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» 2014年8月15日 更新

アカデミックが見た社会 大学の役割としての社会貢献

皆さん、こんにちは。しばらくご無沙汰しておりました。申し訳ありません。

前期の試験も終わり、いま大学は夏休みの時期です。学生も大学教員も少し落ち着いた頃です。もっとも大学教員は、この時期に自分の研究を進めたり、後期の授業準備をしたりと、やることはいくらでもあります。※夏休みといっても、学生と同じように遊んでばかりとかはあり得ません。 

大学の役割

さて、大学の役割には以下の3つがあります。皆さんはご存知でしょうか?

  1. 教育
  2. 研究
  3. 社会貢献

1の教育は、多くの皆さんがまず最初に考えるところでしょう。教育機関として、幅広い教養と専門知識を身に付け、社会の中で役立つ人材になることを目指します。大学での学びとは主体的でなければなりません。学生自身が興味を持ったことを探求していく姿勢が大切です。教えてもらうという姿勢ではいけません。学生は、『学ぶために生きている』のです。※そのため、大学生を生徒とは呼びません。

2の研究は、一般の方にはあまり馴染みがないかも知れませんが、大学は教育機関であると同時に研究機関でもあります。大学に所属する教員は、それぞれ専門の研究テーマを持ち、研究室を運営しながら研究成果を発表しています。学生は、4年生(大学によっては3年生)から研究室に所属し、自身の研究を進めながら、調査、ディスカッション、プレゼン、論文執筆など社会で必要となるスキルを養います。すなわち、『研究活動を通じた教育』です。加えて、教員にとっては研究成果の教育への還元も重要な課題です。大学では、教員の専門分野に則した授業を開講しています。例えば、私が卒業した茨城大学では、暗号理論の専門家として有名な先生がいて、常々この先生の授業が受けられるのはココだけといわれてきました。このように、大学を選ぶ受験生には、教員の研究テーマにも注目すると、自分に合った大学を選択しやすくなると思います。

3の社会貢献は、大学での研究成果を地域や市民の皆様に還元することです。例えば、公開講座やオープンカレッジ(例:東京農大のオープンカレッジ)、高大連携授業、地域連携の研究プロジェクトなどがあります。私の場合は、ここでの活動が多いですね。ブログでは、各所での講演資料を公開しておりますので、もしよろしければご覧ください。今回は、夏休み初期に実施した高大連携授業教員免許状更新講習について紹介いたします。 

高大連携授業

東京情報大学では、近隣の千城台高校、佐倉南高校、四街道北高校と連携し、高校生に大学の授業を体験してもらうイベントを開催しています。私もその中の1つを担当しています。『高校生のための情報リテラシー』というテーマで、情報の選択、GoogleやTwitterの演習、ディスカッションを通じて、ソーシャルメディアとの付き合い方を皆で考えるという授業です(東京情報大学システム開発コースFBページ参照)。

  • タイトル:高校生のための情報リテラシー
  • 日時:7月30日(水) 10:00~17:00
  • 担当:圓岡 偉男 教授(社会コミュニケーション)、河野 義広 助教(システム開発)
  • 時限:90分×4コマ(圓岡先生が午前1コマ、河野は午後3コマ)


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図1.高大連携授業の様子1

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図2.高大連携授業の様子2

高校生たちは、こういった新しいツールへの順応力は高いものの、ソーシャルメディアリテラシーについて考えたり、皆とディスカッションしたりといった機会はあまりないようです。ディスカッションでは、以下のテーマで議論することで、親や先生の目線で考えられることを期待しています。

ソーシャルメディアを使うことに対して、あなたのご両親や学校の先生がどのような心配をしていると思いますか?

そのような心配に対して、あなたはどのように答えることができますか?

高校生たちが書いてくれたレポートを見ると、個人情報の流出や時間を忘れて没頭し生活に支障をきたすこと、詐欺や事件とその対策など、しっかりと議論ができていたようです。高校の先生方、生徒の皆さんはしっかりと考えていますよ。

高校生の皆さんが積極的に参加してくれたので、サポート学生とともに楽しく過ごすことができました。とても有意義な時間でした! 

