のある学生へのフォロー
  3. 作業が早い学生向けの内容
1について、500名近くの受講生がいるため、1コマで4クラス、2コマあるので計8クラスあります。私が担当するクラス以外は、他の教員に授業進行をお願いしているのですが、すべての教員が私と同じように日頃からソーシャルメディアを使っている訳ではありません。加えて、初年度ということもあり、授業方針を固めつつ運営を行っている状態で、どうしてもクラス間での授業進行に差が生じています。円滑な授業運営のため、教員間での授業方針や課題の共有が必要であると考えています。

また、学生にソーシャルメディアの魅力や留意点を伝えるためには、教員自身が実際にTwitter、Facebookなどを活用し、自ら実感するのが本当に大切です。本に答えが書いている訳ではないので、上記の点を伝えるために、ある程度の実体験が必要となります。その点が他の科目と大きく異なる点といえます。

2について、上記で触れているように適宜フォローしてはいますが、どうしてもFacebookでの実名登録に抵抗のある学生もいるようです。

なぜ、わざわざオープンなネットワークに自分の個人情報を登録してまで他者と関わろうとするのか、それを授業で取り上げるのはなぜか?といった点をきちんと説明する必要があると考えています。前述したとおり、座学だけではなく、実際に体験することで、自分なりの使い方を学んでいくことが教育の方針です。

また、実際に使ってみた結果、どうしても自分には合わないと感じたのであれば、授業終了後に使うのをやめることは自由であるとも伝えています。ただ、実際にやってみないと分からないことが多いので、敢えて授業では取り上げています。

本学の教育理念は「現代実学主義」というもので、経験や実践を重視する方針です。個人的には、まさしくこの教育理念に沿った授業であると考えています。

3について、授業内で演習を行っているのですが、作業の早い学生と遅い学生とで進度にかなり差が出ています。当初は、学生を習熟度別に分け、授業を行うことも検討していました。しかしながら、どのようにして学生の習熟度を計測するか、計測できたとして何を教えるのか、誰が教えるかが問題となり、次年度に改めて検討したいと思います。

この授業進行の差は、特にアカウント作成のあたりでは顕著に見られました。進度の遅れている学生をフォローしつつ、できている学生が退屈にならないような授業運営が求められています。

初めてのことが多く大変な授業ではありますが、個人的には毎週が楽しみな授業です。
何かご意見、コメントがありましたらどうぞお寄せください。

それでは、また次回もよろしくお願いいたします。

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プロフィール

河野義広

河野義広

東京情報大学教員。ソーシャルメディアの社会的影響をテーマに「学生のパーソナルブランディングによるキャリアデザイン」、「教育現場でのソーシャルメディアの認知・指導方法」などを研究中。実生活すべてが研究対象。

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