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» 2013年2月18日 更新

ちびクロの細かすぎて伝わらないネットサービスの話 ランサーズvsイーランスSEO対策比較 日米クラウドソーシングサービス比較 スタートアップSEO研究特集最終回


こんにちは、黒須敏行です。

休みをとってインドに旅行に行ってましたが、インドではインターネットを使ってアメリカやヨーロッパからIT系の仕事を請け負うことがかなり増えているということでした。これはクラウドソーシングという形態のビジネスモデルです。本来は不特定多数に業務委託することを意味する言葉ですが、最近はインターネットを使って委託コストを抑えるビジネスという文脈で使われています。

例えばですがウィキペディアはクラウドソーシングによって作られているコンテンツです。数千万件という記事作成を会社組織で賄おうとするのは限界があります。ウィキペディアはこの課題を一部の編集担当が監視しつつも誰もが自由に記事を書く体制をインターネットで作ることで、低コストに誰もがアクセスできる百科事典を作ることができました。ドラゴンボールに例えると悟空が頑張って界王拳を使ってかめはめ波を出すよりも元気玉が最強だったみたいな話ですね。(間違ってるかもしれません)

海外ではイーランスやオーデスクというサービスが有名です。仕組みとしては発注者が案件を出し、不特定多数のフリーランスの方々が応募をし面接やコンペをすることで受発注者が直接つながります。ビジネスモデルとしては仲介をするサービス運営者に受発注金額の10~20%が入ります。

クラウドソーシングのメリットは発注者にとっては外注コストを抑えられること。またフリーランスにとっては企業と直接仕事ができるため、派遣会社などを通すよりも実入りは増えます。

日本でもいくつかのサービスが立ち上がっていますがランサーズというサービスがIT系の案件取扱数ではナンバーワンではないでしょうか。ランサーズは元niftyにいた秋好さんが独立をし、2008年に立ち上がったサービスです。アメリカのイーランスという名前の似たサービスは1998年から始まったものです。

今回はランサーズとイーランスをSEO対策という視点で比較します。目的としてはビジネスモデルが同じ日米それぞれのサイトを比較することで「ビジネスモデルによってターゲットキーワードは異なる」という考え方を持ち帰って欲しいと考えています。

キーワード、コーディング、リンクという3つの要素毎に見て行きましょう!


■クラウドソーシングビジネスにおけるターゲットキーワード

クラウドソーシングというビジネスモデルでSEO対策を行う際に考えるキーワードは大きく2つに分けることができます。
・発注者向けのキーワード
・フリーランス向けキーワード
という2つです。

発注者のニーズは外注コストをカットしたい、そのために業務を外注するための人を探しているというものなので
・プログラマー フリーランス
・デザイナー フリーランス
といった「業務×フリーランス」というキーワード

そしてフリーランス側のニーズは自分のスキルを活かした仕事をして稼ぎたいというものなので
・翻訳 仕事
・ライティング 仕事
といった「業務内容×仕事
というキーワードが重要になります。これをランサーズとイーランスで比較してみましょう。

キーワード比較.jpg

ビジネスモデルからSEO対策のキーワードを選定するという発想は老舗であるイーランスができていることがわかります。ランサーズは一つのページに、発注者向けのキーワードは選定していますが、フリーランスに向けたキーワードは意図していません。SEO対策で最も重要なポイントはキーワードの選定ですが、ここでは老舗であるイーランスが一歩リードしています。


■ランサーズとイーランスのコーディング比較

選定しているキーワードが異なるので厳密な比較はできませんが、発注者向けのキーワードは似ているため、このページのコーディングを比較しましょう。

結論からいうとここもイーランスがランサーズよりできています。ポイントは掲載している情報の量です。テキストボリュームを比べるとイーランスが断然多いことがわかります。

テキストボリューム比較.jpg

イーランスは
1ページあたりの掲載案件数を増やす
掲載案件毎のテキスト量を増やす
という対策を実施することでクローラーに読み込んでもらう情報量を増やしています。掲載案件数は単純に増やせばいいだけのことですが、掲載案件毎のテキストについてはジャバラ式にテキストを表示させることで無駄に長くならないようになっています。この方法はリブセンス研究HOME'S研究で説明をしたものです。


ジャバラ式テキスト.jpg


またSEO対策とは異なりますが、ユーザビリティもイーランスが一歩リードしています。ウェブサイトを作る際の失敗あるあるは制作リソースをトップページ中心から考え、ユーザが最も多く着地する下層ページの情報設計がおざなりになるということです。イーランスはサイトに下層ページから初めて訪問した発注者に対しての情報設計がよくできています。

イーランスユーザビリティ.jpg

サイト構造とユーザ行動は本質的に関係がありません。ユーザビリティテストを実施すればわかりますが、ほとんどのユーザは検索やソーシャルメディアから特定の下層ページに着地するという行動をとります。ランサーズはユーザ行動に即した情報設計を改めて行うことでコンバージョンはもっと増やせるでしょう。


■イーランスのリンク施策

リンク施策において大事なことは
・クリック階層の短縮化
・内部リンクの最大化
の2つです。

イーランスのページ送りリンクを見てみましょう。仕事のカテゴリをまとめたサイトマップを用意していますが、詳細ページまでのクリック階層を短くさせるため、多くのページ送りリンクを用意しています。これによって各ページに1クリックで到達することが可能です。

クリック階層.jpg

この施策は日本ではqlifeが行なっていますが、他に実施しているサイトはあまりありません。ランサーズはSEOを意識したページ送りではないのでクリック階層は深くなる構造になっています。

内部リンクの最大化についてもイーランスがよくできています。ポイントはフッターリンクの構造です。イーランスは発注者、フリーランスそれぞれの主要なカテゴリページへリンクを用意しています。

フッターリンク設計比較.jpg

一方ランサーズは各カテゴリページのリンクはトップページにしか用意していません。多くのユーザは「仕事の種類×フリーランス」「業務×仕事の種類」といった目的毎のキーワードで探します。イーランスのほうが各重要ページに対して同一ドメインからリンクを集める設計ができていることがわかります。


■クラウドソーシングサービスSEO対策比較のまとめ

総合評価はイーランスです。ただし日本で企業からの案件を獲得するのであればSEOにリソースを割くよりも、オフラインから営業したほうが売上は上がるでしょう。

イーランスはアメリカだけでなくヨーロッパ、インド、バングラデシュなどの英語圏が市場になっています。そのためウェブ集客の比重はオフラインより高くなります。(シリコンバレーのような特定地域に企業が集中する場合はオフライン営業が効きます)

ビジネスモデルや商圏によってはSEO対策がはまらないこともあることは是非覚えておいて欲しいです。そのためランサーズが海外に進出する際はよりSEO対策を含めたウェブ集客を改善する必要性が出てくるでしょう。

このようにSEO対策というものはビジネスモデルによっては、手のかけ方を変えたり場合によってはやらないほうがいいこともあります。SEO対策を成功させるための情報はブログを始め様々なメディアで紹介されていますが、そもそも行うべきかどうかという情報はあまりありません。そんなことを今度スクーというオンライン上で授業を受けることができるサービスで話すのでもしよければ参加してみて下さい。


スタートアップSEO対策研究はこれで最終回です。またこの場所でお会いしましょう!

※この時期は公開情報をもとに作成しています


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プロフィール

黒須敏行

黒須敏行

早稲田大学在籍時に株式会社アルコにアルバイトとして参加し入社。現在はコンサルタントとしてベネッセやラクスルなどが運営する大規模サイトを中心にウェブマーケティング改善のプランニング及びコンサルティング活動を行なっている。

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