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» 2014年2月21日 更新

価値観経営の時代。ソーシャルメディアが変えるマーケティング アメリカで酒器を売る~国内伝統産業復活のヒント~

saketreat.png今回は、Saketreatという酒器のオンラインショップをご紹介したいと思う。

このショップはアメリカで起業した日本の方が運営する酒器のオンラインショップだ。TPPを目前に、国内産業をどうすべきかという議論が各業界でも行われているが、この事例が1つのヒントになるかもしれない。

今アメリカでは日本酒がブームだ。それにともない、日本の蔵元も販路を広げようとアメリカでの市場開拓に余念が無い。この日本酒というコンテンツをもっと売るにはどうすれば良いだろうか。そこに今回のポイントがある。

メインコンテンツを取り巻く「文化」を輸出する

日本酒も今やアメリカで現地生産するメーカーも現れるなど、内製化も進んでいるようだ。

例)テキサスの酒メーカー

この動画の中で酒を注ぐグラスに注目して欲しい。いわゆる日本酒の「酒器」では無いことに気がつくはずだ。家庭でも日常的に楽しんでもらうためには、もっと広範囲な文化の輸出が必要なことに気づくと思う。

実際に日本でのワインを考えてみよう。もちろん国内のシャトーも数多く存在して現地化が進んでいるが、その製品だけではなく、「ソムリエ」であったり「グラス」であったり、ワインを提供するレストランであったりと、その周辺の文化がいかに日本に浸透しているかを感じるだろう。

つまり、コンテンツ単体で輸出をするだけではなく、そのコンテンツが作り出した文化を体験してもらうツールを一緒に売り出す必要があるのだ。今回ご紹介した酒器のオンラインショップはまさにその体験ツールを提供する。アメリカ人に新しい「酒体験」を提供するために不可欠なツールと言える。

しかもこれは長年培ってきた文化だけあって簡単に真似する事は出来ないし、日本製というのがブランドになる。

あなたはフランス産のワイングラスと聞くと日本で売っている国産のワイングラスよりも「価値」を感じないだろうか。それはやはりワインという文化の発信地であるという「ブランド」がそう思わせているのだ。

Think Globally, Act Locally

日本には素晴らしい技術を持った国内伝統産業が数多く存在する。しかし、高齢化や技術継承の不足により窮地に立たされている産業もあるかもしれない。実際に有田焼の産業全体の規模はピーク時の半部以下に急落している状態だ。しかし、多くの伝統産業は海外からは「ブランド」と意識される事を思うと可能性は数多く残されている。そして日本の文化の輸出にともなって、これら日本の伝統産業の復活が国内産業の新たなステージとなる日が来るかもしれない。

Think Globally, Act Locally. グローバルな視野に立って、目の前の貴重なリソースに目を向ける。グローバル化とは本来はそのような態度の事を言うのだと思う。Saketreatのチャレンジはまさに、日本の伝統産業再興の新しい形となるのではないだろうか。

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プロフィール

石田陽之

石田陽之

株式会社サイバーブリッジ代表取締役、中小企業のSNS活用&リスク管理、海外企業の日本マーケティングコンサルタント。

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