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» 2013年11月26日 更新

ちびクロの細かすぎて伝わらないネットサービスの話 SEOノウハウを学んでるのに、なぜ、儲からないのか?ビジネスモデルを変えたことで3年間で年商40億まで成長した葬儀サービスを運営するユニクエスト・オンラインのビジネスモデルを研究

ユニクエスト・オンラインという会社はSEO対策を中心とする検索エンジンマーケティングは変えずに、ビジネスモデルを変えたことで大きく成長しました。

今回はそのユニクエスト・オンラインのビジネスモデルの移り変わりを説明することでで、売上を増やすためのビジネスモデルを理解してもらうことが目的です。

このブログでは様々な大規模サイトのビジネスモデルやウェブマーケティングの手法を解説してきましたが、メディアと呼ばれるインターネットサービスのビジネスモデルは3つに整理ができるなと感じます。

・広告掲載モデル
・成果課金モデル
・直販モデル

ひとつずつ説明しますが、結論としては解決する課題の"かさ"が大きくなるほど売上は増えるのでユーザに直接価値を提供する直販モデルが売上を最大化できる方法です。

それでは参りましょう!



■広告掲載モデル

まず人をたくさん集めることでサービスの広告価値を育て、広告として収益を得るモデルです。

紙のビジネスであれば、広告を掲載することで媒体に広告費を支払う必要がありますが、インターネットは参入障壁が低いので競合の数が多いという前提があります。そのため広告掲載費用を固定金額で支払うモデルではなく、媒体の大量に余っているクリックをバルクにしてクリックに支払うというモデルが増えています。アドネットワークというやつですね。

Googleのアドセンスというアドネットワークが最も有名ですが、nanapiやqlifeといった媒体の収益源のひとつです。またエムスリーが運営しているMR君というサービスはMRが医師にメールを1通送るたびに数百円エムスリー支払う必要がありますが同じことです。

ユニクエスト・オンラインは当初は葬儀会社から月額の掲載料をもらうビジネスモデルでした。電話帳で調べたリストに自転車、車を使って営業して周り1年半かかってようやく売上が立ったという経緯があります。


2006年.jpg


ローコストに立ち上げられるモデルですが、競合が多いという短所もあるため収益を大きくさせるためには様々な付加価値が必要になります。ユニクエスト・オンラインも当初なかなか売上が増えず苦労したという経緯がありました。

当初は、業者から月額掲載料をもらうビジネスモデルでスタート。電話帳で調べたリストをもとに自転車、車を使って全国の業者を訪ね歩きました。1年半過ぎてようやく売上げが立つようになったんですが、このままどこまでいけるんやろという不安がありました。http://www.sansokan.jp/press/webmagazine/vol115/vol115P04.pdf

そのためビジネスモデルを変えたのです。

■成果課金モデル

次に多くの人達を集め、その人達にサービスを提供したい事業者を引き合わせなんらかの成果に対価をもらうというモデルです。

年収の高いハイクラス求人だけを紹介するサービスが成長していますが、彼らのビジネスモデルのひとつは自社で集めたリストをヘッドハンターに紹介し成約することで得る手数料です。年収の高い人材の転職紹介案件や結婚相談、不動産、保険などの商品は単価が高いため、こういったビジネスモデルが成り立ちます。リクルートのゼクシィなび、I&GパートナーズのGreenなどのサービスが該当します。

このモデルは媒体主がより積極的にリスクをとる点が特徴なので、広告主を営業するコストは落ちますが集客して成約しないと売上が立ちません。また別の欠点はユーザと事業者に直接やり取りをされると儲からない点です。そういったリスクの回避のためにリブセンスが採用したの祝い金方式などの仕組みをとる必要があります。

実際Greenを運営するI&Gパートナーズという会社は、媒体を利用したのにも関わらず求人を直接採用をした事業者に対して訴訟を起こしていました。

訴訟を起こしました

広告掲載モデルでスタートしたユニクエスト・オンラインですが同じ掲載料でも効果のバラ付きが出て、掲載している葬儀会社から不満が増える問題が起きました。これを解決するために掲載料を無料とし葬儀費用の15%をもらうモデルに切り替えたのです。

成果確認する方法は、会社毎に注文用の番号を発行し注文があったらその専用の番号で返信をしてもらう仕組みをとっていました。


2008ビジネスモデル.jpg


その結果I&Gパートナーズのようにユーザと葬儀会社が直接やり取りをすることで売上が立たないという問題に苦しんでいました。

外部のコールセンターと契約して情報を集約しようとしましたが、最初は相談だけで、契約時には直接連絡をとられてしまうことが多くて売上げにつながらず、非常に苦しみました。
http://www.sansokan.jp/press/webmagazine/vol115/vol115P04.pdf

これは葬儀というビジネスの性質上祝い金という形をとるのは難しいためです。

そこで彼らが採った方法が3つ目の直販モデルです。



■直販モデル

ユニクエスト・オンラインは上記の問題を解決するために自分達でサービスをユーザに直接提供し始めました。

葬儀の平均単価は約100万円です。

「産業レポート 日本の葬祭業の動向」日本貿易振興機構

彼らはお通夜も告別式もない「小さな火葬式」という商品を17万8千円という価格で販売したところ非常に多くの注文を集めることができました。面白いのは自分達で葬儀場を持たずに、稼働していない葬儀会社を利用することでサービスを提供した点です。

サービスの単価は売り手と買い手の情報の格差がものをいう前提があります。

数年間葬儀ビジネス業界にいたユニクエスト・オンラインは仕入れ値や売価といった葬儀会社のビジネスモデルを理解していました。提案を渋る葬儀会社に対して宣伝費をかけずに売上を作りましょうという強気のセールストークをすることができたのです。