教員免許状更新講習

次は、教員免許状更新講習の様子です。教員免許の保有者は、免許更新のため10年に一度講習を受ける必要があります。本学では、心理・教育コースの教員がいることから、子どもの発達心理やソーシャルスキルトレーニングに関する講習を必修とし、選択で衛星観測システムや3DCG、ソーシャルメディアなどの情報教育に関する講習を受講することができます。その中で、私は以下のテーマで現職教員の方々に講習を行いました(東京情報大学システム開発コースFBページ参照)。

  • タイトル:ソーシャルメディア活用術とパーソナルブランディング
  • 日時:8月7日(木) 9:15~16:20
  • 担当:河野 義広 助教
  • 時限:1限~4限

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図3.教員免許状更新講習の様子1

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図4.教員免許状更新講習の様子2

講習では、34名の現職教員の方々が参加し、ソーシャルメディア活用演習やグループでのディスカッションを行いました。高校生とは違って、皆さん忙しいこともあってか、ソーシャルメディアに触れる機会はあまりないようです。それでも、生徒達の多くは頻繁に利用しており、不安はあるけれど問題意識があって参加されたようです。ディスカッションでは、以下のテーマで議論をしました。先生同士で議論することで、様々な視点を得ることができたと思います。

生徒がソーシャルメディアを使うことに対して、どのような心配がありますか?

そのような心配に対して、生徒・保護者・教師の全員が納得する解決策はどのようなものでしょうか?

上記のテーマはかなり難しかったかと思いますが、苦心していろいろな案を出してくれました。ソーシャルメディアに関する講習の実施、学校主導でのルール作り、教員・保護者の理解を促すなどの意見が特に多かったです。

その一方で、責任の所在についての意見もありました。発生したトラブルについて、サービス側も責任を負うべきではという主張でした。私としては思いもよらない質問だったので、少し困惑しました。基本的には、使う人の問題なので個人(場合によっては保護者)の責任です。ただし、サービスの機能的な不具合によるトラブル(非公開に設定した投稿が公開される、別の人物にメッセージが届くなど)であれば、サービス提供側が負う責任でしょう。そうでなければ、個人の使い方やモラルの問題です。

今回の講習で、実際にソーシャルメディアを使ってみて、他校の先生とも熱心にディスカッションをしたことで、少しは不安感を払拭するきっかけになったかと思います。とても活発な意見交換ができたようでよかったです。実際に、学校教育の現場でもこういったディスカッションは非常に効果的だと思っています。特に自分達で考える姿勢は重要ですね。是非、学校に戻ってこういった場を作って頂けるとよいように思います。

ルール作りは是非生徒主導で!

先生方のディスカッションを見ると、学校や教師主導でルール作りを行う必要があると考えているようです。しかしながら、自分たちがあまり使っていないようなツールに対して、果たして適切なルールを作ることができるでしょうか?それよりも生徒主導でルールを作るべきです。更にいえば、生徒主導でのルール作りには、以下のメリットがあると考えられます。
  • ソーシャルメディアとの付き合い方を考えるきっかけになる
  • 自分たちのルールを自分たちで作るので、納得できるルールが作りやすい
  • 自分たちが納得できるルールならば、きちんと守ることができる
いかがでしょうか?是非、こういったスタンスで取り組むことができればと思います。このようなリテラシー教育は、多くの需要が見込まれるにも関わらず、様々な誤解や理解不足などが原因となり、学校教育の中ではあまり浸透していないように思います。
今後もこのような活動を続け、リテラシー教育のベースアップを図りたいと思っています。

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プロフィール

河野義広

河野義広

東京情報大学教員。ソーシャルメディアの社会的影響をテーマに「学生のパーソナルブランディングによるキャリアデザイン」、「教育現場でのソーシャルメディアの認知・指導方法」などを研究中。実生活すべてが研究対象。

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