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» 2013年8月17日 更新

元・百貨店マーケッターが見た【住宅業界】の明日 これからの家づくりで考えておくべき"親を幸せに死なせる"こと

今回は、私事ではありますが、母の初盆で遺品を整理しながら父と話したこと
がベースにあります。
本通信のテーマからは逸脱しかねない内容ですが、商品として"個人資産"を
扱う場合のマーケティングにおいて、決して目を背けてはならない内容なのです。

 仙台でひとりで暮らす父は82歳。まだ元気ではありますが、遠くに住む息子と
しては、父の末期に必ず起こりえる終末期医療の話から、認知症になった場合に
備えるための成年後見人制度、元気なうちにケアつきマンションに入居した場合
に現在の家をどうするか、父が亡くなったあとのお墓の管理や位牌・仏壇の置き
場所から、実家にずっと置きっぱなしの私物まで(笑)。


 お互いようやく落ち着いて、現実を見据える時間がとれたのです。


 でも、これらのことは家づくりを考えるときに、そのときは深く考える必要が
ないことでも、住宅を消耗品ではなく"資産"と考えた場合は考慮しておくべき
重要なテーマになります。
 高齢になって住宅ローンを払い終わっていれば年金から家賃を捻出する必要
がなくなり、家の修繕・メンテナンスにかかる費用を予算化すれば済みます。
ただし、ずっと賃貸で過ごした場合は年金から家賃を捻出する必要があり、
今後の年金受給を予測する限り、年金における家賃の割合は高くなっていく
ことは容易に想像できるのです。

 自分が家づくりに携わらなかった実家でさえ、両親のいずれかが亡くなった
場合、このような現実的な判断に直面するのです。
それも、残された親が正常な判断ができるときに、きちんと親の意向を確認して
おいて、できれば文書に残しておくべき内容なのです。


 家を"資産"として考えてしまうと、どうしてもついて廻る"カネ"の話です
が、そういう話をできるぐらいの親子のコミュニケーションができるような関係
は必要です。"カネ"の話はかなり抵抗がありますが、そのような気持ちを突破
して、かつ、家族も同席させたうえで向き合うことで、はじめて残された親も安
らかな最期を迎えることができるのかもと考えてしまいます。

 さらに、最期を迎えるにあたって、希望と現実が大きく異なる調査結果もあり
ます。
 家で最期を迎えたい方はたくさんいても、現実は家で看取ることは難しいもの
があるのです。
※余命が限られた場合『自宅で過ごしたい』とする人は80%。
  ただし現実は80%の方が病院で最期を迎える。
 (日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団調べ)

 みなさまご存じの通り、高齢者の単身世帯の増加に伴い『孤独死』も問題に
なっています。ただし、孤独死の定義は難しいうえ、全国規模のデータも揃って
おりません。
自宅で最期を迎える場合は、孤独死とならないような取り組みも必要ですが、
みとりを含めて在宅での医療・介護体制は十分ではありません。
最期まで自宅で過ごすか、自宅で終末期を過ごし急変時に病院に搬送されて
そこで最期を迎えるか。現在の医療・介護体制のままでは体制と人手の不足
からこれからも夢物語のままで終わりそうです。


 特に、二世帯住宅の検討にあたっては、いずれ直面する親の終末期。
親世帯が居住した場所、または子世帯が居住した場所も、今年から規制緩和され
た完全分離二世帯住宅であれば"空いたら賃貸に出す"という選択肢もあります
が、"空いたら賃貸に出す"前に、親が幸せな最期を迎えられるよう事前に検討
を重ねておく、あわせて私たちのお客さまにもそのような提案ができるように、
きちんと準備しておくことが大切になってきます。

 たまたま初盆を迎えたことから、行き帰りの車内でずっと考えていたことです
が、このようなことで子どもが親に対してできることは、さほど多くありません。
でも、親が元気なうちに準備しておかないと"争族"に巻き込まれることだけは
間違いないようです。

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プロフィール

早坂 淳一

早坂 淳一

中立の立場で住宅全般に関する対応を承るネクスト・アイズ(株)にて【ブチョ~】と呼ばれる立場で《ハウスネットギャラリー》という注文住宅リフォームポータルサイトを運営しながら、《ハウスネットギャラリー》でわかったお客さまの興味/関心と、あちこちから直接、間接的に聞いてくる市場/行政/政治の動きを掛け合わせて、主に新しいことを立ち上げるような仕事をしてます。

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