このモデルがはまりユニクエスト・オンラインの売上はわずか3年間で約1億から40億まで成長したのです。


2010年.jpg


同じようなビジネスモデルをラクスルというスタートアップが採り入れてます。

印刷ビジネスは発注主から印刷会社に注文が行くまで、間に何社もの代理店が挟まることが多いです。印刷通販というビジネスは発注主と印刷会社がインターネット上で直接やり取りすることで印刷費が安くなります。

ラクスルは通販印刷会社の価格比較サービスでユーザを集め、広告掲載モデルを採用していましたが、今は自分達で印刷サービスを提供する直販モデルを採用しています。

インターネットで印刷を発注できるより便利な環境、打ち合わせなど不要でその場で買えて、すぐに届くようなサービスを我々で作っていったほうがいいじゃないかと。それで、自社で直接販売していく流れに変えたんです。これが、今年3月に開始したラクスルのサービスです。
 名刺、チラシ、ポスターなどをラクスルのウェブサイトで注文を受け付け、提携している印刷会社に印刷を発注します。今年11月時点で提携している印刷会社は約1600社あります。我々は印刷機を持っていませんが、各印刷会社の印刷能力を利用させていただいているわけです。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20131111/255688/?P=3

このモデルの良い点は解決しないといけないユーザの課題のかさが大きくなるため売上も最大化されることですが、当然リスクも増えます。

堀江貴文さんは起業をする際に下記の4つの条件をクリアすれば失敗する可能性を減らせると話しています。

1 在庫を持たない
2 継続で入る
3 初期投資が無い
4 利益率が高い

印刷機は数千万から数億するものまである高額な商品ですが、ラクスルは印刷機を自前で持っているわけではなく稼働していない印刷会社の機能を間借りすることでサービス提供しているため条件の2つをクリアすることができています。

今説明した3つのモデルは下記のような特徴があります

・下にいくほど解決しないといけない課題が大きくなる

・そのため売上が増える

・一方で解決しないといけない課題が大きいため難易度も高くなる

課題の大きさによって信頼値や売上は変わるというのは以前も書きました。

博報堂が生んだ天才デザイナー佐藤可士和さんがデザインしたコーヒーメーカーの七変化から見るビジネスで結果を出すためのUI・UX改善の考え方

例えば車情報ポータルのメインビジネスモデルはメーカーや中古車販売店からの広告収益や成果課金ですが、実現可能性を無視した売上最大化のビジネスモデルはユーザに直接車を提供することです。

その方法はもちろん色々な問題があります。

そんな直販モデルの問題をうまくクリアしながら成長しているのがユニクエスト・オンラインやラクスルです。リクルートなどの紙のビジネスで成功した事業者のサービス提供領域をインターネットを使って広告課金や成果課金モデルで稼ぐビジネスモデルは多くの事業者が参入しており、差別化が難しくなりつつあります。

印刷や葬儀といった業界だけでなくその他の新しい領域でも直販型のビジネスモデルは増えていくでしょう。



■ウェブマーケティングについて

そしてそれぞれのモデルによってSEO対策をすべきキーワードも変わります。

広告掲載モデルで一番大事なことは媒体の流入数です。

もちろんユーザと広告主の相性も大事ですが、営業の際に会ってもらうためには広告価値のある媒体と認識してもらう必要がありPVやユーザの数はまず始めにチェックされるポイントです。

そのためSEO対策で優先すべきことはひとつでも多くのクリックを稼ぐという話になります。

乱暴なことをいってしまうと検索流入はあるけどコンバージョンにつながらないキーワードでもいいわけです。例えばユニクエスト・オンラインが運営する媒体と広告掲載モデルを採っている別会社の媒体のランキング状況を比較してみましょう。

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見ると鎌倉新書社が運営するe-sogiのほうがパフォーマンスは良いです。

ぱっと見のサイトの作り方は似ている両社ですが年商を見ると鎌倉新書社は約6億、ユニクエスト・オンラインの40億と比べると違いがあります。

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これはウェブマーケティング云々の話ではなく、そもそものビジネスモデルが異なるからです。

SEOに関する話で言われることはハミングバードがどうのこうのや、外部リンクをどうするのかみたいな議論が多いです。

そういった話ももちろん大事ですが、そもそもビジネスの種類やマーケティングの方法によってSEO対策をどう考えるのかは大きく変わります。

ウェブマーケティングは個別具体的な手法に詳しいことはもちろんですがビジネスを理解していることが最も重要な要素です。その理解が無ければどんなに集客が良くても売上が立たない状況になるためです。

またSEO対策やリスティングなどに代表されるコストパフォーマンスが高い集客施策がうまく行っても、ビジネスモデルがおぼつかないと売上が立ちません。

それではまたこの場所でお会いしましょう!

ゴルフダイジェスト・オンラインビジネスモデル

BUYMAビジネスモデル


※この記事は公開された情報をもとに作成しています

参考情報

ノウハウを学んでいるのに、なぜ、儲からないのか?吉井亮介(著)

Bplatz press (大阪産業創造館 2010年8月)

葬儀業界で大型買収劇が密かに成立探られたくない「二重価格問題」

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プロフィール

黒須敏行

黒須敏行

早稲田大学在籍時に株式会社アルコにアルバイトとして参加し入社。現在はコンサルタントとしてベネッセやラクスルなどが運営する大規模サイトを中心にウェブマーケティング改善のプランニング及びコンサルティング活動を行なっている。

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