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» 2012年11月 6日 更新

ユーザーエクスペリエンス(UX)時代 ~UIデザインのすべてを語る~ 【シンプルへの挑戦(1)】削減する(DELETE)

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 先日より「"高度な機能"と"シンプルなUI"の調和」をテーマにこのコラムを始めました。
今回より3回にわたって私が挑戦している「シンプルにする方法」をお伝えしたいと思います。

 「シンプル」にする方法は、私は3つあると思っています。

   (1)削減する
   (2)隠蔽する
   (3)カテゴライズする

私は「シンプル」にしようと思う時、常に上記のことを、上記の順番で考えています。
これはUIに限った話ではなく、

   "仕事のタスク" でも
    "家の片付け" でも
    "デザイン" でも

思想の基本は同じです。根本的な思想を他に応用するだけです。 
今回は(1)削減する  について詳しく考えてみましょう。

 「削減する」ことが出来れば必ず「シンプル」になります。
 しかし、「何を」削減するかを決断するのが難しい。 
 なぜなら、「削減する」ことは「心で決断」することに他ならないからです。
 そして、「何に対して」削減するかも明確にしておく必要があります。

 UIの場合を具体的に考えてみましょう。
UIを議論している時によくあるのが、

  「●●の場合も想定してあった方がいいんじゃないかな?」
  「念のため残しておこう。」
  「個人的にはあると便利と思うので、つけておこう。」

という議論です。
(そして曖昧なまま、そうだね。って空気が流れる。)
(反対する明確な理由が出てこない。)
この会話がなされた時、私は一度立ち止まり、客観的な自分を作り、
考えることをやめずに、注意深く考えを整理するようにしています。
 
 「誰のために」あった方がいいのか?
 「どんなシーンで」便利なのか?

まず、
  
  主語をユーザにして
  ユーザの行動をイメージします。

この問いを自分自身に投げかけ、
この問いがユーザの声に基づいていなかったり、
この問いへの明確な答えが見いだせない時は、
最低限の項目をだけを残しておき、後からユーザから具体的な要望があった場合に追加するプロセスが良いと思っています。「追加」は楽なのです。一方、「削除」は難しい。曖昧で答えが出なければ安易な「追加しない」。そう決めています。

これはきっと「時間は過去に戻らない。」ことを人間が本能的に感じているからでしょう。
大は小を兼ねる。機能や項目はあった方が無い時より困らない。
そんな錯覚に陥って保守的な作用が心に働いてしまう。
人の防衛本能から来ている。
そして、本能に従った方が人は気持ちが楽だし、
考えることも止められるて楽だから、「削減」の逆の「追加」にいきがちになってしまう。
そして「複雑なUI」が出来上がってしまう。

「削減する」ことは、この人間の本能に逆らう「意志」を必要とする作業です。
本能に逆らっても「意志」を持って削除するからこそ「シンプル」で素晴らしい
プロダクトができる。私はそう思っています。

「追加論」が出た場合は、

 ・直接ユーザに意見を聞いてから追加する/追加しないを決める
 ・想定ユーザの声を一番聞いている人にアドバイスを求める

がいいと私は思います。

さらに難しいのが、既にある機能やUI要素を「削減」する場合。
これは難しい。既にユーザが利用しているので「削減」するデメリットが顕著に語られ、如実に出てしまう。

既にある機能やUI要素を「削除」する場合は

(A)既存のユーザへのデメリット×社数(人数)
(B)未来の新規のユーザへのメリット×社数(人数)

を比較して、未来を見据えてどちらがメリットがあるか考えて決断するようにしています。
つまり、時間が経てば経つほど「削除」しにくくなります。時間との勝負です。

ユーザの声に耳を傾け、仮にその瞬間はデメリットのように思われても
未来を見据えて「意志」を持って「削除」する。
そんなサービスを私は創っていきたい。

最後に、次回の(2)隠蔽する のAppleの「意志」ある哲学の例をご紹介します。
こういう細部が無言で会社の哲学を語る。ブランドを創る。
http://arigato-ipod.com/2011/05/smart-cover-ipad-cover-lock-setting.html


建築家の思いとクライアントの思いは往々にして相反するものであり、時に衝突もありますが、それをお互いに「対話」することにより乗り越えて行く。それが「建築家」という職業です。また、そのような人との出会いのなかにこそ、この職業の面白さ、難しさがあるのではないかと思います。( 安藤忠雄 建築を語る」安藤忠雄 東京大学出版会より)


次回は、(2)隠蔽する について考えてみましょう。

では、また。
大塚雄介


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プロフィール

大塚雄介

大塚雄介

 早稲田大学大学院 理工学研究科 卒業 理工学修士号 取得。専攻は量子理論物理学。2006年、株式会社ネクスウェイに入社。ネット広告新規営業/新事業創出/マーケティング担当を経て、クラウドサービスNEXLINKの企画・設計の副責任者に就任。専門はIA/UX/UIデザイン。2013年STORYS.JPのCMO(最高マーケティング責任者)就任。個人として、DJとして定期音楽イベント「56'sLounge」を主催。興味を持って頂けましたらFacebookより気軽に メッセージ頂ければと思います。

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