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» 2013年8月14日 更新

価値観経営の時代。ソーシャルメディアが変えるマーケティング これイッテQで見たやつだ。~機能指向と感性指向が変える拡散力~

物事を説明するのには、機能面からのアプローチと、感性からのアプローチの2通りがある。それが今、ソーシャルメディアでの拡散性を大きく分ける要因になっている事の好例が、この「自転車用ヘルメット」の2つの報道

「目に見えない」自転車用ヘルメット:スウェーデンの女子大生が発明
http://wired.jp/2013/08/06/invisible-bicycle-helmet/

「世界の果てまでイッテQ」自転車専用エアバック「ホブディング」を紹介


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実は、人気番組「世界の果てまでイッテQ」にて6月2日に放送された「自転車用エアバッグ」と、8月6日に掲載されたWired誌の記事「目に見えない」自転車用ヘルメットは、全く同じ商品なのである。読者の皆さんの中には「これひょっとしてイッテQで紹介していたあれじゃない?」と思った方も多いと思う。

しかし、この商品、バラエティ番組内とは言え、人気番組で視聴率も高い番組内で紹介された事で大きな話題になったかと言えば、そこまでのソーシャルでの広がりは見られなかった。

番組では「自転車用エアバッグ」という紹介の仕方であり、これはエアバッグという機能を紹介した物である。機能だけを見ればさして新しいものでもなく、なるほどね、エアバッグねという感想で終わるだろう。 実はこのように機能を紹介するだけで終わっている商品が山のようにあるのが現実だ。

ところが、Wiredはこの同じ商品に「物語」という感性を付けて紹介した事で同じ商品を紹介する情報が別の意味を帯びて再び拡散し始めた。

さらに、タイトルにも工夫が。タイトルにはいくつかのバズワードが含まれている事に注目したい。

1.目に見えないヘルメット

自分が想像出来る範囲であればスルーするような情報でも、理解が出来ない物に対しては人は探究心が湧く。目に見えないヘルメットというのはいったいどんなものだろうか?そう思った読者は多いはずだ。 昨今の袋麺のブームも「生麺のような食感」というのが袋麺によってどう再現されているのか想像が出来ないからこそ、その探究心からこれだけのブームになったと言える。 要するに体験しなければ分からない。見てみなければ分からないという情報を提示する事で人々の関心を惹きつけるという手法がまず1つ目の特徴になる。

2.女子大生が開発した

女性の社会進出が叫ばれているとはいえ、商品開発の現場は中年のオジサンというのがまだ主流だ。だからこそ、若い女性が開発に携わっているという事も人々の関心を惹きつける事に繋がっている。 ここもやはり想像の範囲を超える事象を見逃さないという事がポイントで、女子大生による開発という点を捉え、タイトルにした事でより多くのシェアを獲得する記事となった。

3.なぜ作ったのかを明示

「目に見えないヘルメット」と、「女子大生」というバズキーワードをタイトルに入れた事で、記事タイトルをクリックさせる事には成功しても、記事そのものがシェアすべき記事でなければそこで終わってしまう。そこで、必要なのが「物語」である。

なぜ目に見えないヘルメットを作ろうと思ったのか、そこには女子大生だからこそ分かる「ファッション性」という部分があった。
今までの自転車用ヘルメットでは実現出来ない便益(ベネフィット)を目に見えないヘルメットは提供する。その提供のために、研究に研究を重ね、ついに開発されたのがこの「ホブディング」という商品である。

機能アプローチと感性アプローチ

ヘルメットというのは安全性を保つものである。だからこそ、ヘルメットの安全性を検証したイッテQの番組はその機能だけを紹介した事になる。機能の紹介にはストーリーが見えないので、驚きはあるがシェアしようという思いまでには至らない。一方Wiredの記事は、開発秘話とも言えるストーリーに着目し、その機能を実現するまでの物語を提供した。どちらが感動を呼ぶかは明らかである。

ブログなどで商品に関する記事を書く中小企業の方も多いと思うが、その記事は「機能アプローチ」に偏っていないだろうか。その中に「感性アプローチ」を入れる事で、記事がより生き生きとし、ソーシャルメディアの世界で自動的に広がる事も期待出来る。 ぜひ試してみて欲しい。


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プロフィール

石田陽之

石田陽之

株式会社サイバーブリッジ代表取締役、中小企業のSNS活用&リスク管理、海外企業の日本マーケティングコンサルタント。

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