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» 2013年12月18日 更新

ちびクロの細かすぎて伝わらないネットサービスの話 SEO対策を提供する会社の決算推移から考えるマーケターが今後取り組むべきSEO対策

SEO対策を提供している会社のなかで、決算情報を確認できる会社がいくつかあります。

アイレップ
http://www.irep.co.jp/ir/
アユダンテ
http://www.ayudante.jp/ir-jp.htm
フルスピード
http://www.fullspeed.co.jp/ir/
システムソフト(旧パワーテクノロジー)
http://www.systemsoft.co.jp/ir/

アイレップやアユダンテは成長しているのに対して、2000年頃から流行っていたフルスピードに代表される成功報酬型SEOビジネスは縮小している傾向があります。

背景としてはSEO会社の自作自演のリンクを検知するGoogleの性能が上がったということが大きく、今回の記事の目的はこういった状況で今後どのようにSEO対策に取り組むべきかを整理することです。

結論から先に話すとSEO対策で結果を出すためにはSEO対策に対しての認識を変えることが最も重要です。

それはSEO対策という言葉の理解を「内部対策、外部対策」という発想から

・ビジネス成果につながるユーザ関心のあるキーワード特定
・キーワードに対応したコンテンツを低コストに集める仕組み構築

と捉え直すことです。そういった発想にすることで成果を出すための施策を打てるようになります。

・各社の決算状況
・成果を出すための方法
・そもそもの発想

という流れで解説します。

それでは参りましょう!


 
■各社の売上高推移

各社の情報を比較してみると下記のような状況になっています。

SEO会社比較.jpg

またシステムソフトは主要顧客を決算短信で確認することができますが、リクルートとアパマンショップが大部分を占めていました。

システムソフト主要顧客.jpg

システムソフト(旧パワーテクノロジー)は売上の大部分を主要顧客で占められている状況になっているため経営的なリスクが大きくなっています。

フルスピードは期が変わっていたので、純粋な比較はできませんが1ヶ月あたりの売上高は落ちています。また今はアドネットワーク事業にリソースを割いているとIR資料に明記されていたので、そういった背景もあると思います。

フルスピード決算.jpg

こういった状況を話すとよく「もうリンクは効かないからなのか?」という質問をもらいますがそれは間違っています。

Googleという検索エンジンは「良い論文は引用されている回数が多い」という学術論文の評価の仕組みを応用したことで成長したサービスです。

根本の部分は今でも変わっていないので、リンクを受けることでランキングは上がります。

これまではそういったGoogleの仕組みを逆手にとって、自作自演でサイトをたくさん作りリンクを増やすという方法が一般的でした。ただしGoogleはそういったランキング操作を意図していません。

そういった問題を解決するためにGoogleは自作自演でリンクを増やしているサイトに対して警告を出し、検索順位を落としたり検索トラフィックを減らすという取り組みを始めています。

わかりやすい例だと以前であれば中国語のサイトを自動翻訳したテキストを大量に用意して、低コストにサイトを量産しリンクを増やすということもできましたが、そういった雑な方法は今は検知されてしまいます。また市区町村の月数千円の広告枠をSEO目的に購入するということも警告対象になっています。

そういった背景があるため自作自演のリンクをお金をかけてしっかり作らなければならなくなっています。

そうなるとマーケティング担当者にとって自作自演リンクを活用したSEO対策は

・以前よりも価格が高くなっている(リンクを作るコストが高騰しているため)
・警告を受けた際のリスクが大きい

とコストパフォーマンスが悪くなっているという状況があります。

そして大事なことはこういった状況で成果を出すためには何をしないといけないのかを把握することです。

それを話しましょう。


■今後とるべきSEO対策

結論から話すとキーワードを特定し、コンテンツを集めることがベストです。

ただし

・リスティングで色々試したけども、キーワードはもう決まっている
・良いコンテンツを作れっていうけど、時間もお金もスキルもない

という状況もあると思います。

そういった場合も含めてどうすべきかを整理しましょう。


☆妥協しながらも従来の自作自演リンクの方式を続けるパターン

・コンバージョンにつながるキーワードは既に目星がついている
・社内に専門のマーケターがいないので手が回らない
・業界的にコンテンツを書いても拡散しない
・書くスキルが無い
・専門的すぎてコンテンツライティングを外注できない

などのケースは検索エンジンマーケティングはリスティング広告に振り切ってしまうか従来型のSEO対策を続けるしか良い方法がありません。

そんななかで仮に従来型のSEO対策を続ける場合は、警告があった際にすぐにリンクを外せるようにすることです。

例えばブロガーにリンクを張ってもらう方法などはブロガーと連絡が取れなくなったら外すことができません。こういった状況で警告を受けても外すことができないため、警告を解除することも難しくなります。

従来の自作自演でリンクを増やす施策を行うのであれば、自作自演用のサイトのリンクの取り外しがコントロールできるものにしたほうが良いでしょう。

ただGoogleから警告を受ける問題はトラフィックが落ちるというマーケティング上の問題もありますが、警告解除のためにGoogleに再審査の作業をするという非生産的な業務がマーケティング担当者の精神的な疲弊につながるという側面もあります。

そのため従来型の施策はそういったリスクを事前に把握しておいたほうが良いでしょう。そしてベストはこれから紹介するような方法です。


☆低コストにコンテンツを増やすことでターゲットキーワードのランキングをアップさせる方法

コンテンツが大事といってもコストパフォーマンスが悪ければSEO対策を行う必要はありません。

『ユーザにとって価値のあるコンテンツを作ることがこれからのSEO』という発想の大きな問題点
http://blog.marketing.itmedia.co.jp/kurosu/entry/506.html

