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» 2012年12月28日 更新

ちびクロの細かすぎて伝わらないネットサービスの話 インバウンドマーケティング事例【成熟市場でウェブを使って問い合わせを集める方法】インバウンドマーケティング成功事例と今後の課題


こんにちは、黒須敏行です。

私が所属するアルコ社では今年ブログを使ったマーケティング施策を始めました。成果としては半年間で11,236人の新規訪問があり、その中から288件の資料請求問い合わせを頂くことができました。

SEO対策、リスティング広告、ウェブ制作などのウェブマーケ商材は成長カーブにおける成熟期を迎えているため、テレマーケティングの成果を見ても100件に1~3件のアポイントがとれるかどうかになっています。そのため今回始めたブログでは当初想定していなかった反響がありました。

今回の記事の目的はブログを使った施策を紹介することで『テレマーケティングをしてもなかなかアポイントがとれなくなっているような成熟した市場で問い合わせを集めるためのノウハウを公開する』ことです。

進め方としては
・インバウンドマーケティングとは
・うまくいった施策
・今後の課題
という形で参りたいと思います。

これが今年最後です。それではいきましょう!

■インバウンドマーケティングとはなんぞや?

HubSpotという年間の売上が数十億円規模のアメリカの会社があり、昨今注目を集めています。事業内容は「インバウンドマーケティング」という考え方のマーケティング施策を実践するためのツールの提供をすることがメインです。

HubSpotの代表のブライアンさんはこちから強引にアプローチをするのではなく、お客さんから問い合わせが来るような状況を作ることはできないかという仮説を持ち、その方法をソリューションにして提供し始めたという成り立ちがあります。

このページでは上島千鶴さんという戦略のコンサルティング会社の代表の方がインバウンドマーケティングについての意味を解説しています。(上島さんのブログも面白いのでオススメです)

企業と個客の接点/接触ポイントは数多くありますが、企業側からのアプローチは全て「アウトバウンド」に分類されます。それに対して「インバウンド」は、「個客自らの意思にて接触行動を行う」場合と見ることができます。こうした個客自らの意思によって、企業やサービスを「見つけてもらう」活動のことをインバウンド・マーケティングと言います。出典・情報元:Nexal,Inc

こちらから会いましょうという関係性と、向こうから会いたいという状況ではどちらが信頼関係を築きやすいかというのは想像できると思います。手前味噌ですが私達も2006年当時からお得な情報を冊子として数多く作っており、配布をしていました。下記の写真はその一部です。モバイル検索エンジンの教科書とかは懐かしすぎて涙がでてきます。

作ってきた数多くの冊子.jpg

インバウンドマーケティングのようなお客さんに「見つけてもらう」という考え方も大事ですが、そもそもマーケティングにとって大事なものは何でしょうか?それはリストです。マーケティングはリストが命です。2つエピソードを紹介しましょう。

江戸時代に越後屋と呼ばれる呉服屋が、家が火事になったときの行動が面白いです。彼らがとった行動は商品を火から守るのではなく、まず大黒帳と呼ばれる顧客リストを井戸に投げたのです。大黒帳の紙はこんにゃくの糸を使って作られているので、水に濡れても文字がにじまないようになっていました。彼らは家が跡形もなくなったあと、井戸から糸をたらした大黒帳を引き上げお客様のもとに挨拶をすることで再び商売を始めることができました。

また富山の薬屋は引退の際は懸場帳と呼ばれる顧客リストを売却することで退職金代わりとしていました。懸場帳の資産算出方法は、リストによってもたらされた年間売上×営業実績年が基本です。リストの質がよければ3掛けから5掛けに金額は膨れ、現在の価値になおすと4~5千万もの金銭価値がありました。

マーケティングという言葉が無い数百年前も前の時代から、商売人はリストの重要性を理解していたという話です。そしてリストを集めるために半年前から始めたのがブログです。今回はインバウンドマーケティングにおける「見つけてもらう」活動に絞った話をします。

■うまくいった施策

色々な施策を行なってわかったのは
・検索エンジンだけではなく、複数のプラットフォームに情報を配信×拡散させる土壌を用意する
・ブログを作ったうえで無料で得になる情報冊子を提供する
・ブログの記事は、数多くの情報をまとめたものが好まれる
この3つだと感じています。

☆複数のプラットフォームからの接点を用意

これはブログの参照元のメディアのデータです。

参照元.jpg

期間はブログ開設から現在までをとっています。見てもらうとわかりますが様々なプラットフォームから満遍なく流入があります。そこで
・ソーシャルメディアに拡散されるボタンの設置
・ソーシャルメディアに対してのディスクリプションとバナーの最適化(OGP対策
・端末毎の表示最適化
を行ったことで各参照元の流入数は増えて行きました。

