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» 2014年11月15日 更新

アカデミックが見た社会 佐原ハッカソンによる学生の開発スキル向上の試み

皆さん、こんにちは。最近は朝晩とだいぶ冷え込むようになりましたね。

日ごとに寒くなっているので、風邪やインフルエンザには十分にお気を付けください。

■佐原の大祭

さて、1ヶ月ほど前になりますが、千葉県香取市にて『佐原の大祭』というお祭りに参加しました。佐原は、古くから水郷の街として栄え、小野川沿いの歴史的建造物をはじめ、風光明媚な街並みは「江戸優り」と謳われてきました(図1)。

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図1.佐原小野川周辺の様子

佐原の大祭には、小野川をはさんで東側一帯(本宿地区)の夏祭り(7月)と、西側一帯(新宿地区)の秋祭り(11月)があります。夏祭りと秋祭りを合わせて関東三大山車祭りの一つと称されており、江戸時代から約300年続く伝統行事です(図2)。祭りのクライマックスに大人形が飾り付けられた何台もの山車が小野川沿いに集結する姿は圧巻です。

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図2.佐原の大祭

■プロジェクトさわら

東京情報大学では、千葉県香取市と地域連携協定を締結しており、佐原の街が今後100年、200年と続いていけるための持続可能な地域社会の体制作りと市民同士の絆作りを目的とした『プロジェクトさわら』を推進しています。

いくつかのサブプロジェクトが進行する中、私のゼミでは特に市民協働型のまちづくりと情報発信をテーマに活動しています。市民一人ひとりが自分の街の歴史や文化、そこに住む人々を理解し、積極的な情報発信を行うことで、人々の共感を得ることが大切と考えています。

そこで本プロジェクトでは、佐原の街の情報を蓄積し発信していくWebメディア『佐原ソーシャルライブラリ』の開発を進めています(図3)。佐原ソーシャルライブラリは、市民活動団体の活動、地域住民や来街者の声、大学での地域連携の取り組みなどを蓄積・整理・成長しながら、地域社会との絆づくりを目指します。

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図3.佐原ソーシャルライブラリのイメージ

■佐原マッピングパーティー

プロジェクト活動の一環で、誰でも編集・利用が可能なWeb上の地図「OpenStreetMap(OSM)」を作るイベント「マッピングパーティー」を開催しました(図4、5)。

佐原の八坂神社周辺地区はOSM情報があまり登録されていなかったので、地図情報を使ったアプリを提供しようと思ったら、事前にマッピングパーティーが必要とのアドバイスをOSM関係者の方から頂きました。大祭では山車のルートマップを提供しようと考えていたので、その直前に「佐原マッピングパーティー」を開催することにしました。ちなみに、佐原は元祖マッパー「伊能忠敬」縁の地としても有名です。

OSM関係者の方々にご協力頂き、学生も含め私もマッピング手法を勉強いたしました。一通りのことは教えて頂いたので、今後千葉市花見川区や情報大周辺など、フィールドワークとして活動している場所でもマッピングの機会を持ちたいと思っています。

OSM関係者の皆さま、どうもありがとうございました!

sawara-mapping-party2014.jpg図4.佐原マッピングパーティー(1)

sawara-mapping-party2014_2.jpg図5.佐原マッピングパーティー(2)

佐原マッピングパーティーでの成果をもとに、夏祭りでは、『佐原山車マップ』を提供しました(図6)。佐原の大祭における山車の経路情報を表示するサイトです。これまでは紙に書かれた経路表が神社に貼り出されるだけでしたので、これをWebから見られるように学生が10台分の山車情報を頑張って登録してくれました。ただし、「リアルタイムな山車の位置情報」は取得できないため、「乱曳き」がある場合には、あまり使い物にならないという課題もありました。

routemap.png図6.佐原山車マップ

■佐原ハッカソン

11月の秋祭りでは、泊まり掛けの開発イベントを開催したいと考え、2泊3日の「佐原ハッカソン」を企画しました(図7、8)。泊まり掛けとしたのは、「1.開発には集中できる環境が必要」、「2.OSMを利用するため、必要に応じて現地でのマッピングや調査がすぐにできる」、「3.学生同士で教え合える環境がある」といったメリットに期待したためです。

sawara-hack2014.jpg図7.佐原ハッカソン(1)

sawara-hack2014_2.jpg図8.佐原ハッカソン(2)

図7は、拠点となった「いなえ」での開発の様子です。ここは、マッピングパーティーの時にもお世話になった場所で、OSMのBASECAMPとしても登録されています。図8は、宿泊先の旅館「一蘭荘」での夜の開発です。みんな疲れていますね。

このような開発を3日間行ったところ、以下の2つのアウトプットが出て来ました(図9、10)。

sawara-hunters.png図9.佐原ハンターズ

nomiaruki-map.png図10.さわら飲み歩きマップ

佐原ハンターズでは、スマホやタブレットでアクセスすると、その場所で見た山車の位置を登録することができます。その位置情報は他のユーザと共有されますので、みんなでリアルタイムな山車の位置を探ろうという趣旨のサービスです。

一方、さわら飲み歩きマップは、出店の情報をヒアリングしたり、マッピングしたりしながら集めた情報がWeb上で提供されており、ちょっと計画を立てて祭りを飲み歩きたいなと思った時に便利なサービスです。造り酒屋やその貿易で発達してきた佐原の土地柄にあったものといえます。

■来年に向けて

今回、佐原マッピングパーティーと佐原ハッカソンのことを紹介しました。佐原の大祭時に行う合宿形式の短期集中型開発イベントは、学生にとっても教員にとっても有意義なものであったと思います。まだまだ課題はありますが、以下のような効果が期待できると思います。

  • 開発経験を通じた開発スキルの向上(Web、DBなど)
  • 祭り参加者からの即時フィードバック
  • 祭りを楽しみながらの開発←佐原を理解する上でも重要

開発スキルは一朝一夕ではなかなか身に付かないので、もう少し修練は必要ですが、学生にとってもよいきっかけになったかと思います。フィードバックに関しては、宣伝が不十分だったこともあり、利用者はあまり多くありませんでしたが、来年度に向けた課題は得られたかと思います。ある程度祭りを楽しみながら、開発に取り組めた学生もいたので、よい経験にはなったと思います。

今回、私自身も佐原ハンターズのDB登録部分を担当し、久しぶりに開発をしました。普段は仕事に追われる毎日ですが、短期間でも集中して開発に取り組めたのはよかったです。

来年度もうまく継続できるように進めて行きたいと考えています。ご意見がありましたらよろしくお願いいたします。

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プロフィール

河野義広

河野義広

東京情報大学教員。ソーシャルメディアの社会的影響をテーマに「学生のパーソナルブランディングによるキャリアデザイン」、「教育現場でのソーシャルメディアの認知・指導方法」などを研究中。実生活すべてが研究対象。

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