ニュース
» 2012年12月11日 更新

元・百貨店マーケッターが見た【住宅業界】の明日 世代をまたいでインフラを活用していなかった。という事実

ネクスト・アイズ早坂です。

 山梨県の中央自動車道笹子(ささご)トンネルで2日に起きた天井板の崩落事故。
お亡くなりになった方々に対し、この場をお借りしてご冥福をお祈りするととも
に、すんでのところで急加速して無事だったのが富士重工業製の車両という事実。
もっとも富士重工業は「ドライバーの方が九死に一生を得たのは本当に不幸中の
幸いで、 それがたまたまスバル車だったということでしょう」と話しています。

 中津スバルの濃いスバリストに贈る情報:インプレッサよ!よく頑張った。
        http://bfaction.exblog.jp/18222773/


 さて、事故原因については徐々に原因が明らかになっているようですが、江戸
時代から高度成長期の経済成長の背景として、実は世代をまたいでインフラを活
用していなかった事実に気付きました。

 たまたま、昔いた会社の年間テーマ『元禄ルネッサンス』【西武百貨店1986年】
と『ほしいものが、ほしいわ。』【西武百貨店1988年】から連想したことですが、
江戸から東京に至る街の気質と経済とは、大火・震災・戦災によって作られてい
たのではないか、ということに気づいたのです。


世代をまたいで受け継いでいくという発想は、根付くはずがない


 江戸の経済の活力の源となった恒常的な建築需要の理由とは、およそ30年に1
度ぐらい発生していた下町ないしは山の手の半分以上を焼きつくすような大火。
大火以外にも、その密集度と木造という住宅の材質のゆえに、江戸では日常的に
火事に見舞われていたそうです。
 港区で仕事をするようになって、改めて都内の地名(駅名)を観ているわけです
が、その片鱗はあちこちの駅名に見うけられます。


 江戸庶民の気質についても同様です。
いつ火事で全財産を失うことになるかわからないという考えが定着していたこと
から、江戸の方々は資産を形成することに熱心ではなかったそうです。
 その江戸庶民がもっていた消費態度(資産形成に熱心ではない)が、バブル期の
消費態度を彷彿とさせるのです。

 明治になってからも、同じようなことが続きます。
たとえば、東京は震災と戦災で二度にわたって、施設や建造物、住宅に至るまで
灰燼と化しています。

 そのような歴史を振り返ると、東京に住む方々は江戸時代から現在まで、百年
以上の平穏な時代を経験したことがない、ということになります。
都市として100年以上にわたる平穏な時代を過ごした期間がないがゆえ、江戸・
東京の価値観は『消費は美徳』であり『洗練をよし』とする傾向になります。

 極論かもしれませんが、この傾向は『我が道をゆく尾張流』たる名古屋と逆の
価値観ともいえるかもしれません。
※はじめて名古屋を訪れたとき絶句した【大名古屋ビルヂング】と【丸の内ビル
 ディング】という、ネーミングに対する価値観と共通しますね。


 よって、東京の価値観が事実上の標準なわけですから、施設や建造物、住宅に
至るまで、インフラを補修しながら世代をまたいで受け継いでいくという発想は
根付くはずがありません。
地方の場合は、いまでいう古民家など世代をまたいで受け継がれてきた例もあり
ますが中央集権の象徴である東京が、もともと建造物や住宅を補修しながら受け
継いでいく経験がない以上、30年程度の住宅寿命が当たり前ということも無理か
らぬ話です。


いままでのメンタリティーは、『先のことを深刻に考えないこと』

 もうひとつ、自分の親世代のことを考えてみます。
高度成長期を生きてきた人間のメンタリティーとは、先のことを深刻に考えない
こと。
 リタイアしても、年金を満額でいただけることが分かっているわけで、ベビー
ブームに代表される人口拡大基調が規定路線であったことから、自分たちの面倒
は子どもが観てくれる、という暗黙の了解が、特に地方で根強くありました。

 ある程度見えている安定した先のことがある以上、現在を楽観的に過ごすこと
が高度成長期からバブル期に至るまでの経済を支えていた部分もあるはずです。


 しかし、読者のみなさまも共通の認識をお持ちかと思いますが、今後はそのよ
うな価値観をもったまま新築中心の事業に取り組むわけにはいきません。
 子世代の収入がどんどん先細りしていくなか、『ほしいものが、ほしいわ。』
に代表される80年代の価値観は、もはや通用しないでしょう。
 住宅に限らず自動車では当たり前の【点検・補修・メンテナンス】という作業
を、日常の習慣の中に組み入れた生き方を身につけなければなりません。

 農業を礎とした地方経済や冒頭にご紹介した自動車については【点検・補修・
メンテナンス】を続けていくことが当たり前のこと。
この考え方を、売り手を通してお施主さまに共感をもってお伝えしていくことが
ほんとうに大切なことだと考えています。

 そもそも、生活のほとんどは、本来そういうものだったのかもしれません。


※ ほしいものが、ほしいわ。【西武百貨店 1988年 糸井 重里 氏】

   ほしいものはいつでも
   あるんだけれどない
   ほしいものはいつでも
   ないんだけれどある
   ほんとうにほしいものがあると
   それだけでうれしい
   それだけはほしいとおもう
   ほしいものが、ほしいわ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

プロフィール

早坂 淳一

早坂 淳一

中立の立場で住宅全般に関する対応を承るネクスト・アイズ(株)にて【ブチョ~】と呼ばれる立場で《ハウスネットギャラリー》という注文住宅リフォームポータルサイトを運営しながら、《ハウスネットギャラリー》でわかったお客さまの興味/関心と、あちこちから直接、間接的に聞いてくる市場/行政/政治の動きを掛け合わせて、主に新しいことを立ち上げるような仕事をしてます。

カテゴリ

  • Webサイト構築
  • キャンペーンノウハウ
  • ソーシャルメディアマーケティング
  • データ分析/効果測定

「マーケター通信」購読一覧