☆無料で得になる情報の企画

ブログで様々な会社のサイトのSEO対策を研究し、より詳細な情報を知りたい方に対してはスライドを配布するという形式を当初採っていたところいくつか反響を得ることができました。そこで専門のランディングページを用意し、より興味を喚起させる方法にしたらもっと反響率は高まるのではないか?という仮説をもとにLPを作り導線を作ったところ反響率が大きく向上しました。具体的には3%だった反響率が10%近くまで上がりました。

導線推移2.jpg

また誘導のバナーも当初のものから最適化をさせた結果CTRが最高36%まで上がりました。私が尊敬する売れるネット広告社代表の加藤公一レオさんのコラムに「強制力のある訴求」というコンセプトが紹介されており、この考え方が非常に参考になりました。

ブログで情報提供⇒詳細情報がまとまったレポートを提供という導線は当初意図していなかったものですが、試したところ上手くいった施策です。この方式を採っているところは少ないので是非オススメしたいです。

☆記事は多くの情報が整理されているものが人気が高い

記事の流入数を比べると、多くの情報をがまとまっている記事が読まれてることがわかりました。

そのため意識して、情報を体系立てたものにすることで記事の流入数を増やすことができました。はてぶがたくさんついている他の情報も基本は様々な情報が良いポイントでまとめられているものが人気が高くなっています。

ノウハウをまとめた記事.jpg


■今後の課題

そうはいっても当然想定をしていなかったようなうまくいかなかったことも多くありました。今後の課題だなと感じていること、それが
・リストコントロール
・中傷リスク
・コンテンツク作成コスト
の3つです。

☆リストコントロール

数多くの問い合わせを頂きましたが、私たちの営業スタイルとしては診断資料をもとにお客様にヒアリングを行います。そのなかで解決できそうなものがあれば提案をするという形をとっているため基本は対面営業です。

ただし問い合わせはヨーロッパに始まり、日本の北海道から沖縄まで頂きました。そういった地方や海外などの問い合わせは訪問して対応ができませんし、そもそも想定していませんでした。これはリストをコントロールするというよりは、対面でなくとも提案できる商材開発の問題になります。弊社の今後の課題です。

☆中傷リスク

ブログの記事に対しては公開を辞めろという抗議であったり、「書いてる人間の頭は大丈夫か?」といった中傷を受けることがありました。最近では『書いたやつを◯そう』というコメントを見つけましたが、前後の文脈から殺そうぜという意味だと推測ができ思わず「オエー」となりました。

オエー.jpg

ウェブで公開している以上そういったリアクションを受けるリスクは当然あります。真っ当な批判は真摯に受け止め対応をしますが、それ以外のものは気にしない姿勢が重要です。こういった中傷があってもブログの目的を『ウェブマーケのパフォーマンスをアップさせるノウハウを公開する』と決めていたので外野の声に惑わされずに続けることができました。

何のために情報を提供するのかという目標の設定はブログを継続させる上でも結構大事だと思います。

☆コンテンツ作成コスト

ここが最大の課題だと感じています。ブログを書いて得になる情報を提供すれば問い合わせは来るというのは頭ではわかっていましたが実践はしばらくできていませんでした。理由はコンテンツを作るコストです。

コストがかかるかからないの以前に、興味を持ってもらったり、もしくは何度も来てもらうための有益な情報は、要素を分解することはできますがそれを作る方法を汎用化することができません。

これは村上春樹の小説がいかに素晴らしいかを分析・批評している文章は書けても、村上春樹の文章を書けないことと似ています。

みんなが欲しがる情報を企画したうえで情報を手に入れた人の満足度を落とさないものを作り、作成のコストを落とすというのを今後どうやって改善させるかというのは今後の最大の課題です。

■まとめ

私達の強みは大手サイトのウェブマーケティング支援です。これまで多くのウェブマーケティング系のブログやSEO対策を解説を紹介したものはありましたが大手サイトをメインに、かつ具体的に研究して解説をするという形をとっているところはたまたまありませんでした。

こういった環境下で自社の強みが生き、誰も公開しておらず、お客さんからのニーズがある情報を提供できたことが問い合わせを頂くことができた要因だったと考えています。

その際の具体的な方法としては
・情報を複数の情報プラットフォーム最適化
・まとめた情報を作る
・ブログで情報を提供したうえで無料で得になる小冊子を提供する
という形が良いです。

こんな調子で2013年もひとつよろしくお願いしますm(_ _)m
それではまたこの場所でお会いしましょう!

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プロフィール

黒須敏行

黒須敏行

早稲田大学在籍時に株式会社アルコにアルバイトとして参加し入社。現在はコンサルタントとしてベネッセやラクスルなどが運営する大規模サイトを中心にウェブマーケティング改善のプランニング及びコンサルティング活動を行なっている。

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