大事な考え方は「効率的」にコンテンツを作りターゲットキーワードのランキングをアップさせることです。

SEO対策用に2年前から運営しているクライアントのサイトはターゲットキーワードのランキングをアップさせるために、配下にお客様事例を増やしていくという方法を採りリスティングの獲得単価が3,000円の反響が月に2,000件以上獲得できるようになりました。

コンテンツぶら下がり施策.jpg

この方法で良かったことはターゲットキーワードのランキングが上がるだけでなく、ぶら下がり用のコンテンツのランキングも上がり全体のトラフィックが底上げされたことです。

はじめは都内23地区毎に「地域×サービス名」をターゲットにしてましたが、それらのターゲット以外のキーワードの貢献が全体の80%近くを占めるようになりました。

こういった方法で参考になるサイトはリノコです。

前回紹介したユニクエスト・オンラインを立ち上げた田中さんが運営しているサービスですが
「地域×クロス貼り替え」
「地域×内装リフォーム」
などのキーワードを狙うために一覧ページを用意しています。

・リフォーム
・不用品回収
・引越し
・結婚相談所
・探偵事務所
・水道工事
・印刷

などの業界は地域によって提供するサービスは同じでも、ユーザの検索ニーズが
「地域×サービス」
なのでドアウェイページが生まれやすいのが特徴です。

ドアウェイページについての説明
http://googlewebmastercentral-ja.blogspot.jp/2012/01/doorway-page.html

そういった問題を解決するためにリノコは地域毎のお客様実績を用意しています。

リノコのLP.jpg

これによって地域毎にユニークに情報を用意することができます。

この方法は他のサイトと同じ商品を扱っているECサイトなどにも有効です。

またユーザがサイトを見る際に自分の立場に近い事例やクチコミが無い場合に「自分にあったサービスを提供してくれないのでは」という不安を頂く傾向がありますが、そういった不安解消にも有効な手法です。

ちなみにこのリノコは情報が多く集まってきたタイミングで、カテゴリに情報を再整理することで更に検索流入を伸ばすことができます。

リノコ情報整理.jpg

ただこれは次のステップの話になるので、まず最初に地域毎にユーザコメントを掲載する、もしくは
・いつ
・どんなお客様が
・いくらの商品を
・どういった理由で購入したのかを
ヒアリングした内容をもとに事業者が実績情報を作ることもできます。こういった方法であればコンテンツ量の増加スピードを自分達でコントロールすることができますし、何より低コストにコンテンツを作ることが可能です。

 

☆ポータルと呼ばれるサイトの対策

今紹介したのは店舗を持っていたり、ネットだけで完結しないビジネスで使える方法です。例えばシステムソフト社のクライアントであるリクルートのような大規模なサイトはどうすべきでしょう。

参考にすべきサイトはHOME'Sです。

彼らは
・広告主
・ユーザ
・自社の過去の掲載案件
を活用することでオリジナルのコンテンツを構築しています。

これは以前書きました。

HOME'S(ホームズ)のSEO対策を徹底研究
http://blog.marketing.itmedia.co.jp/kurosu/entry/184.html

また従来の自作自演のリンク対策は危険性が上がっているがランキングアップの効果はあるという前提があるため、サイトM&Aサービスなどを活用してサイトを購入してリンクを増やすというのも有効なひとつの方法です。

その際に注意すべき点はページの数が数十万ページあるようなサイトの全ページからリンクを一括で受けないことです。

アンカーテキストがサイト名であれば問題ありませんが、アンカーテキストにターゲットキーワードを記載していたことでランキングが100位以内にも入らなくなってしまった事例が過去にありました。


■SEO対策にあたっての大事な考え方

様々なサービスのSEO対策の成功事例と失敗事例を見比べると、それらの違いはマーケティングを担当している人間のSEO対策という言葉に対しての認識の差によるものではないかと考えています。

SEO対策を成功させたことが会社上場の大きな要因になっているような会社はSEOという言葉を内部対策・外部対策どっちが大事という話ではなく、マーケティング手段の一つと捉えたうえで

ビジネスゴールにつながるキーワード特定
対応コンテンツ調達の低コスト化

それぞれの成功をSEO対策の成功と定義している気がしており、それは今までここで紹介してきたような会社がまさに該当します。

リブセンスのSEO対策
http://blog.marketing.itmedia.co.jp/kurosu/entry/157.html

クックパッドのSEO対策
http://blog.alco.co.jp/archives/2135

価格コムのSEO対策
http://blog.marketing.itmedia.co.jp/kurosu/entry/141.html

nanapiのSEO対策
http://blog.marketing.itmedia.co.jp/kurosu/entry/264.html

そして実際ここに書かれていることは私が改善提案を行い成果が出ているものです。是非参考にするだけでなく上記の考え方を持って実践することをオススメします。

それではまたこの場所でお会いしましょう!

※この記事は公開された情報をもとに作成しています

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プロフィール

黒須敏行

黒須敏行

早稲田大学在籍時に株式会社アルコにアルバイトとして参加し入社。現在はコンサルタントとしてベネッセやラクスルなどが運営する大規模サイトを中心にウェブマーケティング改善のプランニング及びコンサルティング活動を行なっている。

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